子ども達が希望を持って生きられる社会を――国会議員へのLGBT施策インタビュー

林原由佳衆院議員は弁護士出身の国会議員として、日本維新の会の中でLGBT施策に取り組まれてきました。インタビューを通して見えてきたことは、林原由佳衆院議員が国会で野次を受けながらもLGBTの子どもたちが希望を持って生きられる社会を創るために奮闘している姿でした。これからもLGBTの子どもたちが笑顔で暮らせる日本を目指して頑張って欲しいと思います。(明智カイト)

 

 

子ども達が希望を持って生きられる社会を

 

明智 ではまず自己紹介をお願いします。

 

林原 2012年12月に行われた衆議院議員選挙の近畿比例で初当選しました。法務委員会を経て、2014年7月9日現在、決算行政監視委員会に所属しています。日本維新の会に所属していましたが、分党に伴い秋の臨時国会からは無所属で議員活動を行う予定です。

 

明智 林原議員がLGBTの施策に関わる理由は何ですか?

 

林原 現在は弁護士登録を外しているのですが、弁護士出身の議員として人権問題は重要な課題だと考えています。当選後に「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」や、特別配偶者法全国ネットワークの皆さんから陳情を受けました。当事者の方たちの切実な訴えを聞いて力になりたいと思ったことがきっかけで、LGBTに関する諸問題に取り組むようになりました。

 

また、衆議院議員に立候補したのは子ども達が希望を持って生きられる社会を作りたいという動機があってのことですので、LGBTであることを理由としたいじめなどで子どもが自殺するというのは大変な問題だと捉えています。

 

 

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同性配偶者は家族として滞在できない日本

 

明智 法務委員会ではどのような質疑を行いましたか?

 

林原 2013年3月15日の衆議院法務委員会で、「外国人高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度」について質問しました。

 

 

2013年3月15日(金)衆議院法務委員会議事録

https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxvc2FrYTAyaXNoaW58Z3g6NjcyZmRmZWZiYWNiOWFiZg

※議事録では「西根委員」と記録

 

 

現在、日本の国内法は異性配偶者のみを想定しているため、同性配偶者は家族として滞在できません。そのため同性の配偶者を持つ優秀な人材が、日本への異動に難色を示すなどの問題が発生していると聞きました。世界に目を向ければ、様々な国で同性婚が認められる流れにありますし、日本においても人権上および経済活動上の要請から制度を変えていく必要があるでしょう。

 

最終的には広くLGBTの人たちの権利が保障される社会制度を作るのが理想なのですが、まずは安倍政権の成長戦略の一環としての高度人材ポイント制度改正にあたり、高度人材の同性配偶者の帯同について法務省がどう対応するつもりか問うておくことが必要だと考えました。

 

委員会の場で積極的な回答をもらうことはできませんでしたが、「国内法との整合性を取りつつ、法務大臣が個別に許可するかたちで、同性配偶者の滞在を認める方向」との報告を後日受けました。その詳細については後で触れたいと思います。

 

 

「性的指向を尋ねるような採用試験は、人権侵害にあたる」

 

明智 3月14日の中日新聞に掲載された、「石川県などの採用試験 識者『人権尊重に逆行』」との報道についても質問をされていますね。

 

林原 はい、質問前日のその報道を受けて急きょ法務大臣に見解を問いました。

 

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、石川県の教育委員会による教員採用試験で、心理テストMMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory、ミネソタ多重人格検査)の縮小版である「MINI-124」が20年以上利用されています。この「MINI-124」には個人の性的指向を露骨に尋ねる質問や、ステレオタイプな「男性性」「女性性」尺度を計る質問が散りばめられており、戸籍上の性と異なる傾向を示す場合、否定的な評価が下されます。性同一性障害の当事者や同性愛者などのLGBTの人権を侵害するような試験となっています。

 

この問題を取り上げたのは私が初めてというわけではなく、2012年6月の衆議院法務委員会では民主党の井戸まさえ議員(当時)が関東地方の公務員採用試験における同様の問題について質問を行い、滝実法相(当時)も「不用意な導入がどれだけ人を傷つけるか認識が薄かった」と答弁しています。そして、こうした国会での質疑は、金沢大学の岩本准教授をはじめ、当事者の方々が以前から粘り強く取り組んできたという経緯あってのものです。

 

就職の際の面接等で、家族や出生地など本人に責任のない事項や、妊娠出産についての考え、思想信条など本来個人の自由であるべき事項を尋ねることは差別につながるとして、問題視する社会的意識が徐々に醸成されてきています。性的指向などに関する情報もまた同様に取り扱われるべきですし、面接に限らず、適性試験の問題に不適切な設問が存在していることにも十分注意していく必要があるでしょう。

 

明智 その後、適性検査について大きな変化はありましたか?

 

林原 この適性試験については2013年5月29日の衆議院法務委員会でも、その後の状況などを問いました。人権侵犯の疑いがある事案については法務省の調査救済手続きというものがありますが、この石川県の事案については積極的な手続きがとられませんでした。

 

平成24年の人権侵犯事件に関する法務省の発表によれば、他の地方自治体の公務員採用試験で性的指向等を問う設問があった事案について、法務省が調査救済手続を行い、法律的なアドバイスをする「援助」という措置をとっています。つまり、このような採用試験には問題があると法務省も認識しているはずなのに、他府県で同じ状況が繰り返し発生しているということです。

 

差別を訴えにくい受験者という立場の特殊性、同じ事例が何度も繰り返されているという事実、性的指向や性自認を理由とする偏見や差別をなくすことが法務省の重点目標であるという複数の理由から、被害者からの申出がなかったとしても、すぐに調査救済手続きを開始すべきだと主張しました。

 

明智 どういった回答が返ってきたのでしょうか?

 

林原 残念ながら、このときの質問では、法務省から積極的な回答は得られませんでした。民主党から自民党へ政権交代したことが大きく影響しているのでしょう。

 

確かに、法務省が限られた財源、人材の中で「性的指向を理由とする差別をなくそう」「性同一性障害を理由とする差別をなくそう」という標語を掲げ、地道な人権啓発活動に取り組んでいることは評価に値します。

 

しかし、今回の採用試験のような事案について、法務省が「性的指向を尋ねるような採用試験は、人権侵害にあたる」という明確な姿勢を示すことこそが、差別をなくすための大きな一歩となるのではないでしょうか。

 

 

 

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