シノドス・トークラウンジ

2021.07.20

2021年8月14日(土)開催

反社会的な教育学のススメ――子どもを「世界」と出会わせるために

神代健彦 教育学・教育史 ホスト:芹沢一也

開催日時
2021年8月14日(土)14:00~15:30
ゲスト
神代健彦
ホスト
芹沢一也
場所
Zoom
料金
1100円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。

対象書籍

「生存競争」教育への反抗

神代 健彦

どうやらわたしたちは、あまりに多くを教育に求めているようです。保守的な政治家が愛国心を教えることを学校に求めたり、企業がグローバルに活躍する人材の育成を学校教育に期待したり。あるいは、貧困や格差といった社会問題を、教育によって解決しようという向きさえ見受けられます。まるで教育という営みが、なにか万能の力をもっているかのようです。

そうした現状に対して、今回のゲストである神代健彦さんは『「生存競争(サバイバル)」教育への反抗』で、次のように疑問を呈しています。

「グローバリゼーションを勝ち抜きたいのはわかるが、なぜ私企業が自分の会社の職能開発を学校にやれと迫るのか。子どもの愛国心が足りないと嘆く前に、子どもに愛されるに足る国をつくってはどうか。貧困・格差問題の解決は焦眉だが、それには再分配のシステムを工夫する方が先だろう。」

もちろん教育は教育でのみ完結しているわけではなく、実際に国家や企業、社会と密接に関連しています。コミュニティの秩序を保つためには、社会のルールや規範を内面化しなければなりませんし、一国の経済成長のためにはすぐれた人的資本の開発は不可欠です。ナショナリズムが社会問題への意識を高める公共心の育成に一役買うこともあります。そして、子どもたちにとっても、そうした教育が社会的な成功に結びつくのであれば、大きなメリットがあることでしょう。

しかし、教育なるものは、そのような「機能」に還元されてもよいのでしょうか。教育の目的がたんに子どもたちを、国家や企業にとって「有用」な存在にすることに尽きてもよいのでしょうか。そうではない、と言いつつ神代さんは、教育にわたしたちが期待すべきことは、「子どもを世界と出会わせること」だと主張します。

子どもと「世界」が出会うとはいかなることなのか、そしてそこにはどのような教育の可能性が宿っているのか。神代さんと議論したいと思います。

プロフィール

神代健彦教育学・教育史

京都教育大学教育学部准教授。専門は教育学・教育史、道徳教育論。研究テーマは、戦後日本の教育学史。また民間教育研究団体での活動を通じて、授業における教師や子どもの振る舞いから、広く現代の(道徳性)発達にかかわる文化的環境までを読み拓く、〈教育批評〉という批評ジャンルの開拓を試みている。教育科学研究会(通称「教科研」)常任委員。
著書に、現代位相研究所編『悪という希望 ―「生そのもの」のための政治社会学―』(共著、教育評論社、 2016)、神代健彦・藤谷秀編『悩めるあなたの道徳教育読本』(共著、はるか書房、2019)、訳書としてニコラス・ローズ『魂を統治する ―私的な自己の形成―』(共訳、以文社、2016)がある。

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