2024.01.05

タイの現代文化を発見!「タイポップカルチャーマーケット2023」レポート

最前線のアジア

2023年10月7日・8日の2日間、タイの現代カルチャーをフィーチャーしたイベント「タイポップカルチャーマーケット 2023」(以下、TPCM)が開催されました。

当日の会場の様子 Photo: MINA SOMA

会場は下北沢の「BONUS TRACK」で、20以上のショップフードブースが出店。トークショーやワークショップなども行われました。タイの文学、映画、ファッション、デザイン、コーヒー、ビールなど、まだ知られていない側面を体験できる貴重な機会となりました。

シノドス・アジアのメンバーであり、タイ出身のノース(チャチャダー・カムラングパット)と共に、筆者は10月8日にTPCMに参加しました。通常、タイといえば濃い緑色や赤色のイメージがありますが、会場はパステルカラーで鮮やかに彩られ、従来のイメージを大きく超える雰囲気でした。このレポートでは、そんな新鮮な体験についてお伝えします。

当日の会場の様子 Photo: MINA SOMA

「マムアンちゃん」に続く、タイキャラクターを探す

特に注目を集めていたのが、「マムアンストア」です。タイ出身の漫画家・ウィスット・ポンニミットさんが生み出したキャラクター「マムアンちゃん」のグッズを販売するブースです。限定Tシャツ、ぬいぐるみ、フィギュア、ポスター、クリアファイルなどが販売されていました。

日本でも有名なマムアンちゃんは、アパレルや日常雑貨などさまざまな商品で展開されています。キャラクター市場の競走率が高い日本で、ここまでの人気を獲得したことは本当にすばらしいことだと思います。

「マムアンストア」 Photo: North

会場では、2023年で7年目を迎える「タイキャラプロジェクト」の存在を知りました。タイ国大使館商務参事官事務所が主催し、タイ生まれのキャラクターを紹介するプロジュクトです。ますます勢いを増すタイのキャラクター市場の動向は、今後も注目していきたいです。

「タイキャラプロジェクト 2023」メインビジュアル 画像提供:タイキャラプロジェクト

タイデザインの一端に触れる

イベント内で実施された「POLLYのライブドローイング2023」では、東京で活躍するイラストレーター・グラフィックデザイナーのPollyさんが似顔絵を描きながら、タイのデザインについて語ってくれました。このセッションは、タイデザインについて考えるきっかけとなりました。

Pollyさんは、芸術分野にも適用される日本政府の奨学金を活用して来日し、多摩美術大学の大学院へ進学しました。Pollyさんによれば、日本の地方のお土産ですら非常に高いデザイン性を保っており、日本自体がデザインを勉強する場として適しているそうです。

「POLLYのライブドローイング2023」の様子 Photo: North

イベント会場には他にも、バンコクから来たクリエイティブスタジオ兼リソグラフ印刷サービス「Witti Studio」や、デザインスタジオ「Teaspoon Studio」のブースも出店されていました。大胆な配色、南国特有のモチーフなどタイならではのデザイン性を、ブースに並ぶアイテムから垣間見ることができました。

フォームの終わり

デザインを一着に落とし込むタイファッション

トークショー「夏じゃなくても楽しい!タイファッションミーティング2023」では、日本とタイの両国で活動するスタイリスト・makabeさんからタイファッションに関する貴重な情報を得ることができました。makabeさんによると、日本では重ね着が一般的ですが、タイは熱帯地域であるため、あまり重ね着をしないそうです。このことから、一着に独特のデザインを落とし込む技術が発達し、それがタイファッションの魅力の一つになっています。

この特徴は、イベントで出店していた「SUE」というブランドの服を見れば一目瞭然です。こちらのブランドは、オリジナルのテキスタイルを用いた色鮮やかなファッションで独自性を発揮しています。日本とは異なる文化的背景を持つタイファッションの方向性を知ることができました。

ファッションブランド「SUE」のブース Photo: MINA SOMA

タイのデザイナーブランドの多くは、オンラインショップで商品を販売しています。気になるブランドがあれば、各々のオンラインショップから直接購入するのがよいでしょう。店舗で商品を見たい場合は、セレクトショップを訪れるのが一般的です。バンコクに行く機会があれば、「The Wonder Room」や「FRANK!GARCON」など、新進のタイデザイナーのブランドを取り扱うショップに訪れてみてください。

 
 
 
 
 
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パッタイだけじゃない!タイ発フードの魅力

パッタイやトムヤムクン以外にも、タイの食文化にはたくさんの魅力があります。そのことをタイ産のクラフトビールブランド「FULLMOON BREWWORKS」が気づかせてくれました。2010年にプーケットで創業したこのブランドは、地元民と旅行者の両方をターゲットにした風味豊かなビールを提供しています。国際的なビールコンテスト「WORLD BEER AWARDS」で金賞を受賞するなど、国内外で人気を博しています。

今回は、「BUSSABA EX-WEISSE」と「SAY PLAY COLD IPA」の缶ビールセットを購入しました。特に「BUSSABA EX-WEISSE」は、タイ南部地方の特産品であるジンジャーフラワーが使用されており、軽やかで飲みやすい味わいが特徴です。柔らかい口当たりが好きな方におすすめします。

「FULLMOON BREWWORKS」のブース Photo: MINA SOMA

また、タイ産の豆にこだわる「Coffee Session เชื่อม มิตร」では、タイのコーヒーを堪能しました。チェンマイの「TASTE CAFE」で焙煎されたタイ豆のアイスコーヒーと、かわいらしいピンク色のアイスカフェオレは絶品です。みなさんも機会があれば、タイ発のクラフトビールとコーヒーをぜひ試してみてください。

おわりに

以上、イベントのレポートをお届けしました。ここまで読んでいただいたみなさんも、タイの現代文化の豊かさを実感できたのではないでしょうか?TPCMは伝統や観光という既存の枠にとらわれないタイの一面を示すだけでなく、タイと日本の新たな交流の観点と方法を提案しているのだと思います。シノドス・アジアも、こうした先進的な取り組みをどんどん紹介・実施していきたいです。

「タイポップカルチャーマーケット2023」 Photo: MINA SOMA

シノドス・アジア メンバー ノースのコメント
タイのクリエイティブなプロダクツや、それらを愛する日本人の情熱にとても感銘を受けました。イベントでスポットが当たっていたものは、タイのキャラクター、アーティスト、食べ物、コーヒー、クラフトビール、チョコレート、ファッション、小説、ドラマなど多岐にわたります。さまざまなブースやセッションでタイや日本の人々とお話し、イベントに対する思いや考えを共有しました。
興味深いことに、タイのポップカルチャーは日本で当然のように人気があります(タイBL、タイキャラクター、タイファッション)。日本の人々はインターネット、ソーシャルメディア、タイへの旅行を通じてこれらの情報を得ているのです。タイ人として、日本人がタイの文化や製品に興味を持っているのを見るのはうれしいことでした。辛さや味の多様性で知られるタイ料理、舞踊やボクシングなどの伝統的なタイ文化だけでなく、ポップカルチャーも日本人の間で注目を集めています。
シノドス・アジアは、このイベントへの参加を通じて強いインスピレーションを受け、日本とタイの間の橋渡し役としての新しい可能性を見出しました。両国は長期間にわたってパートナーシップを築き、公的レベルと個人レベルの両方ですばらしい関係を作り上げています。ポップカルチャーは、このどちらのレベルも網羅することが可能です。タイと日本の両政府は資金提供や奨学金などの文化交流プログラムを通じて、お互いをサポートしています。シノドス・アジアも日本にタイをさまざまな方法で紹介し、またタイにも日本をこれまでにない方法で紹介するこの両方を目指しています。タイと日本の理解を深めるために、社会科学分野のシンクタンクとして批判的で深い視点の分析を示していきたいです。

坂本かがり
編集者・ライター。SYNODOSとSYNODOS ASIAでは、編集・取材・動画編集・記事執筆を担当。写真関連のプロジェクトや、文化・教養イベントの企画・制作に従事。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了(情報学)。