シノドス・トークラウンジ

2021.08.16

2021年9月10日(金)開催

〈ケア〉から見える世界――新刊『ケアの倫理とエンパワメント』を通して

小川公代 ロマン主義文学、医学史 ホスト:三牧聖子

開催日時
2021年9月10日(金)20:00~21:30
ゲスト
小川公代
ホスト
三牧聖子
場所
Zoom
料金
1100円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。

対象書籍

ケアの倫理とエンパワメント

小川公代

8月下旬に刊行される小川公代さんの『ケアの倫理とエンパワメント』は、キャロル・ギリガンが初めて提唱して以来、政治学、社会学、倫理学などさまざまな分野で発展してきた「ケアの倫理」について、文学研究者の立場から考察する野心的な試みです。ヴァージニア・ウルフ、トーマス・マン、ジョン・キーツ、オスカー・ワイルド、三島由紀夫、多和田葉子、温又柔、平野啓一郎などの海外・日本の多様な作品の分析を通じ、〈ケアすること〉の豊かな意味を解き明かしています。

「ケアの倫理」は、自己と他者との関係について、根本的な問いを投げかけています。これまでの人間社会を論ずる倫理は、合理的で自立し、自己決定能力を有する「強い」人間同士の関係を想定するものが多かったのではないでしょうか。そのような議論は暗に、ケア労働を免除された「家長」を主体として想定し、ケア提供者であることが多い女性の存在は、そこから抜け落ちてきました。子どもや障害者も十分組み込まれてきたとはいえません。

新型コロナ危機を背景に、誰しもが他者に依存し、「ケア」なしには生きられないことが改めて認識されるようになっています。今こそ、「ケア」を起点に、政治社会のあり方を見直すときではないでしょうか。本トークラウンジでは、小川さんとともに「ケア」の多様な意味合い、可能性についてさまざまに探求したいと思います。

プロフィール

小川公代ロマン主義文学、医学史

上智大学外国語学部教授。ケンブリッジ大学政治社会学部卒業。グラスゴー大学博士課程修了(Ph.D.)。専門は、ロマン主義文学、および医学史。著書に、『文学とアダプテーション――ヨーロッパの文化的変容』(共編著、春風社)、『ジェイン・オースティン研究の今』(共著、彩流社)、『ジョージ・オーウェル「一九八四年」を読む』(共著、水声社)など。訳書に『エアスイミング』(シャーロット・ジョーンズ著、幻戯書房)、『肥満男子の身体表象』(共訳、サンダー・L・ギルマン著、法政大学出版局)などがある。『群像』や『毎日新聞』〈文芸時評〉などへの寄稿も多数。

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