福島レポート

2018.05.12

福島県民の内部被曝状況は?

基礎知識

福島第一原発事故によって、福島県民はどの程度、放射線による内部被曝をしたのでしょうか? 

もっとも大規模な調査は、早野龍五氏らによる調査です。調査からは以下の2点が明らかになりました。 

まず、ホールボディカウンターで福島県民約2万4000人の内部被曝状況を調べた結果、99%の人から放射性セシウムによる放射線が検出されませんでした。このときの検出限界値は300ベクレル/人です。 

たとえば、体重60kgの成人の場合ですと、放射線カリウムという放射性物質がつねに4000ベクレル/人ほど存在しています。検出限界値の300ベクレル/人とは、それと比べて10分の1以下の小さい値です。その300ベクレル/人のホールボディカウンターで検査しても、放射性セシウムが300ベクレル以上の人は99%いなかったということになります。 

次に、福島第一原発から西約50キロにある福島県三春町の小中学生1383人を検査しました。この検査は多様なライフスタイルをもつ家庭の児童を対象としているため、より網羅性のあるものだといえますが、1人も検出されませんでした。 

福島県内で検出された1%の例は、多くが山間に住む高齢者で、裏山などで採った天然のキノコや山菜、そしてイノシシなどの野生動物を日ごろから食べている人たちです。しかし、こういった人たちについても、健康影響が心配されるような被曝量ではありませんでした。 

また、放射性セシウムは代謝によってカリウムなどと同様に体外に排出されます。このため、一度体内に検出があった人たちも、数ヶ月間天然キノコや山菜、野生動物などを食べないように注意したところ、非検出となりました。

●参考リンク

Internal radiocesium contamination of adults and children in Fukushima 7 to 20 months after the Fukushima NPP accident as measured by extensive whole-body-counter surveys
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjab/89/4/89_PJA8904B-01/_pdf

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