杉沢の大スギ――国内最大級にして福島県最大の巨木

福島県二本松市杉沢に、県内でもっとも大きな木があります。「杉沢の大スギ」と名付けられた木で、高さ40.9メートル、幹回り13.4メートルに及びます。福島県が県内の樹木をまとめた「巨木ランキング」で1位とされたほか、スギの単木としては国内最大級とされています。

 

二本松藩主の丹羽光重氏が嘉永20年(1643年)に領内を巡検した際、見事な大スギに感服し、「杉沢の大スギ」と名付けたそうです。大スギは地域のシンボルとなったため、地名も杉沢に変わりました。推定樹齢は約600年ですが、1000年を超えるという説もあります。太平洋戦争中の昭和18年(1943年)に、国の天然記念物に指定されました。

 

東北地方では、自宅の裏山などで育てる森林を居久根(いぐね)と呼ばれています。数十年ごとに自宅を新築する際や、重い病気でまとまったお金が必要になった時に、居久根の木を伐って売ったそうです。年々確実に成長し、建材にも適したスギの林は、代表的な居久根の一つでした。

 

数百年の時を重ねてきた大スギは、地域の人たちによって大切に育てられ、守られ、畏敬の対象とされてきました。ただ、長い歴史の中で危機に瀕したこともあったようです。大スギの周辺で、明治期に多くの木が切られて売られたことがありました。大量の木を切らなければならないほどの、厳しい社会状況が推測できます。

 

このときに、大スギを伐採することも検討されたものの、地域の人たちの強い意志で守られたと伝わります。大スギを売れば、当時の経済的な苦境の助けになったことは間違いないでしょう。それでも、先人の遺産を守り、次世代につないだ人たちの思いがありました。こうした誇り高い人たちが、福島の地域の伝統をつないできたのです。

 

「ふくしま森マップ」(http://www2.wagmap.jp/fukushima-shinrin/Portal)では、福島県内の巨樹・巨木を検索できます。

 

 

 

 

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