7年連続! 福島市の荒川「水質が最も良好」

福島市内を流れる荒川は、国土交通省により、7年連続で「水質が最も良好な河川」に選ばれています。

 

荒川で水面をのぞき込むと、川底の小石の模様がくっきりと見えます。河岸の小石よりも鮮明に見えるほどで、澄んだ水が遮るものをすべて洗い流しているようにも感じます。

 

荒川にはかつて堰堤がいくつか造られたそうですが、そのうち最も古く、大正時代に造られたのが「地蔵原堰堤」です。国の有形文化財に指定されたこの堰堤を流れ落ちる流れは清らかで、落下の際に飛び散る水の粒は天然のミストとなり、私たちに涼しさを与えてくれます。近隣には「荒川桜づつみ河川公園」もあり、220本のソメイヨシノが市民に春の訪れを告げます。

 

国交省の調査は、全国の1級河川を対象に実施されています。調査では、水質の代表的な指標である「BOD」(生物化学的酸素要求量)を計測します。これは、水に含まれる有機物などを分解するために必要な酸素の量を表しています。河川や湖に生活排水やゴミが多く流れ込んでいれば、BODは高くなります。国交省は、BODの年間平均値が1リットル当たり0.5ミリグラム以下の河川を「水質が最も良好な河川」としています。

 

荒川は、阿武隈川水系に属しています。阿武隈川は福島県南部に発し、中通りを北へ流れて宮城県で太平洋に注ぎます。総延長は全国6位の239キロにも及ぶ、福島を代表する河川ともいえます。荒川は、この阿武隈川のうち、福島市内だけを流れる支流です。

 

福島市が、住民に水道水の使用について訊いたアンケート調査があります。2014年には、「水道水を利用することに不安を感じる」とした人にその理由を聞いたところ、「放射性物質が不安だ」と答えた人が59.7%に上りました。

 

東京電力福島第一原発事故のあった2011年の5月以降、福島県によると、県内の飲料水(水道水、井戸水)から放射性物質が検出されていないことがわかっています。しかし、たとえ科学的事実がそうであっても、これほど豊かで美しい水流に恵まれた福島の市民に、水道水を飲むことへの不安を抱かせたことを思うと、改めて原発事故の罪深さを感じざるを得ません。

 

ところが、この不安は数年後に大きく減少します。2017年に公表された調査結果によると、「放射性物質が不安で水道水を使わない」と回答した人は32.4%となりました。2014年からはほぼ半減しています。福島市民が水道水の安全性の理解を深めたことも大きな要素でしょう。それと同時に、荒川のように暮らしの傍らにある水の流れが、美しく清らかにあり続けたことも、人々に安心を与えてくれたようにも思えます。

 

原発事故が、人々の生活の営みだけではなく、人と自然との関係を大きく変えてしまったことは間違いありません。一方、身近な自然が豊かであることは、もう一度人との関係を築きなおす手助けをしてくれます。

 

福島市の水道水は、荒川と同じ阿武隈川水系に属する摺上川ダムから供給されています。福島市水道局は、水道水をペットボトルに詰めた「ふくしまの水」の製造、販売しています。ふくしまの水は、国際的な品質評価コンテスト「モンドセレクション」で2年連続最高金賞に輝きました。

 

 

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