ウクライナ危機はロシア内政にどう影響するか

報告「クリミアと危機」のライターたちは、ロシアの将来について二通りのシナリオを予想しており、いずれも深刻な内政の危機を予想している。すべてはウクライナ危機次第と彼らは考えているが、ロシアNOWが話を聞いた専門家らは必ずしも、報告のすべてに賛成しているわけではない。(エカテリーナ・シネリシチコワ)

 

 

ロシアでは抗議行動の機運が高まっていく。その時期は、ウクライナ南東部の情勢に直接左右される――。報告「クリミアと危機」の作者たちはこういう結論だ。この報告は、 アレクセイ・クドリン元財務相の市民イニシアチブ委員会のために作成されたもので、3月31日に委員会のホームページで発表された。それによると、ロシア内政の状況の推移は、二通りのシナリオが考えられるという。

 

 

シナリオ1

 

ウクライナの武力紛争が終結し、ロシアへの圧力が弱まった場合、“外的脅威”がなくなるために、ロシア国民にとって第一に重要なのは経済問題になる。つまり、外的な脅威が内的なそれ――役人と外国人居住者――に切り替わり、政権の支持率は急速に低下する。これは、経済政策に対する深刻な抗議行動に発展する可能性があるという。その規模は、2011~2012年の政治的な抗議行動に匹敵し得る。

 

 

シナリオ2

 

ウクライナの武力紛争が長引いた場合は、「一般大衆の意識は、ロシアの自発的な孤立を支持するだろう」。“外敵”に対する攻撃的な気分は残るが、やがて、長引く紛争と危機に疲れてしまい、結局のところ、抗議行動および「政権の支持率のジリ貧」をもたらすだろう。

 

深刻な政治的影響は、2016年の下院選挙の頃には出てくると、この報告の作者は予想している。

 

この報告の主なライターは、ミハイル・ドミトリエフ元経済発展貿易次官。ちなみに同氏は、2008年におけるロシア国内の危機、および2011年の抗議行動を予見していた。【次ページにつづく】

 

 

 

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