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『日本版カジノのすべて しくみ、経済効果からビジネス、統合リゾートまで』(日本実業出版社)/木曽崇

 

いままさに議論の最中にあるカジノ法案。毎日新聞が10月に行った調査によると、賛成が31%、反対が62%と圧倒的に反対が多いのが現状だ。

 

しかしわれわれが「カジノ」と聞いて抱く印象と、カジノ法案で議論されている内容には大きな乖離があるではないか。例えば、カジノと聞いてイメージするのはラスベガスでの一夜の夢であり、ギャンブルと言えば、パチンコや競馬などを想像するのが一般だろう。いま議論されている内容は単に「日本でカジノ(ギャンブル)の風通しを良くする」といった単純な話ではない。

 

本書は私たちの考える「カジノ」のイメージを繰り返し覆していく。なぜカジノ合法化が統合型リゾートと共に語られるか、犯罪率やギャンブル依存症といったリスクとともに正直に、そして丁寧に語る。それだけではない。本書は、今後の日本の産業界のあり方までもを問うているのではないか。

 

ページをめくるごとに驚きがある。例えば、ラスベガスのカジノに訪問する観光客の主な特性をみると、ギャンブルを目的とする人はたった8%で、休暇や娯楽を目的に訪ねる人間は47%とその割合は圧倒的に多い。ギャンブルと聞いて思い浮べるであろう犯罪率も、ギャンブルとは関係なく、観光産業の振興がすべからく治安を悪化させる可能性が高いことを述べている。つまりカジノ法案にかぎらず、これから観光産業を振興していくにあたって、治安対策を考えねばならないということだ。

 

ただでさえ印象論で語られがちなカジノを、地方活性化の起爆剤として利用するにあたって、私たちがまず知らなくてはいけないのは、言うまでもなくカジノの実態である。カジノ法案が通過したとき、統合型リゾートを使って地方活性化を狙うならば、イメージに基づくカジノをもとに議論を重ねるのではなく、経済効果そしてリスクを伴う、カジノ事情を把握していくことこそが必要なのである。

 

カジノ市場が開拓されていないアジアでは、日本の国際競争力が問われている。もし、地方活性化にカジノを利用するのであれば、もっとも効果的な利用方法を考えなくてはいけない。反対に、カジノ合法化を反対するのであれば、そこで得られるベネフィットとリスクを把握していなければならない。カジノ合法化と統合型リゾート導入の後進国である日本は、今後どのように立ち振る舞うべきなのか、いま手に取るべき一冊である。(評者・金子昂)

 

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