死にたくないんですけど iPS細胞で死を克服できるのか――今週のシノドスエディターズチョイス

『死にたくないんですけど iPS細胞で死を克服できるのか』(ソフトバンク新書)/八代嘉美・海猫沢めろん

 

小説家・海猫沢めろん氏は気付いた。髪が減り、肌が衰え、眠りも浅い。体も常にどこかが痛い……明らかに死に近づいている。これはヤバい。

 

「死にたくない!」

 

そして彼は思いつく――生物学の最先端研究技術で不老不死も実現できるのでは……? 海猫沢氏はこのあまりに素朴な疑問を、たまたま近所に住んでいた生物学博士・八代嘉美氏のもとにストレートにぶつける――死にたくないんですけど。

 

京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞発見の功績を讃えられ、ノーベル生物学・医学賞を受賞して2年が経つ。いろいろな意味で世間を騒がせているSTAP細胞をきっかけに、実はiPS細胞はどのようなものなのか、ES細胞とは何が違うのか。いったい何ができて、何ができないのか、漠然とした印象しか持っていないことに気付かされた人も多いのではないか。場合によっては、「細胞」とは何か、「遺伝子」と「DNA」の違いすら、よくわかっていない人もいるだろう。そうした基礎的な知識を、八代氏はわかりやすく教えてくれる。

 

それだけではない。そもそも「生命」とは(例えば「ドラえもんは、なぜ生物なのか」)、あるいは「死」とは、いったいどういうものなのか。肉体を持たずに、電子の世界で生きることは可能なのか。そして電子となった「わたし」は、いまのわたしと同じ存在と言えるのだろうか……ワクワクする疑問についても考える。

 

作家と研究者という立場の異なるふたりの対話は、異なるイマジネーションで、私たちに「生きること」を考えさせてくれる。本書に詰まっている様々な問いは、もはや遠い未来の空想ではない。いまこそ切実な思いを胸に一杯にしながら読んでほしい、そんな一冊だ。

 

 

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著者・八代嘉美氏記事一覧はこちら → https://synodos.jp/authorcategory/yashiroyoshimi

 

 

『百合のリアル』(星海社新書)/牧村朝子

 

レズビアンって結婚できるの? どうやってセックスしているの? いつカミングアウトはいつするの? そんな率直すぎる疑問に、真っ向から向き合った本がある。牧村朝子『百合のリアル』だ。著者の牧村さんはフランスで国際同性婚をし、タレント・レズビアンライフサポータとして活躍している。彼女個人の経験と、「レズビアン」という概念を切り口に、「本当のモテ」、「自分らしさ」といった、普遍的なテーマにも正面から踏み込んでいく。

 

 

「レズビアン」や「ゲイ」にならなくても、あなたはあなたの愛する人を愛せます。人が人をカテゴリーという器に押し込めても、それぞれのアイデンティティは、それぞれが選び身に付けるものです。(本文より)

 

 

自らが「レズビアンかどうか」を悩みぬいてきた、著者だからこそ書ける、強く優しい言葉だ。「同性愛なんて自分には関係ない」と思っている方も、ぜひ一度は手に取って読んでほしい。

 

 

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著者・牧村朝子氏記事一覧はこちら → https://synodos.jp/authorcategory/makimuraasako

 

 

 

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無題

 

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