シノドス・トークラウンジ

2022.05.13

2022年6月1日(水)開催

アートとエコロジーの新たな関係、新たな地平――「ポスト人新世の芸術」を読む

山本浩貴 文化研究・現代美術 司会:志田陽子

開催日時
2022年6月1日(水)20:00~21:30
講師
山本浩貴
司会
志田陽子
場所
Zoom【見逃しアーカイブ視聴も可能です】
料金
1500円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。

対象書籍

ポスト人新世の芸術

山本浩貴

今回は、文化研究・美術史を専門とする山本浩貴氏をゲストに迎え、近刊著書『ポスト人新世の芸術』(美術出版社、2022年、近日発売)を取り上げます。

もともとは地質学の専門用語である「人新世」という言葉は、人間活動が地球環境に無視できない影響を与えるようになった時代を指しています。この言葉が表している世界の見方が、アートの世界でも着実に受容され、実践されてきているといいます。加えて、過去の美術史も、そうした視点から再考される可能性が十分に考えられます。

気候変動や環境破壊を含む「エコロジー」の諸問題は、全人類に関わること、すべての人が当事者となることです。山本さんには、このテーマで『α-シノドス』4月15日号にもご寄稿をいただいています。

山本さんは、アートの持つ「世界を再魔術化させる力」の新しい可能性を見ています。

「それは自然に内在する理解不可能性・コントロール不可能性を前景化し、作品を通じてそれらを人々に提示してみせることであると。それはすなわち、自然を私たちにとって再び未知なる存在に変貌させるということだ。」と山本さんは言います。
(山本浩貴「アートとエコロジー——芸術の生態学、生態の芸術論」『α-シノドス』4月15日号)

たしかに、私たちは、未知のもの、解明されていないものを前にしたとき、真摯にそれと向き合い、それを知りたいと思う心を持つことができますが、わかった気になってしまっている事柄に対しては、その心を忘れてしまいがちです。忘れたまま、わかった気になったまま、気候変動などの大問題を人任せにしていていいのかー-。

アートとエコロジーの話は、アーティストだけの話ではなく、社会に生きる私たちすべてを、未知の他者と向き合うというアートの営みの内部に誘う話なのだな、と、この論説を読みながら感じました。アート活動をしている人も、そうでない人も、山本さんのお話に、ぜひ、巻き込まれてほしいと思います。

プロフィール

山本浩貴文化研究・現代美術

1986年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。ロンドン芸術大学大学院博士課程修了。金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科芸術学専攻講師。博士(芸術)。専攻は、文化研究・現代美術。著書に、『現代美術史——欧米、日本、トランスナショナル』(中央公論新社、2019)、『トランスナショナルなアジアにおけるメディアと文化——発散と収束』(共著、ラトガース大学出版局、2020)、『レイシズムを考える』(共著、共和国、2021)、『東アジアのソーシャリー・エンゲージド・パブリック・アート——活動する空間、場所、コミュニティ』(共著、ベーノンプレス、2022)など。

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