入会なんて聞いてない ―― 父親たちの語るPTA

出口はどこだ

 

木村 これまで、入口と中身を伺ってきたので、出口について伺えればとおもいます。子どもが卒業すればPTAから退会できるわけですが、自動加入で入れられてしまったけれど活動に参加したくないとおもった人は、途中から退会できる制度になっているのでしょうか。

 

川端 基本的にはなっていないです。「想定されていない」というのが正確なところだとおもいます。

 

ぼくも、当初はPTAを改革しようとおもって奮闘してきましたが、結局変えることができなかったので、最終的には退会を選ぶことになりました。でもPTA規約には退会についての条項もありませんし、ひと悶着ありました。当時の本部役員は、前例がないので大変なようでしたね。

 

例えば、卒業式や運動会に記念品をくばるのですが、それがPTA会費から出ていたんです。会員でないぼくの子どもに記念品を渡すのかという問題が出て来ます。結果的には実費で払うことで解決しました。

 

木村 PTAが主催となって授業内で人形劇の観劇などをする場合、子どもたちを分けることはできませんよね。この場合どうするのか、といったことでもめているという話も聞いたことがあります。ですが、PTAというのは本来児童・生徒全体とための団体ですから、非会員の子どもだからといって排除するのはおかしいですよね。

 

川端 児童・生徒は、会員でも非会員でもないですからね。たいていのPTAの主旨は子どもたち全員のためにやる。それに賛同した人が入っていることになっていますし。

 

木村 そうですよね。ですから、非会員に配慮するという話になるのは、PTAの標準的な規約に照らしておかしいです。また、会員限定でサービスをする団体だったら学校に施設をつくる必要がありません。

 

学校は公共施設ですから、その施設を利用するには、すべての人に平等に機会が確保されているか、あるいは、公共の利益のために活動する団体であるか、いずれかの条件を満たしている必要があるはずです。PTAの場合は、後者であって、子ども達全員のために活動する団体だから、特権を得て施設を借りているということを自覚する必要があるとおもいます。

 

川端 ぼくの退会ライフは平和なんですが、非常に酷い目に合う人もいるらしいです。一番悲惨なことになりがちなのは、校長も含め引きとめにかかる場合です。「子どもに差別があっても守れない」と言われてしまったという体験談を複数聞いたことがあります。

 

ぼくは校長がセーフティーネットにならないと酷いことが起こるとおもっていて、先日、校長先生に向けて電子書籍を出しました。(http://bccks.jp/bcck/114992/info

 

2011年から2年間、校長先生向けの雑誌に連載していた「校長先生のためのPTA入門」をまとめまたんです。校長先生がPTAについての知識や良識を持っていないと、学校社会において、だれも味方がいなくなってしまう可能性が高いので。

 

木村 私も「集団登校からはずしますよ」と言われたという話を聞いたことがあります。

 

川端 PTAが集団登校を請け負っていることがありますからね。PTAの中に地域班とか地区班といったものがつくられ、そこで集団登校をやったり。そこからはずされると言われると、かなり怖いと感じる人もいますよね。

 

●後編「大きな慣性に逆らって――父親たちの語るPTA(後編)

 

 

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「大きな慣性に逆らって」

川端裕人×木村草太「入会なんて聞いてない――父親たちの語るPTA」(前編)

川端裕人×木村草太「大きな慣性に逆らって――父親たちの語るPTA」(後編)

荻上チキ「読書、時々、映画日記」

片岡剛士「経済ニュースの基礎知識TOP5」

木下斉「まちづくりと経営の15年」

駒崎弘樹「時にはひっそりと社会を変えて行く――進化するロビイング(番外編)」

 

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vol.2019.4.15 

・打浪文子「知的障害のある人たちと「ことば」」

・照山絢子「発達障害を文化人類学する」
・野口晃菜「こうすれば「インクルーシブ教育」はもっとよくなる」
・戸谷洋志「トランスヒューマニズムと責任ある想像力」
・濵田江里子「「社会への投資」から考える日本の雇用と社会保障制度」
・山本章子「学びなおしの5冊 「沖縄」とは何か――空間と時間から問いなおす」
・鈴木崇弘「自民党シンクタンク史(6)――設立準備期、郵政民営化選挙後」