わたしの、詫び状

10年以上前に亡くなったわたしの祖父は、浪江町の反原発運動家でした。

 

【全逓】。「ゼンテイ」と読みます。【全逓信労働組合】の略称です。【逓信省】という組織がかつて日本にはありました。郵便、電話、通信をすべて一手にひきうけていた行政機関です。

 

じいちゃんは、【全逓】。くそ真面目な、町の郵便局員だったのです。定年までずっと、一配達員でした。

 

孫のわたしは、大人の難しい事情はよくわかりませんでしたが、原発に反対したり、組合運動をしたりすると「出世できないのかなあ」ということは、子ども心にぼんやりと思いました。でもわたしは、じいちゃんが好きでした。近所の人たちからも、好かれていたように思います。お葬式の時には大勢の人がオウオウと泣いていたことを、覚えています。

 

2011年3月11日。あの瞬間。わたしは「めるとだうんする」と、反射的に思いました。それは論理でも危機管理でもなく、「我が家の教訓」によるものです。

 

「めるとだうん」、「ねんりょうぼう」や「ろしん」。これらの単語は、我が家では「カレーライス」とか「ラーメン」と同じレベルの言葉でした。じいちゃんがしつこく繰り返し唱えたので、覚えてしまったのです。

 

原発が「めるとだうん」することは、わたしにとっては「想定内」。

 

福島第1原子力発電所が、東京電力によって建てられたものであり、東京の人が使う電気を作っていることを、幼稚園児の時から知っていました。それでもわたしは、今日まで、東京で何もしませんでした。

 

「ずっと嘘だったんだぜ」と責められても、言い訳はできません。する資格が、ありません。

 

「ずっとなにもしなかったんだぜ~」

「言い訳は~『想定内』」

 

そんな言い訳が、通用するはずはありません。

 

今日、生まれてくる子に。まず心から、お詫びを申し上げたい。

 

(本記事は5月30日付「福島民友」記事からの転載です)

 

 

 

 

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