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一般社団法人GROW AS PEOPLEとは

 

赤谷 ありがとうございました。では次に、一般社団法人GROW AS PEOPLE代表理事の角間惇一郎さんにお話いただきます。よろしくお願いします。

 

角間 こんにちは。今日はわたしたちGROW AS PEOPLEがどのような活動をやっているかをお話したいと思います。GROW AS PEOPLEは埼玉県越谷市を拠点に、2010年10月から活動を始めました。現在、正式なスタッフはわたしを含めて3人。活動の際に、話を聞かせてくれる女性が約180名います。

 

わたしたちが提供するサービスの受益者は「21世紀のマーメイド」です。夜の世界で働く女性たちは足が欲しくて大きなリスクをとってしまった人魚姫のように、生きていくために大きなリスク ―― 夜の世界の仕事を選択せざるを得ず、その結果、自分たちの声を失ってしまい、立場を明かして相談ができなくなっている。わたしたちは彼女たちの声に耳を傾け、相談にのりたいと思って活動をしています。

 

お店の数と平均在籍人数からざっくり計算した数字となりますが、夜の世界で働いている女性は最低でも29万人以上います。20歳から40歳手前までと設定した場合、100人中2人となる。

 

しかし、そもそも夜の世界とは何か。たとえば一回だけ働いた女の子は夜の世界で働いていると言えるのでしょうか。また夜の世界の仕事のみで生きている人と、半々で生きている人、どこからどこまでが該当するのか、定義がありません。ですからわたしたちが計算した人数が多いか少ないかは気にしないでください。そのくらいの女性が働いていると思っていただければ結構です。

 

「夜の世界」という定義がないがゆえに、見えてこない問題がたくさんあります。たとえば、公務員の場合、調査を行えば、世帯人数や収入を調べることができますが、夜の世界で働く女性の場合、アンケートを取りたくても、窓口もなければ、回答を拒まれてしまうことも多い。突然「夜の世界で働いたことがありますか?」と聞かれたら、残念ながら多くの人は失礼だと思ってしまいますし、仮にそうだとしても正直回答してくれるとはかぎりません。

 

そのため、マクロの視点でみた実態は把握できていません。今日は、少なくともわたしたちが調査した結果をまとめてみて見えてきた問題をお話したいと思います。

 

GROW AS PEOPLE;http://growaspeople.org/

 

 

「40歳の壁」を飛び越える

 

現在、GROW AS PEOPLEは「40歳の壁」という問題を設定して活動しています。夜の世界は健康であればつづけることはできますが、40歳を超えると今までと同じペースで働くのがしんどくなってガクンと収入が落ちます。どうしても40歳が定年になってしまう。女性の平均寿命は85歳くらい。人生の半分で、それまで実績をあげてきた仕事ができなくなってしまう。これが「40歳の壁」です。

 

GROW AS PEOPLEはスタッフ3名の小さな団体です。本当はすべての年齢層をケアしたいと思っていますが、団体の規模を考えたら不可能です。一方、40歳の壁が差し迫っている人たちが、壁を超えられるようにお手伝いする力も、残念ながらわたしたちにはまだありません。

 

アンケートを取ると、18歳のときは、受け入れられなかった学校や社会と違って歓迎してくれるこの世界を楽しんでいたけれど、25歳くらいから、「このままでいいのだろうか」と危機感を抱くようになるようです。そこで、いまは25歳から34歳をターゲットに、「40歳の壁」を飛び越えるための助走をお手伝いしているところです。

 

 

角間惇一郎氏

角間惇一郎氏

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.267 

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