安倍政権の今後と日本経済

12月16日の衆議院選挙では自民党が294議席、公明党が31議席、一方で民主党は57議席という結果になった。自公両党を合わせると325議席となり、参議院で否決された場合の衆議院での法案再可決に必要な議席数である320議席を超え、圧倒的多数を占めることになったわけである。

 

比例代表選の得票率をみると、自民党の得票率は27.6%と前回(2009年衆院選)の得票率26.7%から微減という結果だったが、民主党の得票率は43.6%から16%と大幅に減少した。以上からは自民党への積極的支持ではなく民主党への積極的不支持が自民党の大勝に影響したと言える。また小選挙区、比例代表ともに6割を割り込むという戦後最低の投票率も選挙結果に影響したのだろう。

 

 

民主党への積極的不支持の理由

 

民主党への積極的不支持はなぜ生じたのだろうか。それは民主党が2009年8月の衆院選の際に打ち出したマニフェストを遵守できず、かつマニフェストに記載されていない改革を積極的に推し進めた事が影響している。

 

例えばマニフェストの中には子供手当ての実行といった様々な形での所得再分配政策が盛り込まれていたが、所得再分配政策を行うためには財源が必要となる。財源を生み出すためには景気の安定化や経済成長が必須となるが、民主党政権では景気の安定化や経済成長を進めることがうまくできなかった。

 

もちろん2011年3月の東日本大震災といった予想外の大災害が生じたことは考慮すべきだが、その後の復興需要を活かすこともできず、円高やデフレに対して有効な政策を講じることもできなかった。そして当初想定した事業仕分けで十分な財源を確保できないまま所得再分配政策や復興を進める必要が生じた民主党政権が選択したのは、増税というマニフェストにはなかった政策であった。

 

経済成長というパイの拡大がないままに、既存のパイの切り分けという形で、ある階層からある階層へと所得の再分配を進めようとすれば、軋轢が生じるのは必定である。ねじれ現象も影響して政策を思うように前に進めることができず、結果今回の自民党大勝につながったというわけだ。

 

 

安倍発言と金融政策

 

積極的な金融緩和を求める安倍発言を受けて、株価は12月19日に1万円突破、ドル円レートは84円台という好反応が続いている。好ましい動きをさらに後押しするためには、本年10月30日の日銀政策決定会合で民主党政府と日本銀行の間で締結した共同文書に、「2%のインフレターゲット」を書き込むことで、脱デフレに対しての明確な姿勢を表明し政府と日銀のアコードとすること、来年3月及び4月の日本銀行副総裁・総裁人事で、「2%のインフレターゲット」を実現するために、積極的な金融緩和策を行う人材を選出することが当面は必要となるだろう。

 

だが12月20日の政策決定会合の結果は、安倍発言に端を発した株高・円安という流れに

水をさしかねないものである。日本銀行は資産買入れの基金の残高(枠)を10兆円拡大し101兆円とすることを決定した。これは本年末の資産買入れの基金の残高が65兆円であるため、2013年12月末までに36兆円の資金供給を行うことを意味する。さらに本年10月30日の政策決定会合で決定した「貸出増加を支援するための資金供給」の詳細を決定した。これらの政策は従来の日本銀行の政策路線を踏襲したものであり、大きな変化をもたらすことはないだろう。かろうじて「中長期的な物価安定の目途」を次回の政策決定会合で検討すると明言することで含みを残したが、「2%のインフレターゲット」実現までの道のりは未だ遠いことが改めて確認できたということではないか。

 

 

 

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