シノドス・トークラウンジ

2021.06.23

2021年6月30日(水)開催

なぜ、日本は海外に自衛隊を派遣するようになったのか?――自衛隊海外派遣と国際貢献

加藤博章 国際関係論、国際政治史、東アジアの外交・安全保障政策 ホスト:伊藤隆太

開催日時
2021年6月30日(水)20:00~21:30
講師
加藤博章
ホスト
伊藤隆太
場所
Zoom
料金
1100円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。

対象書籍

自衛隊海外派遣の起源

加藤 博章

「国際貢献」という言葉は、日本では問題なく受け入れられています。「国際貢献」には、さまざまな意味がありますが、国際社会の一員としての役割を果たす、国際社会に対して、日本が人的支援を行うという意味で用いられることが多いです。しかし、この言葉は、ある意味で奇妙な言葉です。なぜ、「支援」や「援助」ではなく、「貢献」なのでしょうか?

言葉遊びのように感じてしまうかもしれませんが、これらの言葉の中で「貢献」という言葉がついているところが、日本の国際社会に対する姿勢が見え隠れします。すなわち、国際社会の一員として、相応の責任を果たすべきだ、その含意が、「国際貢献」という言葉に表れているのです。

アジア・太平洋戦争の終結後、日本は敗戦国として、軍を廃棄しました。その一方で、国内では軍隊に対する忌避感もあり、軍隊の海外出動は不可能な状況でした。しかし、70年代後半以降、日本が経済大国化し、ベトナム戦争の後遺症により、米国のプレゼンスが低下する中で、国際社会に対して、経済大国としての役割を果たすべきという意見が起こり、難民救援や災害支援で人的支援を行わない日本の姿勢を批判するようになりました。こうした動きに対応し、憲法9条の枠内で、自衛隊を活用しない形での人的支援が模索されました。この動きがその後の自衛隊海外派遣につながったのです。

そこで今回は、日本戦略研究フォーラム主任研究員の加藤博章先生をお招きして、加藤先生のご高著『自衛隊海外派遣の起源』を手掛かりに、日本は国際社会にどう向きあってきたのか、そして、何故貢献しなくてはいけないと考えるようになったのかを、本書で語られている内容以外の話も踏まえながら考えていきます。

プロフィール

加藤博章国際関係論、国際政治史、東アジアの外交・安全保障政策

1983年生まれ。関西学院大学国際学部兼任講師
名古屋大学大学院環境学研究科社会環境学専攻環境法政論講座博士後期課程単位取得満期退学後修了、博士(法学)。防衛大学校総合安全保障研究科特別研究員、国立公文書館アジア歴史資料センター調査員、日本学術振興会特別研究員(DC2)、ロンドン大学キングスカレッジ戦争研究学部客員研究員、東京福祉大学国際交流センター特任講師を経て、現職。専門は国際政治史、東アジアの外交・安全保障政策。特に日本の国際貢献と援助政策、日本外交史。現在は、インドシナ難民問題と日本外交、日本の国際貢献と経済協力の連関性、国連における国際緊急援助に関心を持っている。

この執筆者の記事