経常収支黒字減少のなにが問題なのか?

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一方、輸入はどうか。輸入増加は、(1)燃料輸入、(2)製品輸入の2つに分類できる。

 

 

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燃料輸入を数量と価格に分けると、原油、液化石油ガス、石炭の輸入数量は横ばい、ないしは緩やかに減少している(図6,7)。液化天然ガスの輸入数量は2011年に急激に増加したが、それ以降は高水準ながらもほぼ横ばいで推移している。また、これらの燃料の価格は石炭を除けば上昇基調で推移しているが、上昇ペースは、世界の生産指数の上昇テンポとほぼ同じで緩やかである(図8)。

 

輸入金額の急激な増加が貿易赤字拡大(もしくは貿易黒字の減少)の主因となる局面は2011年から2012年にかけての現象であり、2013年以降の現象を意味するものではない。よって最近の燃料輸入の状況をみると、将来的に輸入金額の減少ペースを緩める要因になったとしても、今後も貿易赤字を拡大させていく要因にはなりにくいと思われる。

 

 

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一方、製品輸入はこのところ増加傾向で推移している。「製品輸入の増加」となれば、これまた日本企業の競争力低下の証と考えがちであるが、国内経済活動(例えば、国内産業活動指数)に対する製品輸入の感応度(図9の傾向線の傾き)をみると、リーマンショック後とほとんど変わっていない。ただし、両者の関係はリーマンショック後に左にシフトしている。すなわち、景気とは独立した部分での、日本の製品輸入が増加しているのは事実であるようだ(これは前述の「国際収支の発展段階説」の観点からみても致し方ないと考えられる)。ただ、これを加味しても、国内産業が空洞化した結果、日本は製品をも海外から輸入せざるを得なくなったというよりも、国内の経済活動が活発になり始めたが故に、製品輸入の需要が増えていると考えた方がよいだろう。

 

以上より、輸入金額の増加は、燃料輸入の急増というよりも、アベノミクスによる内需拡大がもたらした製品輸入の増加によるところが大きいと結論づけられる。

 

 

なぜ経常収支問題が騒ぎ立てられる?

 

このように、日本の経常収支黒字の急減、及び貿易収支赤字の拡大は、日本の製造業がグローバル競争に敗れつつあるために起こっている訳でもなく、原発再稼働が実現しないことによる燃料輸入の急増によるものでもなく、日本を除く世界経済の回復ペースが緩やかである一方、アベノミクスによる日本の内需の回復ペースが早い、という日本と世界の景気回復ペース(及び回復のモメンタム)の「非対称性」から生じた現象であると考えた方がよいと思われる。

 

日本の経常収支の先行きに警鐘を鳴らす論者の多くが同時に、(1)今後、経常収支赤字が定着、もしくは拡大すれば、日本の財政に対する信認が揺るぎかねない、よって、予定通り消費税率を2015年10月より10%に引き上げ、財政再建に対するコミットメントを強化すべきだ。(2)経常収支赤字の長期化を回避するためには、一刻も早く原発の再稼働を実現する必要がある、という考えを開陳している。

 

消費税率引き上げと原発の再稼働は、安倍政権の命運を左右しかねない大きな政治イシューであるが、今回の経常収支問題は、この政治イシューについての真剣な議論を回避するために、危機を意図的に扇動されて印象がなきにしもあらず、である。

 

サムネイル「Red Black」@Doug88888

http://www.flickr.com/photos/doug88888/6112052754/

 

 

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