機密費問題で問われたジャーナリズムの倫理  

旧来的リベラリズムの難点

 

また、一連の議論のなかで繰り返されてきた、「政治言論に関わる者は、政治家からお金をもらってはいけない」という前提には、旧来的なリベラリズムの抱える難点も含まれる。

 

政治を監視するためには、政治権力から自立した市民であることが求められるということ。しかし実際問題として、自立した市民という位置を獲得する者は、往々にして既存メディアなど「中央」に近いものに偏り、本当にマージナルな者がその立場を維持するのは難しくもある。

 

つまるところ現状では、「一部の例外」が不安定な状況のなか、で積極的に言説を紡いでいく行為に頼るしかないのだ。

 

 

日本政治の成熟に向けて

 

ただ、おそらくこの原稿を読んでいる方のうち、少なくない人がtwitterなどで特定の論者を「応援」し、それら論者の発言をメディアが編集なしで報道したか、論点を正しく明示したかといったメディアチェックを行っているだろう。

 

メディアチェックの作業自体は、決して中立的な立場からのみ行われるものではないが、その応酬が繰り返されて行くなかで浮き彫りになっていく係争点は多くある。そしてウェブメディアの多くは、その「祭り」を可視化させ、加速させていく役割を担っている。それはまだまだ小さな火ではあるが、火種はたしかに燃えつづけている。

 

ようやく言及されつつあるメディアの課題を論じることなしに、日本政治の成熟は果たされない。

 

 

参考記事

琉球新報:機密費、評論家にも 野中元長官、講演で証言

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-161420-storytopic-3.html

TBS『NEWS23クロス』シリーズ追跡:官房機密費

上杉隆「私は死んでも追求を止めない!『官房機密費もらった記者いないか』大新聞・テレビの回答書を公開する――久米宏、池上彰、勝谷誠彦ら「非記者クラブ」のジャーナリストが次々援軍に」『週刊ポスト』(2010年6月25日号)

「現代ビジネス緊急対談「田原総一朗×上杉隆」 民主党政権について」

http://www.ustream.tv/recorded/7412783

田原総一朗×上杉隆「私が体験した『政治とカネ』のすべて」

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/657

ニュース探究DIG:6月10日(木)「世論調査を考える」

http://www.tbsradio.jp/dig/2010/06/post-136.html

J- CASTニュース:わたしはこれで記者を堕落させた 「機密費」で接待、「女」も用意 平野貞夫・元参院議員に聞く

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100530-00000000-jct-soci

 

 

推薦図書

 

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「ジャーナリズムはどうあるべきか」「いまはどれだけ誤った状況か」を語った書籍は多くある。そうした書籍に手を伸ばす前に、まずは「そもそも各メディアはどのように生まれてきたのか」といった背景を知るのもいいだろう。政治制度や政治思想は、その時代ごとの技術的要因に影響を受けるし、逆にメディアの役割はその時代ごとの政治的文脈によって規定されていく。現代の社会がメディア状況の変動期であるならば、そこには政治的文脈の変動も重ねて読み解かれなくてはならない。放送大学向けに編まれた本書は、他のどの教科書よりも読みやすい、優れたイントロダクションとなってくれるはず。多くのメディア論は歴史研究によって支えられており、本書は少し古くなっているため、ネットメディアに対する記述は少しズレが感じられるが、その点はもはや読者の側で十二分に埋められる。

 

 

 

 

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