2020.07.06
複合的問題としての人の移動――安全保障問題との交差
はじめに――地中海の「向こう側」
本稿では、武力紛争や政治変動の連鎖によって国家機構が脆弱になり、それに伴って国境管理が揺らぎ、移民・難民やテロ、組織犯罪といった越境的な問題が交錯している状況を分析する。また、北アフリカのリビアに焦点を当て、「人の移動(migration)(注1)」と安全保障問題の交差によって生じる問題を明らかにする。
2010年末からの「アラブの春」を契機として、中東・アフリカから欧州を目指す人の移動は激増した。これにより、「欧州難民危機」、つまり大量の移民・難民が欧州連合(EU)諸国に押し寄せ、欧州域内で対応しきれず、政治的・社会的な混乱・変革が発生している状況や、また大規模かつ広範囲な移動の途上で多くの人命が失われる状況が発生した(注2)。
2017年以降、EUの国境管理や移民政策の厳格化を背景として欧州に渡る移民の数は減少している一方で、移民・難民を取り巻く環境は悪化していると指摘される。地中海を越えて欧州に入る移動だけでなく、欧州を目指して中東・アフリカ諸国を移動する人々、彼らを取り巻く政治的・社会的環境を射程に入れなければ、「人の移動」をめぐる複合的な問題の全体像はみえてこない(注3)。
1.バシールの旅路
まずは、ある移民のアフリカから欧州に至る旅路を想定しながら、人の移動をめぐる問題の複合性について考えてみよう(注4)。
ナイジェリアの北部に、小規模農業と牧畜を営むバシールという青年がいた。彼の住む地域ではテロや民族間抗争による戦闘が頻発しており、さらに大規模な干ばつによって地域一帯の農業や畜産業が脅かされていた。折しも、バシールの友人の親戚がスウェーデンに渡って職を見つけ、地元とは比較にならない高収入を稼いでいるという噂を聞いたため、彼は故郷を離れて欧州へ渡り、家族の収入を支えることを決意した。彼は家族や友人から現金を借りると、まず空路で隣国ニジェールの首都ニアメーへ向かった。ナイジェリアとニジェールはともに西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)加盟国のためビザは不要であり、パスポートと航空券さえあれば移動には問題なかった。
バシールはニアメーから陸路でニジェール中部の地方都市アガデズへ向かい、そこで密航業者と落ち合った。密航業者は夜中、大型のトラックに人と荷物を満載にして、リビアを目指して北上した。途中で軍や警察による検問所が設置されていたが、密航業者が賄賂を渡したのか、積荷や乗客の確認がなされることはなかった。トラックは幹線道路から外れ、道なき道を越えてリビアに入国した。そして、数日後にリビア南西部の都市セブハに到着し、そこでバシールや他の乗客、積荷を降ろした。空になったトラックには、産油国のリビアで近隣国の数分の一の価格で購入できるガソリンや食料品が積み込まれた。バシールはその時、銃や弾薬も積み込まれるところを目撃した。密航業者は道中、周辺国の武装勢力への武器供給は良いビジネスであり、特に「ジハード主義者」は良い顧客だと話していた。
セブハでバシールは新たに密航業者を探し、リビア人と思われる業者のピックアップトラックに乗り込んだ。車には重武装の民兵が同乗し、複数台で地中海を目指して北上した。リビア国内でも警察や軍に止められることはなかったが、サハラ砂漠を越える道のりは過酷であり、十分な水分補給もできず、途中で衰弱した乗客は車から引きずり降ろされて路上に打ち捨てられた。
数日後、バシールの乗った車はリビア西部、地中海沿岸の都市サブラータに到着した。今度は、地中海を越える密航船を探す必要があった。すでに手持ちの現金が乏しくなっていたため、彼はそこで様々な肉体労働に従事した。建設現場や農場だけでなく、ナイジェリア系犯罪組織の下でドラッグの流通を手伝うこともあった。バシールは数ヶ月の過酷な労働の末に必要な金額を捻出し、空きのある密航船を確保した。古い漁船には許容人数を明らかに上回る人々が押し込まれていたが、別の船が見つかる当てもなく、バシールは乗船せざるを得なかった。密航船は夜にリビア沖を離れたが、地中海を渡る途中で浸水し、沈没し始めた。彼は海を漂っている間に駆けつけたNGOのボートに救出されたものの、同乗していた密航者の半数以上は溺死した。
図1 ナイジェリアからリビアを経由して地中海に至る移民・難民の経路
(出所)CNN(注5)
バシールはイタリアのランペドゥーザ島にある入管施設に収容され、そこで難民申請をしたが、海に放り出されたときに身分を証明するものを全て流されており、当局による身元確認は難航した。数週間後、イタリア本土での仮滞在が認められ、生活支援も与えられた。だが、周辺住民から強い差別を受け、安定した職も見つからなかったために、ドイツか北欧を目指そうと考えていたところで、ある日イタリア警察に拘束された。バシールが母国のナイジェリアにいた時に過激派テロ組織の資金活動に関与した疑いが持たれているとの理由だった。たしかにバシールの友人には、地元の武装勢力の構成員がおり、文盲の友人に代わって国外からの送金を受け取る手伝いをしたことはあるが、一度だけだった。しかし、その武装勢力が現在「イスラーム国(IS)」の一派として活動しているとの情報があり、彼は警察や得体の知れない捜査員によって厳しく尋問されたのち、数週間収監された。
そしてある日、バシールは同様に収監されていたナイジェリア出身の人々とともにバスに乗せられた。連れて行かれたのは飛行場であり、目の前にはジェット機が扉を開けて待機していた。とまどうバシール達に、ある国際機関の職員と名乗る人物が告げた。様々な理由から、あなた方には欧州域内での定住が認められない。よって、これからナイジェリアに「自主帰還」してもらうことになる。ナイジェリアに到着後、規定額の現金と物資を渡すので、それで母国での生活を再び始めるように。次に「非合法な手段」で欧州への渡航を試みれば、あなた方の安全と自由は保障されない――。
2.人の移動をめぐる問題の複合性
ここに登場するバシールは複数の事例を再構成した架空の人物だが、彼の旅路には多くの非正規移民(irregular migrant)や難民の経験のみならず、中東・アフリカから欧州に至る移動の複合性と広域性が反映されている。紛争、テロ・過激主義、低開発、食糧危機、気候変動、国家による統治の脆弱化などが絡み合うことで移民や難民が発生し、人の移動がさらなる混乱や衝突の要因となる。移民・難民問題とは、複合的な問題の一端でしかないことを認識する必要がある。
なお、先行研究や報告書を踏まえると、前掲の事例は過酷ではあるが決して最悪のものではない。サブサハラ・アフリカから欧州を目指す移民の主要な経由国であるリビアでは、移民が民兵組織や犯罪組織によって拘束され、「奴隷」として売買された挙句に強制労働を課せられる事例が多発している(注6)。保護者の付き添いもないままに移動する未成年は、渡航中の強制労働、暴力、性的搾取の危険にさらされ続ける。また、金銭の乏しい移動者が、渡航斡旋の代金として強制的に臓器を摘出される事例もある(注7)。移動中の死亡、病気や負傷、食料や水の欠乏といったリスクは指摘するまでもないだろう。
人の移動をめぐる複合的な問題の背景には、国家による統治の脆弱化と国境管理の破綻がある。政変や武力紛争、自然災害などによって、「非統治空間(ungoverned spaces)」――つまり政府による統治がおよばず、法執行や治安維持が十分になされない空間が発生し、政府の監視外で様々な主体が国境を越えて移動するようになる(注8)。この状況は、特に中東・北アフリカ地域で顕著である。
英国外務・英連邦省は、国家が物理的な領域支配能力(physical territory)および明確な主権や統治(effective state sovereignty and control)を部分的にでも喪失した状況、また国家機関や法の支配が、完全に、もしくはほとんど機能していない環境において「非統治空間」が発生すると述べている(注9)。また、米国防総省は「非統治空間」を、「国家や中央政府が統治を拡張したり、効果的な統治を行ったり、現地社会に影響をおよぼすことができず、さらに地方自治体や部族、自治政府も、能力・意思・正統性の欠如、紛争の存在、現地の行動規範などを要因として、十分に、もしくは効果的な統治ができていない地域」と定義する(注10)。
「非統治空間」では国家による治安維持や法執行が十分に行われないため、密入国の手配や薬物、武器、貴重品の密輸を行う犯罪組織にとって格好の活動領域となっている。また、過激派テロ組織が活動拠点や移動経路を構築しやすい環境が生まれる(注11)。潘基文・元国連事務総長は、2016年に行われた国連グローバル・テロ対策戦略会議において、情報技術による過激主義の拡散、武器の蔓延、国境を越えた戦闘員の流入などによって、「非統治空間」の発生が紛争の長期化やテロの蔓延と連関することで、テロリストが広大な領域・資源・人材を獲得可能な環境が発生していると述べた(注12)。
2015年6月に発表された「EU戦略レビュー(EU Strategic Review)」は、「非統治空間」が国家や地域の不安定化の要因となり、政治暴力や紛争・テロと重なって人の移動を加速させていると述べる。そのため、特にアフリカにおいては、「開発・治安・移民の問題に対する統合的な取り組み(development-security-migration nexus)」が重要だと指摘している(注13)。この文章に象徴されるように、欧州の移民関連機関や各国政府は、地中海周辺での国境警備活動に加えて、中東・アフリカ諸国に対して非正規移動への対策や国境管理の改善のための技術指導・資材提供、地中海沿岸での捜索・救助活動といった支援を強化している。
3.中央ルートが抱える問題――リビア情勢のインパクト
バシールの事例にみられるとおり、中東・アフリカから地中海を越えて欧州に至るルートにおいては、「人の移動」をめぐる問題が複雑化し、さらに国家の統治の脆弱化や「非統治空間」などの安全保障問題と連鎖している。特に、リビアから地中海を越えるルートにおける問題は深刻である。
中東・アフリカから欧州に至る移動のルートには、①北アフリカからイタリアやマルタを目指す中央ルート、②トルコからギリシャやキプロスを目指す東部ルート、③モロッコからスペインの飛び地セウタやジブラルタル海峡を目指す西部ルートの3つがある。国際移住機関(IOM)によると、地中海を渡る移民の死者数の内訳では中央ルートが突出している(図1)。なお、このデータは確認された死者数のみであり、未確認の死者や地中海沿岸にたどり着く以前に内陸部で死亡した者を含めると、その数はさらに上昇するとみられる(注14)。
図2 地中海を渡る移民の死者数(ルート別)
(出所)IOMをもとに筆者作成(注15)
リビア周辺では、人の移動をめぐる問題にテロや越境犯罪、武器の拡散といった問題が交錯し、人道・安全保障上の脅威となっている。それは、欧州を目指す移民の中にテロリストや過激主義者が紛れ込んでいるというリスク(注16)だけではない。国家機能の弱体化により、主体が移民であれ過激主義者であれ、国家の監視の外側で移動が可能な空間が、国境を越えて広がっている。
2011年のリビア内戦以降、過激派テロ組織や犯罪組織は、リビア周辺諸国の国境監視能力の低下と国境周辺における「非統治空間」の発生を背景として、越境的な移動・輸送経路を構築した(注17)。リビア周辺における「非統治空間」の発生により、サブサハラ・アフリカ諸国から欧州を目指す多くの移民が、地中海への「玄関口」として国境監視の緩いリビアに流入した。現在は、地中海の中央部(イタリアおよびマルタ周辺)を通過する移民のほとんどが、リビアを経由するとみられている。
図3 中東・アフリカから欧州を目指す移民の中央ルート
(出所)Wikimedia Commons(注18)
リビアへの密入国が容易であることは、移民・難民問題と同時にテロ動向にも大きな影響を与えている。リビアにおけるISの最盛期(2016年前半)には、戦闘員の70%が外国人であったとされるが、外国人戦闘員の多くは地中海側や沿岸部からではなく、南部の国境を越えて潜入していた(注19)。構成員の出身国は、北・西アフリカ諸国の他、湾岸諸国、南・西アジア諸国が確認されている。ISへの加入を目指してリビアに入国した者だけではなく、元々リビア国内にいた移民労働者が加入する例もあった(注20)。
さらに、移動するのは人間だけではなく、武器やドラッグ、密輸品も同時に輸送され、リージョナル、グローバルな脅威となっている。例えば、2011年の内戦後、リビアから携行式地対空ミサイル(MANPADS)5千〜1万発が流出した。米国務省でMANPADSの拡散防止を担当したシャピロ国務次官補は、「どれほどのMANPADSがリビアで行方不明になったのか?我々は把握していないし、これからも把握できることはないだろう」と述べている。リビアから拡散したMANPADSは、中東・アフリカ諸国での紛争やテロ攻撃に用いられたとみられる(注21)。
図4 リビアから武器が拡散したアフリカ諸国
(出所)Control Arms(注22)
リビアの政治・治安情勢は極めて不安定であり、2019年以降は諸外国の軍事介入も激化している。首都トリポリをはじめ全土で武力衝突が続いており、移民・難民が戦闘に巻き込まれる事件も多発している。リビア政府には移民対策に割く余力がなく、治安の悪化によって周辺国や国際機関も援助が困難になっており、今後も移民・難民をめぐる人道状況の悪化が懸念される。リビアの政治・治安が安定しない限り、同国は人の移動をめぐる問題の「ホットスポット」であり続けるだろう。
おわりに
本稿では、人の移動をめぐる問題の複合性とその安全保障上の課題について、リビアを中心とした北アフリカ周辺に焦点を当てながら分析した。
北アフリカ周辺では、域内諸国の政府機能や治安維持の脆弱化によって国境周辺に「非統治空間」が発生し、ヒト(移民・過激派)やモノ(銃火器・ドラッグ)の越境移動が複合的に発生している。しかし、政治変動や紛争により各国政府には対策に割く余力がなく、国際機関の支援も困難な状況で、今後も移民・難民をめぐる人道状況の悪化が懸念される。
今般のコロナ禍によって、中東・アフリカ地域における人の移動はどのような影響を受けるだろうか。これまでも武力紛争や人道危機、経済不安が移民・難民の「プッシュ要因」となってきたことを踏まえると、新型コロナウイルスの蔓延による社会不安や財政の悪化は、国境を越えた人の移動を促進する恐れがある。また、各国の軍や警察がコロナ禍への対応に注力し、国境管理に対する予算や人的資源が削られれば、非正規の(≒非合法な)入出国も容易になる。すでにイタリアでも、マフィアなど犯罪組織がコロナ禍の中で社会に浸透し、影響力を高めていると報じられている(注23)。前述のバシールのように経済的機会を求めて欧州を目指す人々、渡航の斡旋や人身売買、密輸による利益をねらう犯罪組織、社会の不安定化を好機とするテロ組織などが絡み合うことで、人の移動をめぐる問題はさらに複雑化するだろう。また、移動する人々は新型コロナウイルスに対してきわめて脆弱であり、彼ら自身が媒介者となる恐れもあることから、移民・難民の増加がグローバルな公衆衛生に与えるリスクも増加している(注24)。
本稿で示してきた移民・難民をめぐる問題は、その複合性を踏まえれば、「水際」の移民対策や国境警備活動だけで対処しきれるものではなく、根本的には移民・難民の送り出し国・経由国の安定化や経済開発に向けた支援が必要となる。また、人の移動とテロや組織犯罪、武力紛争といった問題が交差していることから、安全保障の観点から問題を分析し、対応していくことの意義も高まっている。今後も国際社会による包括的・持続的な取り組みが求められていくだろう。
注
(注1)人の移動における「正規(合法)・非正規(違法)」「移民・難民・避難民」といった分類は自明かつ固定的なものではないが、本稿では議論をぶらさないために、「人の移動」および「移民・難民問題」という語を用いて分析を進める。
(注2)墓田桂『難民問題』(中央公論新社、2016年); 遠藤乾『欧州複合危機』(中央公論新社、2016年)31-32頁。
(注3)小林周「リビアにおける『非統治空間』の発生――交錯する過激主義組織と人口移動」『反グローバリズム再考 国際経済秩序を揺るがす危機要因の研究――グローバルリスク研究会』(日本国際問題研究所、2018年4月)63-76頁; 小林周「中東・アフリカからの非正規移動とEUの外交・安全保障政策」『国際安全保障』第46巻4号(2019年3月)32-47頁。
(注4)初出:小林周「中東・アフリカからの非正規移動とEUの外交・安全保障政策」『国際安全保障』第46巻4号、32-47頁、2019年3月。この事例は、欧州国境沿岸警備機関(FRONTEX)の本部とギリシャ支部事業地でのヒアリング(2017年8~9月)、および以下の資料などを参照して筆者が再構成したものである。Foreign Policy, Europe Slams Its Gates, October, 2017, http://europeslamsitsgates.foreignpolicy.com; Vikram Kolmannskog, and Tamer Afifi, Disaster-Related Displacement from the Horn of Africa, Report No.15, UNU Institute for Environment and Human Security, March, 2014; Altai Consulting for the UNHCR, Mixed Migration: Libya at the Crossroads, November, 2013; Lucas Destrijcker, “Welcome to Agadez, Smuggling Capital of Africa,” Politico, October 17, 2016, <http://www.politico.eu/article/the-smuggling-capital-of-africa-agadez-niger/>, accessed on January 15, 2020.
(注5)CNN, ‘Don’t struggle if you’re raped’: A smuggler’s chilling warning, April 17, 2018, <https://edition.cnn.com/ampstories/world/dont-struggle-if-youre-raped-a-smugglers-chilling-warning> accessed on June 20, 2020.
(注6)Nima Elbagir, Raja Razek, Alex Platt and Bryony Jones, “People for Sale: Where Lives are Auctioned for $400,” CNN, November 14, 2017, <https://edition.cnn.com/2017/11/14/ africa/libya-migrant-auctions/index.html>, accessed on January 15, 2019; IOM, IOM Learns of ‘Slave Market’ Conditions Endangering Migrants in North Africa, April 11, 2017, <https://www.iom.int/news/iom-learns-slave-market-conditions-endangering-migrants-north-africa>, accessed on June 15, 2017..
(注7)Alex Forsyth, “Meeting an Organ Trafficker Who Preys on Syrian Refugees,” BBC, April 25, 2017.
(注8)小林周「リビアにおける『非統治空間』をめぐる問題とハイブリッド・ガバナンスの可能性」『KEIO SFC Journal』Vol.18, No.1(慶應義塾大学湘南藤沢学会、2018年9月)256-273頁。
(注9)ただし英国外務・英連邦省は、「非統治空間」という用語の使用についてかなりの留保をつけており、その存在を自明のものとすることはできないという立場を取っている。Foreign and Commonwealth Office, “The Link between ‘Ungoverned Spaces’ and Terrorism: Myth or Reality?,” March 23, 2015.
(注10)Robert D. Lamb, “Ungoverned Areas and Threats from Safe Havens – Final Report of the Ungoverned Areas Project.” Office of the Deputy Assistant Secretary of Defense for Policy Planning, January, 2008, <http://www.dtic.mil/get-tr-doc/pdf?AD=ADA479805>, accessed on February 17, 2018.
(注11)「非統治空間」をめぐる議論の詳細については、以下を参照。小林周「リビアの地政学リスクとイスラーム過激派の動向:『非統治空間』への着目」山内昌之(編)『中東とISの地政学』朝日新聞出版、119-146頁、2017年2月。なお、米ランド研究所は、中南米・カリブ海地域におけるドラッグの空輸を事例として、「非統治空間」の議論は地上だけでなく空域(airspace)にも適用可能であると論じている。 Angel Rabasa, et al., Ungoverned Territories: Understanding and Reducing Terrorism Risks. RAND Corporation, 2007, <https://www.rand.org/pubs/monographs/MG561.html> , accessed on December 21, 2017.
(注12)UN News, UN Officials Call for Global Consensus, Preventive Approach to Combat Terrorism and Violent Extremism, June 30, 2016, <https://news.un.org/en/story/2016/06/533612-un-officials-call-global-consensus-preventive-approach-combat-terrorism-and> , accessed on December 21, 2017
(注13)EU, “Strategic Review – The European Union in a changing global environment,” June 25, 2015.
(注14)スーダンやエジプトからリビア東部を経由する移民ルートにおいて、2014年から2016年の間に少なくとも1,200人以上が地中海沿岸への到達以前に死亡した可能性が高いと報告されている。Colin Sollitt, “Forgotten Fatalities: the Number of Migrant Deaths Before Reaching the Mediterranean,” Regional Mixed Migration Secretariat, June 27, 2016 <http://www.regionalmms.org/index.php/research-publications/feature-articles/item/18>, accessed on January 15, 2020.
(注15)2020年の数値は6月18日時点。IOM, Missing Migrants Project <https://missingmigrants.iom.int/region/mediterranean>, accessed on June 21, 2020.
(注16)清水謙「非伝統的安全保障とスウェーデンにおける『移民の安全保障化』」シノドス、2020年2月28日 <https://synodos.jp/society/23329>, accessed on June 20, 2020; 墓田桂「序論―安全保障の課題としての越境・難民問題」『国際安全保障』第46巻4号、1-16頁、2019年3月。
(注17)Mark Shaw, Fiona Mangan, “Illicit Trafficking and Libya’s Transition,” Peaceworks, Vol. 96, United States Institute of Peace, April 2014; 小林「リビアにおける『非統治空間』の発生――交錯する過激主義組織と人口移動」。
(注18)Wikimedia Commons, Central Mediterranean Route-fr, last uploaded on April 20, 2018 <https://www.msf.org/libya%E2%80%99s-cycle-detention-exploitation-and-abuse-against-migrants-and-refugees>, accessed on June 20, 2020.
(注19)Human Rights Watch, “We Feel We are Cursed: Life under ISIS in Sirte, Libya,” May 2016.
(注20)小林周「リビアにおける『非統治空間』の発生――交錯する過激主義組織と人口移動」63-76頁。
(注21)Daryl Kimball, “MANPADS at a Glance,” Fact Sheets & Briefs, Arms Control Association, March 2013, <https://www.armscontrol.org/factsheets/manpads>, accessed on January 15, 2020; Andrew J. Shapiro, “Remarks: Addressing the Challenge of MANPADS Proliferation,” U.S. State Department, February 2, 2012, <https://www.state.gov/t/pm/rls/rm/183097.htm>, accessed on January 15, 2020.
(注22)Control Arms twitter, August 17, 2018 <https://twitter.com/controlarms/status/1030408012903546880>, accessed on June 22, 2020.
(注23)Deutsche Welle, Italy: Camorra mafia clan attempts comeback amid coronavirus, May 24, 2020, <https://www.dw.com/en/italy-camorra-mafia-clan-attempts-comeback-amid-coronavirus/a-53532200>, accessed on June 24, 2020.
(注24)United Nations, Policy Brief: COVID-19 and People on the Move, June 3, 2020, <https://data2.unhcr.org/en/documents/download/76793>, accessed on June 22, 2020.
プロフィール
小林周
日本エネルギー経済研究所中東研究センター研究員。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科にて修士号、博士号取得。専門はリビアを中心とした中東・北アフリカの政治・経済・エネルギー動向、およびサハラ砂漠周辺地域のテロ・治安動向。主な著書に『アフリカ安全保障論入門』(共著、晃洋書房、2019年)、『21世紀の地政学とイスラーム国』(共著、朝日新聞出版、2017年)など。