3・11から2年半 被災地仙台の復興は進んだか? ―― 現地の大学・NPOの共同調査から見る被災地の現状と課題

大学生×NPOの可能性

 

佐藤 調査員としてぼくのゼミ生も参加させていただいています。最後に、教育という観点から、この調査にどのような意義や展望があるのかお話しします。そもそも、どうしてぼくがPOSSEに声をかけたのかと言うと、大学教育がうまく言っていないといわれるなかで、若い学生たちの可能性を捨てたくないと思っているからです。

「最近の学生たちはやる気がない」なんていうのはよく聞かれるクリシェですが、それは嘘です。大学に入りたての一年生に接してみれば分かるように、みんな何か学んでやろうとして大学に入っています。だけど、そうした問題意識は一年も続きません。それは学生たちが悪いんじゃなくて、われわれの問題だと思っています。

社会の流動性が高まっていくなかで、テキスト中心、座学中心の授業だけをやっていても効果は薄い。それで試験で点数を取って単位を取得して卒業したからといって、それがなんだっていうんでしょうか。現実に学生が必要としているのは知行合一的な、行動し、実践するための知識です。社会に関わって、最終的には社会を変えていくような知識をどうやって学んでいくのか。そこで、ぼくより若い大学生や大学院生を含めた人たちが立派な活動をやっているということで、POSSEに関わらせてもらうことにしました。POSSEのメンバーは、ぼくのゼミ生と年齢も近いので得られるものも多いだろう、たくさんの刺激を受けるに違いないと考えたんです。

 

渡辺 今年の4月に、突然佐藤先生から「ゼミをどうするか相談したいんですけど」と電話がかかってきたんですよね(笑)。

 

佐藤 ええ、ゼミの始まる2日前とかそんな感じですよね。前にもらった渡辺さんの名刺を一生懸命さがして。それで電話かけたらすぐOKしてくれたんでしたよね?

 

渡辺 はい、その場で。やりましょうと。ずっと調査をやりたいとは考えていたんです。POSSEでも4月にボランティア募集をするのですが、なかなか人が集まらなくて、そんなときに佐藤先生から連絡があり、渡りに船という感じでした。

 

佐藤 実際、学生はよく勉強してくれています。POSSEでは勉強会もやっていて、日曜日に3時間ぐらい勉強するんです。今どき、日曜日に勉強している大学生がいるでしょうか(笑)。 ゼミでも当然文献を読むし、ボランティアもやる。もちろん、バイトもしています。その中で鍛えられて、学生の成長を実感しています。

 

渡辺 正直、ゼミと一緒にやるのはぼくたちとしても不安がありました。というのも、POSSEのボランティアは自発的に何かをやりたくて来る人たちですが、ゼミというのは、ある種制度的に集まるところです。中には、あまり気が進まないけど先生に言われてしょうがなく参加する人もいるのではと思っていました。ところが、佐藤ゼミの学生はすごく積極的で様々な支援の現場にも参加してくれている。いい意味で予想が裏切られましたね。

 

佐藤 先日、インゼミで他の大学の学生と議論させたのですが、考える力も喋る力も他大学の学生とは格段に違うと感じました。要するに、教育のあり方は変えられる。それをぼくの学生は実証してくれていて、うれしく思っています。だから、この仮設調査は、元気な学生と若いNPOとの共同調査という点において、大学教育のあり方そのものを問い、変えてしまうことになるのかなとも考えています。

 

渡辺 幸運にも、こうやって、佐藤ゼミの協力も得られながら調査を進めているところなので、これから秋にかけて調査を重ねて、まとめたものをシンポジウムやイベントの形で発表していきたいと思っています。

 

(2013年9月6日、仙台POSSE主催シンポジウムにて収録)

 

 

 

 

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