シノドス・トークラウンジ

2023.03.31

2023年4月15日(土)開催

【トーク】政教分離とは何か――カルトと宗教、政治の関係を問い直す

橋爪大三郎 社会学 ホスト:服部美咲

開催日時
2023年4月15日(土)14:00~15:30
講師
橋爪大三郎
ホスト
服部美咲
場所
Zoom【後日、アーカイブ動画での視聴も可能です】
料金
1980円(税込)

2022年7月に、安倍晋三元首相が銃撃されるという事件が起こりました。犯人の供述をきっかけに、事件以降しばらくの間、自民党と旧統一教会との深い関わりに注目が集まりました。マスコミは連日、自民党政治家と旧統一教会との具体的な関係性を報じ、国会でも質疑に長い時間が割かれ、閣僚の更迭に発展した例もありました。しかし時間が経ち、その機会は減っています。マスコミや野党が問題の本質を指摘できていないにもかかわらず、単に世間の関心が薄れてきているだけのようにも見えます。

投票行動は民主主義の重要な根幹のひとつです。政教分離、すなわち投票行動に宗教団体が深く関与してはいけない理由は何でしょうか。政教分離の原則は、国家が特定の宗教を特別扱いしないことです。もし、宗教団体がまとまって投票行動をとれば、大きな(信者が多い)団体の意向が実現し、小さな(信者が少ない)団体が不利益を被る可能性があります。これでは、宗教の自由が守られません。したがって、信仰を持つ人は、団体としてではなく個人として考え、投票行動をする必要があります。

宗教社会学者の橋爪大三郎氏は、政教分離について民主主義の重要な前提のひとつであると述べ、日本では政教分離の原則が崩れていると指摘します。

実際に、旧統一教会の組織的な投票行動が自民党政治家の当選の原動力になったとみられる事例もありました。
今、私たちは、政治とはいかなるシステムなのか、宗教の本質とは何か、旧統一教会などのカルトとは何かといったことについて、根本から整理した上で、それらの関係性を捉え直す必要があります。政治家が特定の宗教団体と関係することの何が問題なのでしょうか。また、宗教団体が組織的に投票行動をすることの何が問題なのでしょうか。日本の政治とカルト宗教はどのような関係にあり、またそれが何故問題なのでしょうか。

今回のトークラウンジでは、橋爪大三郎氏を招き、これらのテーマについて議論します。今政教分離について問い直し、私たち有権者一人ひとりが自覚的に行動しなければ、日本の民主主義は正常な機能を取り戻すことができません。

橋爪氏の新刊『日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す』(集英社新書)は、自民党とカルト宗教との関係を具体的に分析して論じた上で、政教分離の本質と重要性を提示しています。またカルトについては下記の記事をご参照ください。

参考文献:『日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す』(集英社新書)
参考記事:「日本人とカルト――橋爪大三郎氏インタビュー」

プロフィール

橋爪大三郎社会学

1948年生まれ。社会学者。大学院大学至善館教授。東京工業大学名誉教授。著書に『世界がわかる宗教社会学入門』(筑摩書房)『アメリカの教会』(光文社新書)等多数。共著に『ふしぎなキリスト教』(大澤真幸との共著、講談社現代新書)『一神教と戦争』(中田考との共著、集英社新書)等がある。

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