氷水を被ってALS支援!――世界中で大流行の「アイスバケツチャレンジ」とは?

せっかくやるなら楽しく

 

―― ニコニコ動画の「○○をやってみた」みたいに流行ったら面白いですよね。

 

そうですね、あとツイッターでやってくれたら嬉しいなあ。ハッシュタグ付けて。スマートフォンなら簡単に動画が取れるので、思いついたらすぐにできますし。

 

ただ、私もやってみてわかったんですけど、カメラに向かって、病気やチャリティの説明をするのって結構難しいんですよね。日本で流行っていない理由のひとつかもしれない。だったら、チャリティの内容を説明している記事のURLと動画を一緒にツイートしちゃえばいいと思う。

 

あとはね、大学のサークルとか会社とかグループで、しかも大勢でやったら楽しいんじゃないかな。アメリカの動画を見ているとナンセンスで豪快なんですけど、日本人のは妙にシュールなのや、修行みたいのもある(笑)。クリエイターはそれなりに凝った作品にしてますし、東北の温泉宿の若旦那が氷水かぶって、当館はバリアフリーですって宣伝をしてるのもあった(笑)。そういえば、iPS細胞を研究している山中伸弥さんも英語でスピーチしてから氷水を被っていました。

 

 

ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥さん

 

国によって患者会の質も異なる

 

―― 先ほどアメリカにあるALS協会の国際同盟は広報活動に重点を置いているとおっしゃってしましたが、日本にあるALS支援団体とは活動の質が違うのでしょうか?

 

欧米の患者会はとにかく宣伝して寄付を集める。最初にお話したように、これまでも様々なチャリティを開いてお金を集めてます。

 

ただ、そうやって集めたお金が患者さんのQOLの向上のために使われているかというと微妙……。日本の多くの難病患者会は、政府省庁への政策提言、国会議員へのロビイング、患者さんの個別支援が主な活動で、病気の宣伝や寄付集めにほとんど時間を割けずにきました。少数のボランティアでは募金活動や宣伝にまで手が回らないんですよね……。

 

 

きちんと調べてから寄付を!

 

―― 日本だとどのくらい寄付があるんですか?

 

ふつう難病患者会では多くても年間数百万程度。理事をはじめ執行部は無料奉仕が原則です。

 

でも、ITが発達した今は患者会の運営自体が欧米化して宣伝広報部門に力を入れないと会員は集まらない。そのためにもファンドレイジングを第一に目指す傾向になっていくかも。

 

昔と違ってネットでいくらでも情報収集できる。同病の人も探せる。だから患者会の存在理由が薄まって、従来の患者会の会員はどんどん減っていて。だから、善くも悪しくもファンドレイジングは必要です。でも、寄付を集めることが目的になってしまっては本末転倒ですよね。それでは、お金集めのための病気の宣伝広報が第一義になり、個々の会員の療養支援が手薄になってしまう。

 

ALS国際同盟、アライアンスは自分が選んだALS支援団体に寄付をしてほしいと言っています。どの団体でも寄付はもちろん大歓迎でしょう。でも、寄付を集めたら、どういう使い方をしているか、ちゃんと公表しないといけないです。

 

患者会には任意団体が多いんですが、集めた寄付を患者のために還元しているか、有言実行か。よく調べてから寄付しましょう。チャリティイベントで集めたお金をさらなるイベントのために使っていく海外の患者会にはファンド専任の職員が高給で雇用されていて、お金持ちを捕まえては寄付の話をしています。個々の患者の支援は二の次になっているところもあって、節操ない感じに映ります。

 

スマートフォンの普及で、いま撮影した動画をすぐアップし全世界に向けて公開できるし閲覧場所もある。無料で使える。ファンドレイジングの新たな手法として発展しそうな予感がしますが、実態のない患者会が今後タケノコのように設立されるかもしれない。なので、執行部に複数の患者が参加しているか、会計を公表しているか。寄付金をどのように還元しているか。寄付する際は患者会の活動内容をよく確かめて、寄付するようにしましょう。また、もしよろしければ、私が理事を務める日本ALS協会への寄付をご検討ください。

 

 

日本ALS協会「ALSアイスバケツチャレンジ」 http://www.alsjapan.org/-article-705.html

 

 

―― ありがとうございました。これからどんな方が氷水を被るのかとても楽しみです(笑)。

 

 

スティーヴン・スピルバーグまで!

 

(2014年8月18日 電話にて)

 

サムネイル「Bill Gates ice bucket challenge」Waseem Ashraf

https://flic.kr/p/oLxiGB

 

 

 

 

 

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