パレスチナ統一内閣の光と影――ファタハ・ハマース連立に課された課題

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期待の薄い中東和平交渉

 

ラーマッラー市内の囚人連帯のための抗議テント(2013年3月)

ラーマッラー市内の囚人連帯のための抗議テント(2013年3月)

 

 

それでは今後、中東和平交渉はどうなっていくのか。これについてはまず、頓挫した交渉の再開にアメリカがどれだけ今後も関与していく意志を示すかが問題になるだろう。現在の中東和平交渉は、あまり積極的とはいえないイスラエルとパレスチナの双方をアメリカ側の主導で牽引する形で展開されている。その役目を、パレスチナの新内閣を相手にケリー国務長官が今後も続けるかどうかが、とりあえずの鍵となる。

 

昨年7月の交渉再開から中東和平特使としてケリーとともに牽引役を担ってきたマーティン・インディクは、4月の連立合意の後に辞任説が一部で報道された。インディク自身はパレスチナ側に受けのいい人物ではないが、ともかくも仲介役を担う人物が交渉の努力を続けることが必要である。

 

パレスチナ側にとって、和平交渉への参加は、国際政治上のプレゼンスを示し、場合によっては相手から譲歩を引き出す上で有効なカードとなり得る。逆に言えば、その他の方法でイスラエルによる占領の進行を止めることは困難だからだ。段階的に実行された囚人解放は、その成果の一例といえる。しかしカードが常に有効とは限らない。むしろ交渉により既存の力関係の差を既成事実として定式化されてきたのが、1993年のオスロ合意の現実だった。また今後はハマースが政権に加わることで、必ずしもこれまで通りの交渉が可能とはならないだろう。具体的な成果を伴わず、交渉のための交渉をくり返すだけならば、政権運営には負担となるばかりと考えられる。

 

イスラエル側でも、今の段階で和平交渉への関心はそれほど高くない。むしろ兵役制度の改正や、労働移民など国内問題が注目を集めている。国内経済や治安が安定している中で、和平交渉によって得られる旨味が少ないことも、インセンティブを下げている理由だ。

 

交渉はむしろ、パレスチナ側に対する譲歩やコストが増えることを意味する。その典型としてのパレスチナ人政治囚の釈放は、実施のたびに国内世論で反発を招いている。今年初めにイスラエルの国防相モシェ・ヤアロンは、「ケリーはノーベル平和賞が欲しいだけだろう」と皮肉り、外交問題となった。発言はすぐに撤回されたが、ある意味でイスラエル側の政権当事者の本心を突いているようにも思われる。

 

こうした状況の中、イスラエルとパレスチナの関係が今後どのような方向に向かっていくのかはまだ読めない。だがこれまでの、内政と外交双方における膠着状態に変化がもたらされたことは事実だ。パレスチナ自治政府は、統一された政府組織として意思決定を下し、政策を実行していける政体となった。外交上の立場はまだ不確定だが、国民の半分しか代表しない政府が進める外交交渉よりも、実行力のある結果をもたらせることは事実だ。

 

また今回の選挙管理内閣ではなによりも、選挙を実施し、任期が切れた大統領と立法評議会議員の改選を果たすことが望まれる。法的・制度的にも正統性のある政治家に担われてこそ、今後のパレスチナ政治の未来を語り始めることができるといえるだろう。

 

(2014.06.07脱稿)

 

 

 

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