人生の再出発をサッカーに懸けた男たち――『ホームレス・ワールドカップ日本代表のあきらめない力』(蛭間芳樹)他

▶シノドスの電子メールマガジン「αシノドス」

https://synodos.jp/a-synodos

▶真の教養を身に着ける「シノドス・サークル」

https://synodos.jp/article/20937

『ホームレス・ワールドカップ日本代表のあきらめない力』(PHP研究所)/蛭間芳樹

 

連日、ワールドカップ日本代表の話題でもちきりだ。日本でもすっかり人気行事となったワールドカップであるが、実はホームレスだけが参加できるワールドカップがあることを知っているだろうか。日本代表のチームの名は「サムライジャパン」ならぬ「野武士ジャパン」。2011年、日本代表としてホームレス・ワールドカップに参加した。

 

『ホームレス・ワールドカップ日本代表のあきらめない力』は、野武士ジャパンの3年間を監督の蛭間氏が記録したものである。

 

そう書くと、カリスマ性のある熱血指導者がホームレスを集めてサッカーの指導をし、ワールドカップで優勝し、選手たちはみな路上生活から卒業した……といったハッピーなストーリーを期待してしまうが、彼らの前には大きな壁が立ちふさがる。

 

彼女には「ホームレスと私どっちが大事なの?」、選手には「若造のくせに偉そうなことを言うな」と言われてしまう。日本代表を選出するも、メンバー内で衝突が起こる。パリでのワールドカップに出場しようとしたら、渡航目的を理解してもらえず「パスポートが発行できない」と手続きを断られてしまう。「ホームレスを応援している企業となると、まずブランドイメージが悪くなる」とスポンサーが集まらない。ホームレス・ワールドカップに出たものの、圧倒的な実力差に一勝もできない……。

 

ドラマのように何もかも簡単にうまくいくわけじゃない。しかし、くじけそうになりながらも、選手たちは諦めない。

 

 

「俺はいままでいろんなことから逃げてきた。でも、ここで逃げたらまた同じだ。みんな、何のためにここに来たんだ。人生をもう一度やり直すためだろ。もう一度、逃げずにみんなでチャレンジしよう」

 

 

人生の再出発をサッカーに懸けた男たちの姿は胸に迫る。ワールドカップでサッカーへの関心が高まる今日この頃、ぜひ、ホームレス・ワールドカップにも注目してほしい。(評者・山本菜々子)

 

 

AWS Access Key ID: AKIAJSA5SEKND2GVG7TA. You are submitting requests too quickly. Please retry your requests at a slower rate.

 

 

1 2
シノドス国際社会動向研究所

vol.267 

・堅田香緒里「ベーシック・インカムとジェンダー」
・有馬斉「安楽死と尊厳死」

・山本章子「誤解だらけの日米地位協定」
・桜井啓太「こうすれば日本の貧困対策はよくなる――貧困を測定して公表する」
・福原正人「ウォルツァー政治理論の全体像――価値多元論を手がかりとして」
・鈴木崇弘「自民党シンクタンク史(11)――シンクタンク人生から思うこと」
・杉原里美「掃除で、美しい日本人の心を育てる?」