シノドス・トークラウンジ

2021.01.24

2021年2月16日(火)開催

進化政治学の可能性――ヒトの政治的行動の進化的基礎

長谷川眞理子 ホスト:伊藤隆太

開催日時
2021年2月16日(火)20:00~21:30
ゲスト
長谷川眞理子
ホスト
伊藤隆太
場所
Zoom
料金
1100円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。

対象書籍

きずなと思いやりが日本をダメにする 最新進化学が解き明かす「心と社会」

長谷川眞理子・山岸俊男

進化と人間行動

長谷川寿一・長谷川眞理子

近年、進化政治学という進化論的視点から人間の政治行動を分析するアプローチが台頭しています。これは欧米ではローズ・マクデーモット、ドミニク・ジョンソン、日本では長谷川眞理子先生、長谷川寿一先生、森川友義先生、そして今回の聞き手を務める伊藤隆太といった自然科学と社会科学と横断する研究者により進められてきました。

多くの人は進化政治学が欧米で中心に注目を浴びている学問で、日本ではようやく輸入されたものであるかのように思っていますが、この印象は実は、学説史上必ずしも適切ではありません。というのも、たしかに進化政治学に関する研究の蓄積は欧米の方が圧倒的に重厚ですが、日本においても、いくつかのきわめて重要な進化政治学に関する議論が、今から十年以上前に既になされており、それは今の進化政治学として広く知られるようになった学問に、しっかりと引き継がれているからです。

こうした進化政治学に関する先駆的な研究を提示されている学者のお一人が、今回トークラウンジにお招きする長谷川眞理子先生です。長谷川先生は多くの方がご存知の通り、進化生物学あるいは広義の進化学について、世界で最も卓越した学者の一人です。長谷川先生は、2009年に「政治の進化生物学的基礎――進化政治学の可能性」という論文を記しており、その中で進化理論が社会科学のメタ理論となりうること、そしてとりわけ、進化理論が政治現象の起源について興味深い知見を提供することを論じられています。

そこで今回は同論文を出発点としつつ、その後の進化政治学それ自体と長谷川先生ご自身の研究双方の進展を踏まえて、進化政治学にかかわる様々な問題をお伺いしていきたいと思います。これにより、進化論や政治学を一例として、自然科学と社会科学が統合しうるのか、すなわち、有力な進化生物学者E・O・ウィルソンがいう、コンシリエンスの可能性を模索してまいります。

対象文献

① 長谷川寿一・長谷川眞理子「政治の進化生物学的基礎――進化政治学の可能性」『リヴァイアサン』第44号(2009年4月)71-91頁。

② 長谷川眞理子・山岸俊男『きずなと思いやりが日本をダメにする――最新進化学が解き明かす「心と社会」』(集英社インターナショナル、2016年)。

③ 長谷川寿一・長谷川眞理子『進化と人間行動』(東京大学出版会、2000年)。

*一番読みやすいのが②ですので、こちらを読んだ後、分からないことがあったら③を参照しつつ、①の論文を読むことをお勧めいたします。

プロフィール

長谷川眞理子

総合研究大学院大学学長。理学博士。

1976年東京大学理学部生物学科卒業、80~82年タンザニア野生動物局に勤務、83年東京大学大学院理学系研究科人類学専攻博士課程修了 、東京大学理学部生物学科人類学教室助手、英ケンブリッジ大学研究員、専修大学助教授・教授、米イェール大学人類学部客員准教授、早稲田大学政経学部教授を経る。総合研究大学院大学先導科学研究科教授、理事・副学長などを経て、2017年から現職。日本人間行動進化学会会長も。

専門は、行動生態学、自然人類学。野生のチンパンジー、英国のダマジカ、野生ヒツジ、スリランカのクジャクなどの研究を続け、最近は、人間の進化と適応の研究を行っている。『クジャクの雄はなぜ美しい?増補版』(紀伊國屋書店)、『進化とは何だろうか』(岩波ジュニア新書)、『ダーウィンの足跡を訪ねて』(集英社)、『世界は美しくて不思議に満ちている』(青土社)、『モノ申す人類学』(青土社)などの著書、『人間の由来(上)(下)(チャールズ・ダーウィン著)』(講談社学術文庫)、『ダーウィンの種の起源(ジャネット・ブラウン著)』(ポプラ社)など訳書多数。

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