2013.08.06
安倍政権のロシア・旧ソ連地域の外交政策
昨年12月26日に第2次安倍晋三内閣が成立してから約7ヶ月が過ぎた。安倍首相は、就任直後から、内政、外交ともに積極的に安倍路線を推進してきた。しかし、ここ数年、短期政権が続き、その間、「すぐ変わる首相と話をしても無意味」だという姿勢で、日本の首相と首脳会談などを行なうことを嫌悪した諸外国首脳も少なくなかった。
だが、6月21日に第23回参院選が投開票され、自民党が圧勝すると、近年続いていた衆参両院の「ねじれ」が解消され、政権の長期安定化の可能性が見えてきた。その状況のなかで、中国などは安倍政権の長期安定化の可能性に懸念を表明する一方、多くの国々の首脳は日本との関係強化に期待を表明しており、ロシアはじめ、旧ソ連諸国も新政権との関係強化に期待を寄せる。
特に、北方領土問題解決推進の「前提条件」となる長期政権が日本で確立され、政局に翻弄されるリスクが回避されたとして、プーチン大統領は北方領土交渉再スタートで合意した。民主党の敗北が予想された衆院選前に、野田前首相の訪ロを延期させた姿勢とは対照的である。
それでは安倍政権のロシア・旧ソ連地域の外交政策はどのようなものなのだろうか。
自由と繁栄の弧、再び
安倍政権のロシア・旧ソ連地域に対する外交方針をもっとも端的に表している政策方針は「自由と繁栄の弧」であろう。しかし、この「自由と繁栄の弧」政策が外交の表舞台で光を浴びるようになったのは2度目である。
最初に同政策が発表されたのは、第1次安倍内閣時代の2006年9月であり、それは当時の麻生太郎外相の肝いりのプロジェクトであり、氏は2007年に同名の書籍も出版している。その構想は、東南アジアから中央アジア、東欧地域にかけたユーラシア大陸の周縁部を「弧」にたとえ、その地域に対し、民主主義体制への移行や安定的な経済発展を人的交流や教育、技術、環境改善面などで支援していこうというものだ。第一次安倍政権が安全保障分野も含めてインド、豪州などと進めようとした「価値観外交」とも重複するものである。
「自由と繁栄の弧」政策の対象国については、具体的な国名はあげていなかったが、外務省のHPに掲載された同政策の概念地図(http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/18/pdfs/easo_1130.pdf)を見ると、基本的な対象国は明らかに見て取れる。当時、本政策はこれまで重視されなかった、中央アジア、コーカサス、黒海地域など旧ソ連・東欧圏の多くのエリアに照準を当てる一方、中国とロシアを封じ込める政策であるとして、多くの反発も引き起こした。
だが、第二次安倍政権は、その「自由と繁栄の弧」および日米同盟を基軸とした「価値観外交」を再び、外交政策の基軸に据えている。報道や識者の多くは「自由と繁栄の弧」は対中封じ込め政策だとして反発しているが、政権サイドは少なくとも公には「対中包囲」の意図はないとしている。
ただ確実に言えることは、前回の「自由と繁栄の弧」政策に対しては「対中・対ロ封じ込め」という批判がなされていたのに比して、今回は、「対ロ封じ込め」という批判も、そのような現実もなく、むしろ、現政権がロシアとの関係強化に積極的になっているということである。安倍首相も2012年末の議会選で自民党が勝利した時点ですぐに、ロシアとの二国間関係の改善を考えていると語っていた。ロシアを「弧」のなかに位置づけているとも言えるだろう。
ロシアへの積極外交
前述のように、安倍首相はロシアへの積極外交を就任早々にかかげたが、その対ロ外交は、経済外交と領土問題解決の2本の柱を主軸として進められている。
民主党時代、ロシアと日本の関係はあまり良好ではなかった。メドヴェ-ジェフ大統領(当時)の北方領土訪問(拙稿参照:https://synodos.jp/international/1640)で関係が冷え込んだ後、2011年の東日本大震災に際し、ロシア側が積極的な支援を行なうなど一時的に関係は良くなったものの、その後は玄葉光一郎外相(当時)や前原誠司民主党政調会長(当時)などが訪ロするなどしていたが、目立った成果はなかった。
他方、玄葉氏は、2012年7月の訪ロに先立ち、森喜朗元首相と会談し、訪ロに向けてのアドバイスを受けるとともに、森氏は北方領土問題の交渉進展に向け、野田佳彦首相(当時)の特使としてロシアに派遣したいという政府の要請を受け入れた。森氏は、首相時代に北方領土問題に深く関わり、また、プーチン氏とも太いパイプを持つと言われる(拙稿参照:http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1858)。だが、結局民主党時代に、森氏の訪ロは実現しなかった。
だが、安倍首相は今年2月14日に森元首相と会談し、特使としてロシアを訪問するよう改めて正式に依頼し、森氏は2月20日に訪ロし、プーチン大統領とも会談した。プーチン氏は、森氏と行なったイルクーツクでの2001年の会談の際に出された、平和条約締結後に歯舞、色丹2島を引き渡すとした「日ソ共同宣言」の法的有効性を確認した「イルクーツク声明」に言及し、領土問題にきちんと取り組む姿勢があることを表明した。
その他、プーチン氏は、医薬、機械、木材加工などの経済分野の協力での成功に言及しつつ、農業分野、エネルギーや極東・東シベリア開発などでの日ロ間のさらなる経済協力の拡大に意欲を見せたと言われており、また、北朝鮮問題など安全保障問題についても議論がなされた。1時間45分におよんだ本会談は「首相訪ロの地ならし」と高く評価された。
こうして4月29日、安倍首相がロシアを訪問した。これは、小泉純一郎首相(当時)以来、10年ぶりの日本の首相の公式訪ロとなった。そしてプーチン大統領と3時間20分もの長時間にわたり会談を行い、共同声明を出すにいたったのである。
対ロ経済外交
首相は出発前から、「平和条約交渉の再スタートとなる訪問」「私自身がトップセールスする経済外交の第一弾にしたい」と強い意気込みを語っていた。日本の技術・ノウハウを生かした製品やサービスの輸出拡大を狙い、官民あげたトップ外交をアベノミクスの第3の矢である成長戦略につなげたい意向だ。
そして、安倍首相の訪ロに合わせ、首相の外遊同行としては過去最大規模となる100人を超える経済人が同行し、29 日にはロシア直接投資基金主催のロシア投資ラウンドテーブルに200人以上の企業関係者が集まり、30日には政府主催の日ロフォーラムで都市インフラ整備・エネルギー、医療・先端技術、農業・食品の3分野を軸に協力の進展が検討されるなどの進展があった。
たとえば、都市インフラでは、日本の省エネ技術やIT(情報技術)を駆使したスマートシティ計画をモスクワやサンクトペテルブルグなどの大都市で進める商機がある。川崎重工業はエネルギー効率が高いガスタービンを中核設備として打ち込もうとしており、すでに日建設計、三井不動産、東芝などとの企業連合でロシアの不動産会社とスマートシティ整備に関する覚書に調印している。 医療の例は後述するが、食品の例では、キッコーマンがオランダで製造したしょうゆをロシアで販売するとともに、ロシアに合ったレシピを提案し需要を高める計画がある。
さらに、3分野以外でも自動車関連など日本企業の動きは活発である。たとえば、三井物産は2月に、トヨタが生産技術と部品を供与するかたちで、ロシア自動車大手ソレルスの合弁会社「ソレルス・ブッサン」とウラジオストクの新工場でトヨタ自動車ブランドのSUVの組み立てを始め、その製品はシベリア鉄道で輸送しトヨタの販売網を利用してロシア全土で販売される予定だ。また、ロシアのLP(液化石油)ガス共同開発やパイプラインでの共同事業など、ロシアの資源と日本の資本による共同事業の展開も期待されている。
このように、民間レベルでの日露経済関係の進展の可能性が強く期待されるにいたった民間企業にとって、ロシアは中央アジアなど周辺国への経済活動や新規市場開拓を展開する上でも、重要な足掛かりとなる。
そして、安倍首相もロシアとの経済外交で確実な足跡を残した。まずトップセールスの第一弾として注目されるのは、がん治療のための「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」の設備を備えた先端がん治療の病院「日ロ先端医療センター」の輸出である。
本計画は、住友重機械工業と日本政府の連携による「メディカル・エクセレンス・ジャパン」によって、進められ、同病院の運営も担当する。同病院には日本人医師も勤務し、2015年からの稼働が予定されている。がんはロシアで死亡理由の2位を占める一方、ロシアの病院は設備が古く、費用も高いことから、日本に渡航してもロシアで治療を受ける場合と費用があまり変わらない上に、満足度、治癒率が高いため、日本に治療に来るロシアの富裕層も少なくないという。ロシアで富裕層が増加していることも日本の計画に追い風となっている。これを機に、日本の医療産業をロシアにどんどん輸出したい意向だ。
北方領土問題
他方、安倍政権の対ロ外交のもう一つの重要案件である北方領土問題についても、もちろん対話がなされ、共同声明にも「双方に受け入れ可能な」解決策作成へ交渉を加速させることが盛り込まれたが、これを進展ととらえるのは楽観的すぎるかもしれない。
日本政府は従来、「四島一括返還」を目指し、それ以外の解決の可能性を否定してきた。近年、北方領土交渉の膠着を打開すべく、研究者のみならず政治家レベルでも2島返還や3島返還を目指すべきだという議論が出てきているなか、プーチン大統領が「平和条約締結時に2島返還を約束した1956年の日ソ共同宣言に基づいて行動する用意ができている」と述べたり、「引き分け」による解決を示唆したしたりことは、日本に「少なくとも2島の奪還は現実的なのではないか」という期待感をもたらした。
しかし会談を終えた安倍首相は、今回の会談では「2等分方式」(2等分方式が採用された場合の日本の取り分は、色丹島・歯舞諸島・国後島の全てと択捉島の25%)の話は出なかったとしたうえで、「北方4島の帰属問題を解決して 平和条約を締結する」と従来の方針を強調した。つまりなにも進展はなかったのである。
安倍首相は、自身とプーチン大統領が主導しなければ進展はないとして、自身が状況を打開していくことに意欲を見せるが、当面、北方領土問題の協議は事務次官クラスで進められる予定である。具体的には今夏の次官級協議で領土交渉が再開されることが合意されており、次ぐ今秋のラブロフ外相、来年のプーチン大統領の訪日時の交渉にも期待が寄せられる。
このことは、6月17-18日に英国・北アイルランド行われた「G8ロック・アーン・サミット」(主要8ヵ国首脳会議)の際に行われた安倍首相、プーチン大統領の首脳会談でも確認された。両氏は、 北方領土交渉を外務次官級の枠組みで進める方針を確認し、早期の次官級協議開催に向けて両国内の調整を加速させることで合意した。
だがいずれにせよ、双方に譲歩の用意はなく、交渉は極めて緊迫したものとなるはずだ。相当な長期戦を覚悟すべきだろう。それでも、ロシアのショイグ国防相が駐留軍を視察するため、数か月前から予定していた5月26日の択捉島への訪問を、取りやめるなど、日本に配慮したと思われる動きもあり、今後の交渉における安倍首相の手腕が問われるところだ。
東欧へもアプローチ
「自由と繁栄の弧」政策では、ロシアと隣接する東欧諸国やロシア以外の旧ソ連諸国もその対象となる。安倍外交は、東欧への外交にも非常に積極的な姿勢を見せている。
ここでも、ロシアに対して行ったような「首相自身がトップセールスする経済外交」を展開した。前述「G8ロック・アーン・サミット」に向かう途中の6月16日にはポーランドを訪問し、V4(Vはハンガリー北部の町ビシェグラードの頭文字であり、4はポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー。チェコとスロバキアが分離する前、1991年に3か国首脳がここで合意、発足したことがV4という名称の由来)首脳との会談を行ったのである。日本の首相とV4との首脳会談は史上初だ。
東欧は、これまで日本外交において手薄な地域であったが、東欧諸国は共産主義からの脱却に成功し、もはやEUの一員として重要な位置を占めている。また、すでに中国は東欧への外交攻勢を活発化させていることもあり、日本が関係をもっと深めていくべき対象であることは間違いない。特にポーランドは日本と難しい関係にあるロシアと歴史的に緊張関係にあり、日本と相通ずるものも多いはずだ。
今回の訪問では、V4との首脳会談のみならず、各国首脳との個別会談も行われた。原子力発電所などインフラ輸出に向けたトップセールスが行われた。ポーランドの隣国のリトアニアで日本の日立製作所の原発の採用が一度は決まったこともあり(その後、同国の原発新設を問う国民投票で反対が6割を超えたことから、計画はペンディングとなっているが、リトアニア政府は建設推進の方向であり、今年4月に日立製作所を含めた各所との交渉再開を発表した)、日本の原発は東欧圏で信頼を得ていると思われる。
そして、首脳会談では、福島での原発事故の教訓を踏まえ、日本が原子力の安全に貢献するとして、原発技術の輸出や省エネなどエネルギー分野での連携を強化することが確認された。会談後には共同声明も発表され、エネルギー分野や安全保障分野などでの協力やV4の東側に位置する ウクライナやベラルーシなどへの民主化支援を協調して行っていくため ODA(政府開発援助)について協議していくことなどが盛り込まれた。
その他の旧ソ連諸国は?
そして、旧ソ連ながらもっとも欧州寄りであり、東欧の一部にみなされることも少なくない、モルドヴァに対しても、積極的な動きがみられる。
モルドヴァ政府から首都キシニョフなどにある国立病院向けに磁気共鳴画像装置(MRI)など最新の医療機器導入計画について協力要請があり、それを受けるかたちで、日本政府は今年1月に、モルドヴァ向けの医療機器の輸出について、早ければ今秋にも約50億円の円借款を供与する方針を固めた。日本の機器などの活用を条件とする方向で、現在モルドヴァ政府と調整中だ。
機器輸出だけでなく、その機材のメンテナンスや操作のための人材育成についても国際協力機構(JICA)が協力することが決まっている。また、JICAはモルドヴァからウサティ保健相や国立がん研究医療センター幹部ら18人を招聘し、オリンパスや島津製作所などの医療機器メーカーや病院などの視察や東芝メディカルシステムズや大手商社など16社が参加した商談会も開催した。
今後、日本政府は、日本の薬事登録制度で認可された製品がモルドヴァの登録制度と同等と認定してもらえるような両国間の取り決めを成立させていく予定である。そして、本事業を近隣のルーマニアをはじめとした東欧諸国やロシアなどでの医療市場を開拓していくための拠点としたい考えだ。
それでは、東欧や旧ソ連の東欧に近い諸国以外の旧ソ連諸国との関係はどうなのだろうか。安倍政権はもちろん、旧ソ連地域の他の諸国との外交関係の進展も重視しており、手付かずの国もあるが、少しずつ成果が見えてきている。
特に、キルギスとカザフスタンからは、先方から積極的なアプローチを受けており、関係深化の予感を強く感じさせる。
2月末には、キルギスのアタムバエフ首相夫妻来日し、27日には首相官邸で安倍首相とアタムバエフ首相の首脳会談と両国のファーストレディ会談が行われた。首脳会談では、キルギスが2015年の国連安全保障理事会非常任理事国選挙(日本は2016年から2年間の任期となる非常任理事国の議席確保を目指している)で日本を支持することや、北朝鮮による日本人拉致問題でキルギスが日本の立場を支持すること、キルギス国内のレアメタル共同磯地質調査で日本企業の進出のためにキルギスが尽力することをはじめとした資源・エネルギー分野の協力強化などを盛り込んだ共同声明への署名がなされた。また、安倍首相は、2005年以降中断している円借款の再開を目指して、キルギスとの調整を進めていく考えも表明した。
また、4月19日には、安倍首相がマミ・カザフスタン上院議長の表敬訪問を受けた。カザフスタンは、石油や天然ガスに加え、レアアース(希土類)、レアメタル(希少金属)を産出する資源大国だ。安倍首相が、カザフスタンの天然資源と日本の先端技術を組み合わせることで両国が互恵的関係を築いていかれると発言すると、マミ議長は同国が日本の先端技術導入に高い関心を持っていることを明かし、二国関係の進展に期待が高まっている。
加えて、ウズベキスタンに対しては、日本側がアプローチを仕掛けている。7月上旬には、経済産業省の幹部がウズベキスタンを訪問し、8日には日本の政府系機関の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)とウズベキスタンの政府系資源機関が原発燃料のウランを共同探査する覚書を交わした。日本での原発再稼働をにらんだ資源の安定供給のため、政府系機関がウズベキスタンのウラン鉱山の権益を確保する動きに出たかたちだ。JOGMECは今後、同鉱山で生産したウランを、商社などを通じて国内外に供給したいという。
このように、なんらかの資源を持つ国との接触が多くみられる一方、安倍首相は、イスラーム諸国との関係強化も進めている。たとえば、7月31日には、駐日イスラーム諸国大使等を総理大臣官邸に招待し、「イフタール」(イスラーム暦断食月(ラマダン)の最中にとられる日没後の食事)の会を主催し、約40の国・地域の代表が参加した。これにより、日本とイスラーム世界との相互理解の進展と関係深化が期待されているが、旧ソ連諸国からも、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンが、つまりトルクメニスタン以外のイスラーム国がすべて参加した。
また、3月29日には、城内外務大臣政務官が、タジキスタンにおける第11回アジア協力対話(ACD)閣僚会合に、岸田外相の代理で出席した。これは、安倍新政権成立後初めての日本政府の政務レベルによる中央アジア訪問となった。
これまで名前のあがっていないアルメニア、グルジア、トルクメニスタンとは具体的な動きが見えていないが、「自由と繁栄の弧」と「価値外交」という外交方針においてそれらの国の戦略性は高く、今後の外交で重要視されていくことは間違いないだろう。
このように濃淡はあるものの、「自由と繁栄の弧」と「価値外交」をかかげ、安倍政権はロシア・旧ソ連、さらに東欧との外交関係の深化に大きな期待を寄せている。北方領土問題など、外交関係の障害は少なくないが、今後の安倍首相の外交手腕に注目していくべきだろう。
サムネイル:「Siberia (taken during flight Shanghai-Amsterdam, April 2006)」Marc van der Chijs
プロフィール
廣瀬陽子
1972年東京生まれ。慶應義塾大学総合政策学部教授。専門は国際政治、 コーカサスを中心とした旧ソ連地域研究。主な著作に『旧ソ連地域と紛争――石油・民族・テロをめぐる地政学』(慶應義塾大学出版会)、『コーカサス――国際関係の十字路』(集英社新書、2009年アジア太平洋賞 特別賞受賞)、『未承認国家と覇権なき世界』(NHKブックス)、『ロシアと中国 反米の戦略』(ちくま新書)など多数。