シノドス・トークラウンジ

2023.12.21

2024年1月17日(水)開催

【トーク】新自由主義と「新しい公共」――リベラルの再起動に向けて

宮川裕二 ホスト:橋本努

開催日時
2024年1月17日(水)20:00~21:30
講師
宮川裕二
ホスト
橋本努
場所
Zoom【後日、アーカイブ動画での視聴も可能です】
料金
1980円(税込)

現在の岸田文雄政権は、どこまで持ち堪えるでしょうか?

朝日新聞の世論調査(2023年11月)によれば、岸田内閣は現在、2012年12月に安倍晋三内閣が発足して以来、内閣としては最も支持率が低く、最も不支持率が高い状況にあります。すでに政権として限界かもしれません。むろん、岸田政権の不人気は、新自由主義の政策を推進したからではありません。新自由主義に対する批判の言説は、2012年のアベノミクス以降、しだいに少なくなっています。

直近の問題は、自民党各会派の裏金疑惑です。しかしさらに視野を広げると、岸田内閣に固有の問題は、山積する政治経済の課題を、もっぱら専門的な行政主導の観点から解決しようとする点にあるのではないでしょうか。岸田政権は、ある程度まで正しい政策を打ち出しているようにみえます。けれども、首相がみずから政治の理念を語らなければ、政治は、縮こまった行政手腕の装置と化してしまいます。理念のない政治は、政治本来の醜(みにく)さを露呈してしまいます。これでは、民衆の支持を得ることはできません。岸田首相は、どんな政策が望ましいのかについて、もっと理念を語るべきではないでしょうか。そして私たちも、政権の運営に、理念を求めるべきではないでしょうか。

しかしもっと深刻なのは、自民党に代わりうるリベラルな政党の政策理念も、枯渇してきた点です。リベラルは現在、何を語るべきなのでしょうか。参考になるのは、今年三月に刊行された、宮川裕二著『「新しい公共」とは何だったのか――四半世紀の軌跡と新自由主義的統治性』風行社、です。本書は、「新しい公共」政策の経緯と、新自由主義の言説を整理しつつ、今後の政策を展望しています。

21世紀になって、日本のリベラルな政党(民主党、立憲民主党など)は、自民党による新自由主義改革を批判する一方で、地域社会やNPOベースの市民活動を重視する「新しい公共」を掲げてきました。ところが2012年に安倍晋三政権が誕生すると、「新しい公共」の理念と政策は、アベノミクスの背後で衰退しました。私たちはいま、どのような「公共」の理念と政策を掲げることができるのでしょうか。

本書は、新自由主義には「小さな政府」を目指すタイプ(ロールバック)と「第三の道」のような中道左派のタイプ(ロールアウト)の二つがあると指摘します。そして日本における「新しい公共」の理念と後者の新自由主義の結びつきを明らかにし、「新しい公共」の政策言説がどのように変化してきたのかを、丹念に分析しています。

シノドス・トークラウンジでは、本書の著者である宮川裕二先生をお招きして、リベラルな社会の可能性を語り合いたいと思います。新自由主義と「新しい公共」の何が問題なのか。本質に迫ります。皆さま、どうぞよろしくご参加ください。

プロフィール

宮川裕二

一九七三年生まれ。法政大学兼任講師・名城大学非常勤講師。法政大学大学院公共政策研究科(公共政策学専攻)博士課程修了。主な著書・論考に『「新しい公共」とは何だったのか――四半世紀の軌跡と新自由主義統治性』(風行社、二〇二三年)、「『公共』のオルタナティブは可能か――『新しい公共』言説の検証から」(『世界』二〇二三年九月号所収)など。

この執筆者の記事

橋本努社会哲学

1967年生まれ。横浜国立大学経済学部卒、東京大学総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、北海道大学経済学研究科教授。この間、ニューヨーク大学客員研究員。専攻は経済思想、社会哲学。著作に『自由の論法』(創文社)、『社会科学の人間学』(勁草書房)、『帝国の条件』(弘文堂)、『自由に生きるとはどういうことか』(ちくま新書)、『経済倫理=あなたは、なに主義?』(講談社メチエ)、『自由の社会学』(NTT出版)、『ロスト近代』(弘文堂)、『学問の技法』(ちくま新書)、編著に『現代の経済思想』(勁草書房)、『日本マックス・ウェーバー論争』、『オーストリア学派の経済学』(日本評論社)、共著に『ナショナリズムとグローバリズム』(新曜社)、など。

この執筆者の記事