社会をアップデートするために僕らができること

選挙でできる「ポジ出し」とは

 

―― 本書では政治に参加する重要性に言及していましたね。昨年の12月に、衆議院選があり、今年の7月には参議院選挙もあります。選挙というのは政治参加できる身近な手段だと思いますが、「ポジ出し」をすることは可能だと思いますか。

 

もちろん可能です。というよりも、数年に一度の選挙だけが、ほぼ唯一の政治参加とならないようにすることこそ、課題です。

 

たとえばこの本では、「シングルイシューのセミプロ化」を提案しています。特定の分野について、人より秀で、発信などをしてみようということですね。「ネットで目覚めた系」のやつではなく。

 

メディアのなかの人は、ルーティンで複数のテーマを取材しますから、ヘタすればメディア担当者よりも詳しくなれる可能性はいくらでもあるわけです。その発言について分かりやすくTwitterで発信すると、フォローワーが増えて行きますよね。これは立派な政治参加だと思います。

 

全部のプロにはなれないけど、ひとつの分野に特化することで「この観点ではこうですよ」というのをたしかに言うことができますね。このような活動も「ポジ出し」のひとつではないかと思います。もちろんそれで対立することもあるし、程度の低い発信者もたくさんいますけれど、それへの応酬を行うためにも、やはりセミプロ化は避けられない。

 

飯田(泰之)さんは選挙特番で、「党員になる」という方法を提案していましたね。特定政党の党員の数は意外と少ないので、党員になり内側から変えるほうが、何気に「国民としての一票」よりも重みを持つだろうと。

 

メディアをつくり、取材をしてもいい。良い記事を書いていれば、ニュースサイトに投稿したり、雑誌に投稿したりできます。意外とハードルは高くないんですよ。

 

選挙のときだけではなく、つくったロールモデルを提案していったり、いいなと思えるNPOに対して献金・寄付をしたりもできます。もっと手軽にできることもいっぱいあります。積極的にできる人はそれをやる。時間がないから消極的にしか参加できない人は、それを応援する。このようにさまざまな方法でポジ出しは可能です。

 

 

―― 政治以外にもできることはあるのでしょうか。

 

基本的に僕は、「政治でないもの」はないと思っています。すべてが政治の対象であると。僕が関わっている「困ってるズ」も「復興アリーナ」も「ストップいじめ!ナビ」も、やはり政治と言えるでしょう。

 

困ってるズ!」は見えない障害を抱えている当事者の方の「困っていること」「助かっていること」をシェアするのを目的としたメールマガジンです。ここでは困っている人たちの声を無視しないでくださいという働きかけがある。また、東日本大震災関連の取材・情報提供に特化したサイト「復興アリーナ」では、次の災害のときに行政はこうして下さいという提案をしている。

 

必ず何かを達成しようと思ったら、政治というものを意識しないといけない。政治をまったく無視していられるという人は、いないと思います。

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.276 

・橋本努「新型コロナウイルスとナッジ政策」
・三谷はるよ「市民活動をめぐる“3つの事実”――「ボランティア」とは誰なのか?」
・五十嵐泰正「『上野新論』――「都市の時代」が危機を迎えたなかで」
・倉橋耕平「メディア論の問いを磨く――言論を読み解く視座として」
・山田剛士「搾取される研究者たち」
・平井和也「コロナ情勢下における香港と台湾に対する中国の圧力」