福島レポート

2021.01.15

福島県浪江町からはじまるエネルギー革命――世界最大の水素製造施設

遠藤乃亜 / ライター

福島の暮らし

福島県浪江町に、2020年2月末、水素を製造する施設「福島水素エネルギー研究フィールド」が完成しました。この施設の水素製造量は世界最大級です。水素は、発電の際に二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーとして世界中が注目しており、この技術が被災地の復興につながることが期待されています。

地球温暖化に伴う気候変動が進行し、世界中で豪雨や熱波などの甚大な被害を及ぼしています。温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を抑えるため、各国が再生可能エネルギー導入を促進するなどの様々な対策を講じています。水素は酸素と反応させることで電気を得ることができます。反応時には水が生成されますが、化石燃料と違って温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しない特長があります。「究極のクリーンエネルギー」と言われるゆえんです。

福島水素エネルギー研究フィールドの水素製造能力は、最大で1時間当たり2000ノルマル立方メートル(0度、1気圧条件下のガス量)にのぼります。定格運転時は1時間当たり1200ノルマル立方メートルの水素を製造できます。これは、1日の稼働で、一般家庭ならば約150世帯の消費電力をまかなえる量であり、燃料電池車(水素を燃料とする電気自動車)ならば約560台を満タンにできる量です。

水素は発電時に二酸化炭素を排出しません。ただ、水素をつくるために、一般的には水を電気分解する方法がとられます。この電気分解に必要な電力を得るために、化石燃料を使えば、二酸化炭素が大量に排出されてしまい、クリーンエネルギーとは呼べなくなってしまいます。そのため、再生可能エネルギーを使って水素をつくる方法が模索されています。

福島水素エネルギー研究フィールドでは、敷地面積22ヘクタール(東京ドーム5個分相当)のうち、18ヘクタールに太陽光発電パネルが設置されています。太陽光発電によりクリーンな水素を製造する仕組みです。

福島県は、東日本大震災の際の東京電力福島第一原発事故で、大きな被害を受けました。その経験もあり、県は、「再生可能エネルギー先駆けの地」を掲げ、取り組んでいます。水素製造施設のある浪江町も、2020年11月に、水素を町の産業活性化につなげるための「なみえ水素タウン構想」を策定しています。

福島水素エネルギー研究フィールドは、東北電力が「浪江・小高原子力発電所」を建設するために取得した土地につくられました。

東京電力福島第一原発事故を受け、東北電力は原発建設を断念し、浪江町に土地を無償譲渡しました。その場所に次世代エネルギーの水素製造拠点ができたことは、時代の大きな変革を象徴していると言えるのかもしれません。

参考リンク

再エネを利用した世界最大級の水素製造施設「FH2R」が完成(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101293.html