2024.10.31
「瞬間英作文」が英会話の上達に役立たない本当の理由とは?
おそらく英会話を身につけようとしている人のほとんどが、一度は「瞬間英作文」をやったことがあると思います。
「瞬間英作文」とは、日本語の文を見て即座に英語に訳すトレーニングです。英会話力を鍛えるのにもっともすぐれた学習法だと言われています。
この方法で満足いく英会話力を手に入れた方はそれでいいのですが、ぼく自身の経験から、そしてぼくのコーチングを受けている生徒の状況をみると、この学習法、そんなに効果があるとはとても思えません。
はっきり言うと、この方法では「言いたいこと」が言えるようになりません。
「言いたいことが言える」というのは、みなさんが日本語を話しているときにもつ感覚と一緒のものです。
いかがでしょうか?
「瞬間英作文」をやられている方、日本語と同じように、あるいはそれに近い感覚で、英語を話せるようになりましたか?
ひとつの文を言って終わりではなく、頭に浮かんだことを、ストレスなく英語にしていく、そんな感覚が出てきましたか?
おそらく、ほとんどの方がNoと言うのではないでしょうか?
そうであるなら、「瞬間英作文」では結局、英語を話せるようにならないということです。
ぼくはその理由は、「瞬間英作文」が「瞬間」であることにあると考えています。どういうことでしょうか?
具体的に考えてみましょう。
「瞬間英作文」は、たとえば次のような日本語を、瞬時に英語にするトレーニングですよね。みなさんも考えてみてください。
「私たちは3年前からこの町に住んでいます。」
みなさんは、この日本語を瞬時に英語にするとき、どのように頭を動かしましたか?
おそらく、とにかくパッと答えようとしただけ、ではなかったでしょうか?
「瞬間英作文」を長くやった生徒を見ていると、やはりそうなんです。
とにかく、パッと答えようとする。そして、できるものは英語にできるのですが、できないものはまったくできない、これが本当によくみる光景です。
あるいは、少し複雑になると、まったくダメ。
なぜこのような結果になるのか?
それは、「瞬間英作文」が、話し手の「主観」を無視しているからだと思います。でも、この「主観」こそが、一番大事なところなんです。
少し考えてみてください。日本語でも、英語でも、何か話したいことが頭に浮かび、それを日本語、あるいは英語で表現するわけですよね。そして、これは「主観」で起こっていることです。
「瞬間英作文」はいわば「刺激」(日本語)と「反応」(英語)ですから、この「主観」の領域を無視して、ただ「刺激」(日本語)を与えられたら、それに「反応」(英語)するだけの学習法です。
一番大切な「主観」がブラックボックスになっています。
では、英語を話すときに、「主観」で起こっていることは何なのか? 先の例で説明してみます。
「私たちは3年前からこの町に住んでいます。」
英語の世界では、誰か、あるいは何かが、何かをしています。それが何よりも先にまず、主語と動詞として表現されます。
この例文の場合は、「私たちは住んでいる」という部分です。ここが英語になると、
“I have lived”
となります。
このように、何かを言おうと思い浮かべると、英語での頭の動かし方は、「誰が、あるいは何が、何をしているの?」です。
さて、「私たちは住んでいる(I have lived)」と言われたら、「どこに住んでいるの?」という疑問が浮かびますよね。それに答えるために、「この町に(in this town)」が次にきます。
そして、「それは、どのくらいのあいだ?」という疑問に答えて、「3年間(for three years)」が最後に来ます。
こうして、
“We have lived in this town for three years.”
という英語の文章ができあがるわけです。
「瞬間英作文」と比べると、いかにも迂遠な気がしますが、しかしネイティブの「主観」で起こっていることを、超低速で再現するとこうなるのです。
逆にいうと、英語をストレスなく話したければ、このように頭が働くようにしなければなりません。そのためにできることは、残念ながら「瞬間英作文」ではありません。
「瞬間」どころか、最初はむしろゆっくりと頭を動かしてください。
できれば、日本語を見てイメージを思い浮かべて、そのイメージのなかで、「誰が、あるいは何が何をしている」のかを探してみてください。
このような頭の働かせ方こそが、いわゆる「英語脳」と言われるものです。
最後にひとつ、試しに練習問題を解いてみましょう。下線部分の日本語を考えてみてください。
「小さなころ、実家で犬を飼っていました。その犬は、公園でぼくが拾ったものでした。」
人は頭に浮かんだ順番に話します。私たちは日本人ですから、このように、「その犬は」の部分が最初に頭に浮かぶので、「その犬は」と言います。
英語を話しているときも、当然このような「日本語脳」が顔をのぞかせます。そして、“This dog” と思わず口にしてしまい、そのあとがつづかなくなるのです。
では、この文章では、誰が、何をしていますか?
「ぼくが拾った」というのが正解ですよね。
ですので、
“I found(ぼくが見つけた)”
という主語と動詞が、まず出てくる必要があります。
そして、「何を見つけたの?」という疑問に「その犬(that dog)」と答え、ついで「どこで見つけたの?」という疑問に「公園で(in the park)」と答えます。
“I found that dog in the park.”
このように頭を動かすことで、「英語脳」が育ちはじめます。あとは、それを上手に伸ばして行けば、英語がストレスなく話せるようになっていきます。
「瞬間」ではなく「スロー」で、つまり「スロー英作文」で、ゆっくりとやってみてください。瞬発力というのは、あとで自然についてきますよ。
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