2014.02.12

東京五輪を成功させるには、予防接種体制を充実しなければならない

上昌広 医師・医学博士 / 医療ガバナンス論

福祉 #予防接種#ワクチン

予防接種後進国日本

2020年開催に向けて急ピッチで準備が進んでいる東京五輪だが、これは医療にも影響する。

東京五輪開催期間中の延べ来場者数は1,000万人と予想されている。一日当たり92万人が、競技場や選手村が位置する東京都心と臨海地域を移動することになる。よほど入念に準備しなければ、東京は大混乱に陥るだろう。首都高速道路などのハード面、通信体制などのソフト面での体制整備が必要だ。

東京五輪で問題となるのは、国内の人の移動だけではない。五輪は国際イベントだ。大勢の外国人が訪れることになる。2012年の訪日外国人は836万人だったが、2020年には2500万人に達するとの予想もある。途方もない数の外国人が訪日する可能性がある。

ここで問題となるのが感染症である。日本人が免疫を持たない感染症が海外から入ってくる可能性がある。コレラ、ペスト、黄熱病などが入ってくるかもしれない。私を含め、多くの医師は、このような疾患を診たことがない。果たして、正確に診断できるか、甚だ自信がない。また、国民への情報提供が不十分なら、新型インフルエンザ騒動の二の舞になるかもしれない。

感染症の問題は、輸入感染症の予防だけではない。外国からの訪問者に、海外ではすでに撲滅された感染症をうつしてしまう可能性がある。

日本の医療は世界最高峰だ。2000年、世界保健機関(WHO)は、日本の医療を総合一位と認定した。ところが、感染症対策、とくに予防接種においては、れっきとした後進国なのである。

現に、我が国での風疹流行を受けて、昨年6月、米国疾病予防管理センター(CDC)は、風疹に未罹患、あるいは予防接種を打っていない妊婦が日本へ渡航するのを延期するように勧告した。それ以外の旅行者にも予防接種を打つように勧告している。もし、2020年に風疹が大流行したら、政府は一体どうするのだろうか? 早急に、この問題に対し、適切な対策を打たねばならない。

多くの読者には意外かも知れないが、日本は風疹蔓延国だ。2013年、世界で風疹が大流行したのはポーランド、ルーマニア、日本の三カ国である。なぜ、国民一人あたりのGDPが、日本の半分、三分の一に過ぎないポーランドやルーマニアと、感染症対策に関しては、大差ないのだろうか?

それは、我が国の予防接種行政が失敗してきたからだ。予防接種こそ、我が国の医療行政の宿痾を反映した存在だと言ってもいい。本稿では、風疹を例として、問題の真相を解説したい。以下は、時事通信社が発行する「厚生福祉」2013年8月9日号で発表した文章を加筆修正したものだ。

風疹の流行を繰り返す日本と根絶した米国

我が国で、風疹の流行が始まったのは、2012年11月である。大都市圏で始まり、全国に拡大した。2013年の総患者数は14,357人だ。

知人の医師は、「生まれて初めて、こんなに風疹を診ました。ただ、多くの患者を見落としていると思います」という。

医学の教科書には「風疹の臨床診断は不正確であり、診断には血清検査が不可欠」との主旨の記載がある。また、成人が風疹に罹患した場合、約15%は症状が出ない。不顕性感染の存在も考えれば、この数字は氷山の一角と考えるのが妥当だろう。

実は、風疹の流行は、いまに始まった問題ではない。古くは1976、82、87、92年に大流行があった。最近では2004年に流行している。その時の推定患者数は4万人である。つまり、風疹は、我が国で数年おきに感染を繰り返していることになる。従来通りの対策を続ければ、風疹の流行は確実に繰り返す。

今回の流行も、突然始まった訳ではない。患者数は、2010年87人、11年378人、12年2,392人と着実に増加してきた。そして、昨年の大流行となった。十分な時間があったのに、医療界・厚労省は適切に対応しなかったことになる。

他の先進国と比較して、この状況は見劣りする。例えば、米国では、1962-65年の風疹流行の際には、1,250万人が罹患し、2,000例の脳炎、11,250例の死亡が報告されたが、1969年に風疹ワクチンが導入されて以降、患者数は着実に減っている。2000年代半ば以降は、年間の発症は数例で、患者の大半は国外での生まれた人である。

アメリカの風疹対策のポイントは、ワクチンの接種対象の拡大、さらに接種率向上への取り組みである。当初、小児を対象に、1回接種するだけだったが、1970年代後半に、成人の10-20%が免疫を持たないこと、および学校・軍・医療現場で集団発生が起こっていることが判明すると、思春期前後の女性、軍関係者、学校や職場で集団感染する危険がある人も接種対象に加えた。

90年代半ばには状況が変わり、風疹感染者の殆どがヒスパニック系であることが明らかとなった。米国以外で出生し、風疹ワクチンを接種していないためである。このころから、風疹患者の出身国データを集め、問題となる地域の出身者に重点的にアプローチするように対策が採られた。

この結果、2004年に米国疾病予防管理センター(CDC)は、「米国内における風疹の常在的な感染はなくなった」と宣言した。地道な努力を積み重ね、風疹を根絶したことになる。我が国の対応とは対照的だ。

責任逃れによって生まれた穴

我が国の流行で注目すべきは、患者の8割を20-40歳代の男性が占めることだ。この集団の免役保有率が低かったことが大流行に繋がった。丁度、出産・子育て世代であり、後述の先天性風疹症候群の悲劇を生み出した。

なぜ、こんなことになるのだろうか? それは、我が国の予防接種行政が責任逃れに終始したからだ。

我が国の風疹予防接種は、1977年、女子中学生を対象に、風疹単価ワクチンを集団接種することで始まった。1988年からは、定期接種として、麻疹・風疹・おたふく風邪混合ワクチン(MMR)の接種を選択することが可能となり、このときから男子に対しても風疹ワクチンが接種されるようになった。

ここまではいい。問題は、MMRワクチンによる副作用が社会問題化した1993年からだ。同年、国家賠償訴訟が提起されている。

我が国の予防接種行政は、訴訟の歴史だ。1970年代に起きた種痘禍事件以来、多数の国家賠償訴訟が起こされてきた。そのたびに厚生官僚(当時)は処分され、残った人たちは責任回避に汲々としてきた。

MMRワクチンに関しても、厚労省の対応は「迅速」だった。1994年からは満1才から7歳半の年齢層に対し、「個別接種」で風疹の単価ワクチンを接種することに方針を変更した。

「個別接種」とは希望者だけ、医療機関で接種することだ。自治体が指定した日時・場所で一斉に受ける「集団接種」と比較して、接種率は低い。ただ、医師が入念に問診することになっているので、万が一、副作用が起こっても、厚労省の責任は減免される。

その後、2006年には、麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)として、満1才(第一期)、就学前(第二期)の二回接種に変更され、現在に至っている。

このため、現在30歳代半ば以上の男性は風疹の予防接種を受けていない。また、制度がころころと変わった世代にあたる23歳から30歳代半ばまでは、男女とも未接種者の率が高く、免疫のない人が多い。この年齢層が今回の流行の中心となったのも頷ける。これは、米国がまず幼児から風疹ワクチンの接種をはじめ、成人まで接種対象を拡大したのとは対照的だ。

必要とされるだけのワクチンが生産されていない

すべての国が、我が国の厚労省のような対応をとったわけではない。米国のケースをご紹介しよう。

予防接種に副作用はつきものだ。もちろん、米国でも予防接種訴訟は起こっている。1976年には、インフルエンザワクチン接種後にギランバレー症候群が多発し、社会問題となった。

ただ、その時の対応は我が国とは違った。長年にわたる国民的議論の末、訴訟に訴えなくても、予防接種被害者を救済できる無過失補償制度と、一定の手順を踏んでワクチンを開発・販売した製薬企業の責任を追及しない免責制度が確立した。その後、米国の公衆衛生は飛躍的に向上する。

話を日本に戻そう。そもそも、何のために風疹ワクチンを接種するのか。それは、本人を感染から守ること、および周囲を感染させないためだ。とくに、胎児を先天性風疹症候群から守ることが重要だ。

先天性風疹症候群とは、妊婦が風疹に初感染した場合、胎児に心奇形、難聴、白内障などの合併症を起こすことを指す。妊娠10週までに感染した場合、90%の胎児に影響が出ると言われている。対照的に、妊娠11-16週に感染した場合には、リスクは10-20%に低下する。すでに母子手帳を持っている、妊娠3ヶ月目以降の夫に接種しても、先天性風疹症候群の予防効果は低い。

成人では15%程度の患者が無症候感染を起こすと言われている。このような場合でも、胎児は先天性風疹症候群を発症しうる。

我が国では、2013年以降、35人の先天性風疹症候群の患者が報告されている(2014年1月27日現在)。1999年に感染症法が改正され、先天性風疹症候群を診断した医師には届け出義務が課されるようになった。ただ、すべての患者が報告されるわけではない。おそらく、実際の患者は、これよりずっと多いだろう。

お子さんを先天性風疹症候群による心臓疾患で、18才で亡くした可兒佳代氏は「妙子(筆者注:お子さん)の同級生でもお母様が妊娠中に風疹に罹っての難聴の人は沢山いました。この子達は先天性風疹症候群とは言われていません」と述べている。

先天性風疹症候群を防ぐために、私たちがやるべきは、小児はもちろん、免疫がない成人に風疹ワクチンを接種することである。風疹ワクチンの接種は、個人の感染予防の見地からだけでなく、集団免疫による社会防衛の見地からの議論が必要だ。

では、そのためには、どの程度のワクチンを準備しなければならないだろうか。現在、風疹に免疫がない20-40代の男性人口は2,600万人である。さらに、風疹ワクチンを一回しか打っていない同世代の女性人口を加えると、ワクチン接種を必要とする人口は4,300万人にのぼる。

ところが、我が国の今年の風疹ワクチンの生産量は、MRワクチンとして462万本に過ぎない。210万本は小児向けなので、成人に利用できるのは、252万本だ。国内メーカーだけで、十分な量を供給することは不可能だ。

必要なことはワクチンの確保と接種率の向上

この問題に対し、厚労省が誠実に対応しているとは言い難い。例えば、昨年7月、マスコミは、風疹と新たに診断された患者数が減少していることを根拠に、「風疹流行ピーク越えか」と報じている。この報道には、国民を安心させようとする厚労省の意図が透けて見える。

また、1月22日、厚労省の専門委員会は、東京五輪までに風疹をなくすための防止指針案をまとめた。その中で、働く男性や妊娠を考える女性らに焦点を当てた予防対策が重要と主張し、風疹の抗体検査や予防接種を呼びかけるとしている。

しかしながら、こんなお題目で安心してはならない。具体的対策にはまったく触れられていない。では、早急に、我が国がやるべきことは何だろうか。それは、ワクチンの確保、および接種率の向上である。

ワクチンの確保について、国内メーカーだけで必要とされるワクチンが供給できる可能性は低い。このあたり、オピニオン誌『選択』の2009年10月号「「ワクチン後進国」日本の惨状」が詳しく書いている。是非、お読み頂きたい。

ワクチン確保のためにやるべきこととは

これまで、我が国のワクチン開発を引っ張ってきたのは、化血研や大阪大学微生物研究所など小規模の非営利機関だ。一方、世界のワクチン開発の中心は、サノフィ・アベンティス(仏)、グラクソ・スミスクライン(英)、ノバルティスファーマ(スイス)などのメガファーマ(巨大製薬会社)である。1990年代、ドル箱だった生活習慣病薬の特許が切れ、次の成長分野と見なしたためだ。

市場から巨額の開発資金を調達できるメガファーマが参入することで、ワクチン業界は一変した。例えば、ワクチン開発は従来の鶏卵を用いた方法から、細胞を用いて短期間に大量生産できる方法に移行しつつある。

小規模の非営利機関とメガファーマでは話にならない。2008年の新型インフルエンザ流行時に、我が国でワクチン不足が問題になったのをご記憶の方々も多いだろう。当時、我が国の国産ワクチン供給量は1,700万人分に留まった。英米仏の政府が、全国民分を確保しようとしてきたのとは対照的だった。

舛添要一・厚労大臣(当時)が主導し、海外からワクチンを輸入することになったが、厚労省は、積極的にワクチンを輸入する気はなく、「輸入ワクチンは危険」というネガティブキャンペーンに終始した。例えば、パブリックコメント募集時には「国内では使用経験のないアジュバント(免疫補助剤)を用いている」など不安を煽った。このときは、新型インフルエンザの流行が収束し、大きな問題とはならなかったが、厚労省の態度は未だ変わらない。昨年の風疹流行時にも、厚労省は、国産ワクチンにこだわり続けた。

例えば、昨年7月3日、厚労省は、ワクチン不足を防ぐため、地域で融通しあう体制作りを求める通知を、都道府県や医師会に出した。この中で、医療機関は必要最小限度の発注に努めること、都道府県は卸売業者や医療機関の在庫状況がわかる仕組みを作ることを求めた。もし、ワクチンを買い占めて、後日、余ったことが発覚した医療機関は、その名前を公開すると脅したくらいだ。

また、厚労省は、ワクチン接種が必要な人の数を減らすため、接種対象者を絞ろうとした。例えば、厚労省は接種前に抗体検査を行い、免疫が十分でない人を助成対象にするように要請している。

この対策は非合理的だ。ワクチンの絶対数が不足している以上、医療機関で融通し合っても、必ずどこかで不足する。また、抗体検査を義務づければ、二度、病院に行かねばならなくなり、接種率は低下する。集団免疫の観点からは、好ましくない。

厚労省が早急にやるべきは、海外の風疹ワクチンを特例承認し、緊急輸入することだった。多数の先天性風疹症候群が確認されている以上、海外で安全性が検証されているものにワクチンについては、承認のための治験は省略してもいいだろう。余談だが、一例の先天性風疹症候群の陰には、60例の堕胎があるという。

一方、臨床医がやるべきは、目の前の患者に対し、ベストを尽くすことだ。風疹に詳しい久住英二・ナビタスクリニック院長は、「風疹ワクチン接種を希望する人すべてに、ワクチンを接種しています。幸い、在庫は十分にありますが、もしも不足したら、個人輸入でワクチンを入手して、希望者に提供します」という。

私は、この姿勢こそが、臨床医のあるべき姿だと思う。ところが、個人輸入によるワクチン接種に対し、厚労省は反対している。その理由は、副作用が起きたときに、公的な補償を受けられないことだ。ただ、こんな理由は、臨床現場に説得力はない。ワクチン接種に伴う重篤な副作用は、通常数十万から百万分の一と言われている。一般的な医療事故のリスクと比べて、とくに高いとは言えない。万が一、副作用が生じた場合には、「通常の医賠責で対応する(久住院長)」ことが可能だ。

もちろん、医賠責で補償する場合、裁判というステップを踏まねばならず、医療機関には大きな負担になる。理想的には公的補償制度によってカバーされるのが望ましい。ただ、現状を考えれば、そんな悠長なことは言っておられない。

この問題に、前向きに取り組んだのが、黒岩祐治・神奈川県知事だ。もし、個人輸入で入手した風疹ワクチンを接種する場合にも、県が接種費用を補助することを決めた。さらに、県独自に補償制度を立ち上げようとしたが、うまく調整ができなかった。その理由を、黒岩知事は「ワクチン接種はリスクを伴います。そのリスクを接種の実施主体でもない県が負うというのは無理があります」という。臨床医としては納得できない面も強いが、医療に造詣が深い知事が頑張っても、このあたりが限界なのだろう。予防接種問題は、万事がこの調子で、余程、世論が盛り上がらないと事態は改善しない。

接種率を上げるための巡回診療を妨げるもの

ワクチン確保と並ぶ、もう一つの課題はワクチン接種率の向上だ。この点について、期待が持てるのが、医師が職場に出かけていって、そこで集団接種を行うことだ。医療法上は、「巡回診療」に該当する。ところが、これがなかなか進まない。

前述の久住医師は、すでに何社かで、このような形での集団接種を実施した。例えば、昨年5月28日から6月5日までの間の4日間にわたり、サイバーエージェント社で行った集団接種では、合計3,000人の社員のうち、風疹ワクチン未接種もしくは接種歴不明であった7割程度の社員が接種したという。職場で接種できる簡便さが影響したのだろう。通常では考えられない人数だ。これにより、社員のほとんどすべてが免疫を有することになった。

サイバーエージェント社の場合、通常1万円程度かかる接種費用を企業が負担したことも大きい。「社員を大事にする」ことをモットーとする藤田晋社長の経営方針が、このようなところにも貫かれているようだ。接種当日、私も現場に駆け付けたが、概して、ワクチン接種者の満足度は高かったように感じた。

ところが、この枠組みを実行するには、いくつかの困難がある。医療法に規定された巡回診療の基準を満たさなければならないからだ。具体的には、医療機関の所在地、および巡回診療を行う企業の所在地の保健所の許可が必要である。

ところが、この運用が自治体毎に大きく異なる。例えば、医療機関と企業が東京23区内に存在する場合には、許可は容易だ。一方で、立川市のような武蔵野地区の医療機関が、東京23区内の企業に巡回診療することは、原則として認められていない。

また、川崎市は、「巡回診療は無医地区のための制度」という考えで、企業への巡回診療を一切認めていない。ナビタスクリニック川崎からの巡回診療の届け出が受理されないため、神奈川県厚木市の企業に巡回診療をする際には、久住医師が臨時で厚木市に個人診療所を開設し、厚木市の厚木保健福祉事務所の許可を得る形で対応した。昨今の風疹の流行を考えた場合、あまりに馬鹿げた規制だ。早急な改善が必要である。

東京五輪成功ために当事者意識を

我が国の予防接種対策は、万事、この調子だ。世界屈指の豊かな国なのに、厳然とした「ワクチンラグ」が存在し、多くの先進国がすでに克服した感染症に悩まされている。

風疹は氷山の一角だ。2007年には麻疹が大流行した。平年でも10-20万人の患者が発生しており、麻疹を根絶した米国などからは「麻疹輸出国」という不名誉なレッテルを貼られている。B型肝炎も同様だ。乳幼児期の定期接種にB型肝炎ウイルスワクチンが入っていない先進国は、北欧の一部と日本くらいだ。東京五輪を控えた政府は、このあたりの感染症については、とくにコメントしていない。

医学は進歩し、多くの感染症はワクチンにより予防可能となった。ところが、我が国の国民の多くが、このような医学の進歩の恩恵に預かっていない。厚労省・国産製薬メーカー・医師会などの利益が優先され、国民視点に立った議論がなされていないからだ。

たとえ、やる気のある政治家や官僚がいても、しがらみで雁字搦めになっており、彼らだけで解決出来るような問題ではない。ワクチン行政こそ、厚労行政の宿痾を凝縮したような存在だ。この問題を解決し、無事に東京五輪を開催するには、住民・医療関係者が当事者意識を持ち、地道な努力を積み重ねる必要がある。

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http://www.flickr.com/photos/ringai/3173722475/

プロフィール

上昌広医師・医学博士 / 医療ガバナンス論

医師・医学博士。医療ガバナンス論。東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門特任教授。93年東大医学部卒。97年同大学院修了。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事。05年より東大医科研探索医療ヒューマンネットワークシステム(現 先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。帝京大学医療情報システム研究センター客員教授、周産期医療の崩壊をくい止める会事務局長、現場からの医療改革推進協議会事務局長を務める。

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