シノドス・トークラウンジ

2021.09.26

2021年10月27日(水)開催

ミニマリズム:新しい消費の思想とは

橋本努 社会哲学 ホスト:石島裕之(筑摩書房)

開催日時
2021年10月27日(水)20:00~21:30
ゲスト
橋本努
ホスト
石島裕之(筑摩書房)
場所
Zoom【後日アーカイブ視聴も可能です】
料金
1500円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。

対象書籍

消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神

橋本努

私たちはスマートフォンの普及とともに、写真や音楽や動画などをデータで楽しむようになりました。いわば「モノ消費」から「コト消費」へとスタイルを変化させています。

そうしたなかで、最小限のモノで暮らすミニマリストたちの生活に、人々の関心が集まっています。例えば、近藤麻理恵の『人生がときめく片づけの魔法』は世界的なベストセラーとなり、1100万部を売り上げました。背景には、シンプル消費を提案する「無印良品」の世界進出もあるでしょう。日本のミニマリズム文化はいま、世界的に注目されています。

1970年代から最近にいたるまで、消費文化論といえば、ジャン・ボードリヤールのいう「記号消費論」でした。ボードリヤールの『消費社会の神話と構造』は、ポストモダン消費社会論の古典です。ところが日本の消費社会は、現在、シンプル消費の方向に向かっています。記号消費と呼ぶには、あまりにもシンプルな記号になっています。このトレンドは、どのように説明できるでしょうか。

そのカギとなるのが「ミニマリズム」です。ミニマリズムは、ファッションや彫刻や音楽の領域ではすでに、20世紀の中頃から、一つの確立されたスタイルを生み出してきました。また、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグのようなIT産業の起業家たちは、いつも同じシンプルな服装をして、ビジネスに集中し、私たちの時代をリードしてきました。そしていま、さまざまなミニマリストたちが、新しい生活スタイルを模索しています。消費ミニマリズムは、日本では2015年頃から話題になり、ミニマリストいう言葉は、この年の流行語大賞の候補にもなりました。今回のトークラウンジでは、橋本努著『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』を取り上げて、こうした現代の消費文化について議論します。

かつてマックス・ウェーバーは、プロテスタントのような「消費しない禁欲主義者たち」が、「資本主義の精神」を生み出したと論じましたが、同じく「消費しないミニマリストたち」は、もしかすると「脱-資本主義の精神」を生み出す可能性を秘めています。そんな新しい文化の回路についても、議論したいと思います。みなさま、どうぞよろしくお願いします。

プロフィール

橋本努社会哲学

1967年生まれ。横浜国立大学経済学部卒、東京大学総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、北海道大学経済学研究科教授。この間、ニューヨーク大学客員研究員。専攻は経済思想、社会哲学。著作に『自由の論法』(創文社)、『社会科学の人間学』(勁草書房)、『帝国の条件』(弘文堂)、『自由に生きるとはどういうことか』(ちくま新書)、『経済倫理=あなたは、なに主義?』(講談社メチエ)、『自由の社会学』(NTT出版)、『ロスト近代』(弘文堂)、『学問の技法』(ちくま新書)、編著に『現代の経済思想』(勁草書房)、『日本マックス・ウェーバー論争』、『オーストリア学派の経済学』(日本評論社)、共著に『ナショナリズムとグローバリズム』(新曜社)、など。

この執筆者の記事