シノドス・トークラウンジ

2020.12.28

2021年1月22日(金)開催

「社会問題の社会学」とはなにか――「構築主義1.0」から「構築主義2.0」へ

赤川学(訳者) ホスト:石島裕之(筑摩書房)

開催日時
2021年1月22日(金)20:00~21:30
ゲスト
赤川学(訳者)
ホスト
石島裕之(筑摩書房)
場所
Zoom
料金
1100円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。

対象書籍

社会問題とは何か: なぜ、どのように生じ、なくなるのか?

ジョエル・ベスト/赤川学

いじめや自殺、DVといったものから、経済やジェンダーにおける格差、人種差別、気候変動といったものまで、現代の社会問題は多岐にわたる。テレビやネットで発せられた「これは問題だ!」という、あらたな警告にふれるとき、私たちは不安をおぼえたりはしないだろうか。

なぜなら、そのメッセージは根拠に乏しかったり、場合によっては虚偽であったりするかからだ。こうして猜疑心がふくらめば、あらゆる問題提起をシニカルな目でみるようになっていく。他方で、「これは問題だ!」というメッセージを、たしかな根拠に基づくものと無批判に受け止め、信じ込んでしまうこともある。

あらゆる問題提起(クレイム)を軽視するシニカルな態度も、そうではなく、盲信してしまう態度も、どちらも極端な立場だろう。いずれにも陥らず、社会問題を適切に考えるための視座を獲得するにはどうすればいいのか。

社会学など社会科学の分野では、社会問題について、客観的な定義にもとづいて分析しようとする立場がある。たとえば、その社会の人々の一部、または全員の「幸福」を毀損している(と判断しうる)事象を見つけだし、社会にとってそれは有害だと定義づけ、これを基準に社会を観察し、該当するものに社会問題A、B、C…と名づけていく。

だが、そこには欠点があると、社会学者の赤川学氏は言う。異なる社会、異なる時代を検証していくと、何が社会問題で、何がそうでないかに関する「客観的な」基準はとうてい維持できなくなるからだ(ある時代、ある地域での大麻の使用は全く問題とされないが、別の社会では法に触れ罰せられる、など)。

赤川氏によれば、「社会問題は、はじめから客観的に存在するのではなく、『社会問題がある』と定義し、クレイムを申し立てる社会成員の活動(クレイム申し立て活動)によって構築される」という(『社会問題の社会学』)。このような考え方は、社会問題の構築主義と呼ばれている。社会問題の構築主義は、社会問題をきちんと考えたい人にとって有益な視座を提供する。そう主張するのは、社会学者のジョエル・ベスト氏だ。ベスト氏は、90年代以降の日本の人文・社会科学に影響を与えてきた社会構築主義、とくに社会問題の構築主義アプローチを牽引してきたことでも知られる。

ベスト氏の著作で、米国でロングセラーとなっている『社会問題とは何か』をこのたび監訳された赤川学氏をお招きし、『社会問題とは何か』のエッセンス、そして可能性について解説していただく。のみならず、この書の理論的枠組みを現代日本に当てはめたとき、いかなることが言えるのかも存分に語っていただく。

プロフィール

赤川学

1967年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科社会学専攻博士課程修了。博士(社会学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は社会問題の社会学、歴史社会学、セクシュアリティ研究、人口減少社会論。

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