「まじめでいい人なんだけど、なぜかモテないよね」――『愛される会社のつくり方』他

『愛される会社のつくり方』(碩学社)/横田浩一・石井淳蔵

 

「まじめでいい人なんだけど、なぜかモテないよね」と言われたことはないだろうか。

 

実は、そんな「いい人だけどモテない」という悩みを抱えているのは、人間だけではない。会社も同様なのだ。

 

準大手クラスのエレクトロニクス企業・吉村電工。顧客のニーズに合わせたニッチな商品を短期間で商品化できる高い技術力を持つ。BtoBが事業のメインだが、BtoCも同時に行っている知る人ぞ知る企業だ。しかし、ライバル企業のA社には、認知度、好感度、就職意向のどれもが負けている。なぜか「愛されない」会社なのだ。

 

そんな吉村電工に10年間勤める経営企画部のタカシくん(33才・妻子あり)は、新社長から社内にブランディングチームをつくるよう指令される。しかし、指名されたはいいが、タカシくんはブランディング戦略なんてやったこともない。とりあえず、新宿の大型書店のビジネスコーナーで「ブランド」と書かれた本を立ち読みしてみる……。

 

今回紹介する『愛される会社のつくり方』は、主人公のタカシくんが、途方にくれるところからはじまる。新社長、あまりにも抜擢の仕方が雑じゃないか、と思うのだが、会社とは意外にそういうものなのである。

 

というわけで、タカシくんは社内でプロジェクトチームをつくるのだが、メンバーの選定も思い通りにいかない。苦手な先輩である超体育会系営業マン小倉さんや、他部署とよくぶつかることで有名な技術部の山田さんなどが選ばれてしまう。案の定、メンバーたちは、ブランディングに難色を示す。読んでいるだけで胃がいたい。

 

さてさて、タカシくんはどうなってしまうのか。無事、「愛される会社」をつくることができるのか。ちなみに、吉村電工は架空の会社であるが、資生堂やコマツといった、実際の企業の事例を紹介するなど、実在しているのではと錯覚してしまうリアリティとディティールの細かさが本書の魅力だ。堅苦しいブランド論を、生き生きと学ぶことができるだろう。

 

「いい人だけど、モテない」吉村電工の姿に、どこか自分の姿を重ねてしまう人はぜひ手に取って欲しい。(評者・山本菜々子)

 

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