2021.07.06
2021年7月10日(土)開催
啓蒙の限界プロジェクト 「第3回 温室効果ガス実質ゼロに向けた私たちの消費生活は-シミュレーションデータはどこまで迫れるか」
井原智彦 ホスト:根本志保子
- 開催日時
- 2021年7月10日(土)15:00~16:30
- 講師
- 井原智彦
- ホスト
- 根本志保子
- 場所
- Zoom
- 料金
- 1100円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。
閾値を超えた気候変動を防ぐためには、2030年までに二酸化炭素の排出量を45%削減、2050年頃には正味ゼロにしなければならないとされています。このIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の「特別報告書(2018年)」を受けて、私たちの社会や生活は大きな変容を迫られています。
シノドストークラウンジ「シリーズ:啓蒙の限界プロジェクト」では、第1回にて、気候変動問題への対応に向けて私たちの「社会が受けるであろう影響や意識変容の必要」について、第2回にて、2050年脱炭素社会に向けた「内外の社会経済シナリオが示す私たちの家庭生活への示唆」について、AIM(アジア太平洋統合評価モデル)の研究成果などをまじえて議論を進めてきています。
このような大きな社会経済変容に際して、果たして新たな技術、個々の意識改革や工夫のみで、本当に「2050年の温室効果ガス正味ゼロ」は達成できるのでしょうか。実際には、私たちの社会や日常生活は、何を、どこまで、どのように、変えることが求められているのでしょうか。それらを「数値」として知ろうとする分野の一つに、社会経済と環境影響の関係をマクロ的に俯瞰するシミュレーションモデルや、製品やサービスのゆりかごから墓場までの環境影響を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)という研究手法があります。
第3回目は、東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻准教授の井原智彦先生をお迎えします。井原先生は、ライフサイクル思考に基づいて、地域・個人レベルでの具体的な対策を立案し、社会全体への有用性をデータで評価する研究を専門としています。内外の最新のシミュレーションモデル研究は、温室効果ガス実質ゼロに向けた私たちの消費生活について、どこまで明らかにしているのでしょうか。前回に引き続き、九つのシンプルな質問を素材に議論します。例えば「気候変動を抑えるために、牛肉は、毎年、何グラムまで食べてよいのでしょうか」といった素朴な質問です。現在の専門研究では、このような問いにどこまで迫ることができるのでしょうか。
皆様、どうぞご参加ください。
プロフィール
井原智彦
東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻 准教授/国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 社会とLCA研究グループ 客員研究員併任。2004年に東京大学大学院工学系研究科地球システム工学専攻博士課程修了 博士(工学)。専門はライフサイクル思考の都市気候および消費者行動への応用。論文(共著含む)に、Yujiro Hirano(平野勇二郎), Tomohiko Ihara(井原智彦), Masayuki Hara(原政之), Keita Honjo(本城慶多),“Estimation of Direct and Indirect Household CO2 Emissions in 49 Japanese Cities with Consideration of Regional Conditions”Sustainability 12(11) 4678 – 4678(2020)、Yida Jiang(姜怡達), Yin Long(龍吟), Qiaoling Liu(劉巧玲), Kiyoshi Dowaki(堂脇清志), Tomohiko Ihara(井原智彦), “Carbon emission quantification and decarbonization policy exploration for the household sector – Evidence from 51 Japanese cities”Energy Policy 140, 111438(2020)、平野勇二郎, 井原智彦, 戸川卓哉, 五味馨, 奥岡桂次郎, 小林元「家庭における直接・間接CO2推計に基づく低炭素型ライフスタイルの検討」『環境科学会誌』30(4) 261 – 273(2017)、など。