265
2019.07.16
こんな「リベラル」が日本にいてくれたらいいのに
大賀祐樹
こうすれば介護人材不足は解決する
結城康博
アフリカ
松浦直毅
困窮者を支援するという仕事
山岸倫子
「留学生ビジネス」の実態――“オールジャパン”で密かに進む「人身売買」
出井康博
ヨーロッパのシェアリングエコノミー――モビリティと地域社会に浸透するシェアリング
穂鷹知美
自民党シンクタンク史(9)――「シンクタンク2005年・日本」第一安倍政権崩壊後
鈴木崇弘
今年は梅雨明けが遅れそうですが、いかがお過ごしでしょうか? シノドスの芹沢一也です。「αシノドス」vol.265をお送りいたします。
最初の記事は、前号でリチャード・ローティの解説をお寄せいただいた大賀祐樹さんによる「こんな「リベラル」が日本にいてくれたらいいのに」です。ローティについての文章を読みながら、大賀さんはいまの日本の「リベラル」についてどう考えているのだろうと興味がわき、再度、寄稿をお願いしました。記事で書かれているように、現在の日本には「リベラル」は存在していないし、また過去にもほとんど存在したことはありません。そしていまこそ、「リベラル」を新しく創造しなくてはならないのです。
つづいて、「今月のポジだし」。結城康博さんによる「こうすれば介護人材不足は解決する」です。超高齢化社会に突入する日本、介護人材の確保は喫緊の課題ですが、仕事のハードさと賃金の安さも相まって、なり手がいないというのが現状です。では、どうはればよいのか? 介護職員を公務員化する、というのが結城さんの提案する解決策です。
お次は「学び直しの5冊」。松浦直毅さんによる「アフリカ」を学ぶための5冊です。アフリカというと、紛争、貧困、感染症といった問題に関する報道か、豊かな大自然や伝統文化などの観光情報くらい。しかし、本当のアフリカは? というのもひとつのテンプレートな語りです。そんな「知られざるアフリカ」のイメージから脱却しなければならないという松浦さんが勧める5冊とは?
ついで、ソーシャルワーカーの山岸倫子さんにインタビューした「困窮者を支援するという仕事」。みなさんは、生活困窮者支援という制度をご存知でしょうか? おそらく、多くの方にとって、数年前にそんな法律ができたなあ、くらいの認識かと思います。生活困窮者支援というのは、生活保護制度の一歩手前の制度。では、具体的にはどのような活動が行われているのでしょうか?
そして、出井康博さんの「「留学生ビジネス」の実態――“オールジャパン”で密かに進む「人身売買」」。今年の3月、東京福祉大学の留学生が数多く「所在不明」となっていることが発覚し、「消えた留学生」問題としてニュースになりました。ご記憶でしょうか? マス・メディアは東京福祉大を批判し、国会でも問題となりましたが、この問題、決して東京福祉大だけの問題ではありません。その背後には、留学生を食いものにする構造的な搾取構造があります。
つづいて、穂鷹知美さんの「ヨーロッパのシェアリングエコノミー――モビリティと地域社会に浸透するシェアリング」。ヨーロッパでのシェアリングエコノミーの現状を、スイスのウーバーとアムステルダムのAirbnb、イツのカーゴネックスとスイスのルドテークの事例からレポートしていただきました。課題があるとともに大きな可能性をもつシェアリングエコノミー。これから日本でも広がっていくと思いますので、ヨーロッパの経験に学ぶことは多いと思います。
最後に、鈴木崇弘さんの連載「自民党シンクタンク史(9)――「シンクタンク2005年・日本」第一安倍政権崩壊後」です。小泉改革の波に乗って船出した自民党のシンクタンクでしたが、船出とともに政治の波に翻弄されました。政権交代前夜、選挙に自民党のリソースが注がれる中、シンクタンクへの関心は急速に失われますが、その存在価値を示すために賢明な活動をした「シンクタンク2005年」。しかし、いよいよ政権交代が現実のものとなります。
次号は8月15日配信となります。どうぞお楽しみに!
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