2014.05.03

2014年2月に刊行された大野更紗・開沼博著『1984 フクシマに生まれて』(講談社)。その刊行記念として3月23日に池袋で開かれたトークイベントでは、本書の紹介に留まらず、著者のふたりが考える「現代社会を生き抜くために、今、読むべき30冊」が紹介された。1984年、福島県生まれという共通点を持つふたりは、いま読者に、どんな本を手に取ってもらいたいと考えているのか。イベントの抄録をお送りする(構成/金子昂)。

『1984 フクシマに生まれて』(講談社)

大野 みなさんこんにちは、大野です。

開沼 開沼です。よろしくお願いします。

大野 今日は日曜日の午後という貴重な時間にもかかわらずトークイベントにお越しいただいて本当にありがとうございます。会場であるリブロ池袋本店さんが入っている百貨店があまりに混んでいて、駅の改札からこのイベントルームに辿り着くまでに、35分もかかりました。車椅子がぜんぜん前に進まなくて。

開沼 まずは『1984 フクシマに生まれて』の宣伝をしないといけないんですよ。

大野 あっ、そうですね。

開沼 刊行してしばらく経ちますが反響はどうですか?

大野 なんで私に聞くんですか(笑)。開沼くんも共著者でしょ!

開沼 ぼくは、ぼくが書いた本の中で一番読みやすいって言われましたね。あとツイッターをみていると、同世代のひとが「自分がみてきたものと非常に似通っていて共感できる」といった内容を呟いているのをみました。

大野 私はこれまで被災地としての福島に直接言及した本って作ったことはなかったんですよね。

福島県内の中高生世代で、スマートフォンを持ってる人が結構いるんですよね。ツイッターをやっている人も当然いらっしゃる。SNSを通してですが、福島の若い世代の人から感想をいただいたのは嬉しかった。でも実はこの本って、タイトルに「フクシマ」ってあるけど、福島を書いたわけではないんです。

開沼 そうですね。

大野 震災後の社会で、様々な分野でキーパーソンとなる人たちの話を聞いてきたと思っています。開沼くんはどうですか?

開沼 そんな感じです。聞きたい人に聞けたので自分でもやっていて楽しかったし勉強になった。それから、あとでお話したいと思っていますが、2か月ほどオウム真理教元幹部の平田信裁判を傍聴したりしてたんで、森達也さんとお話しできたのは予習になってよかったかな。

大野 川口有美子さん、駒崎弘樹さん、小鷹昌明さん、森達也さん、茂木健一郎さん、金富隆さんと、それぞれ異なる現場の最前線で活躍されている方と、みんなのスケジュールをなんとか合わせて、講談社に集まって、半日くらいゆっくりとお話を伺う。月に一度の「勉強会」みたいな感じだったよね。

開沼 そうですね。読者の皆さんには勉強会の空気を味わってもらいたいと思います。たった850円ですし。

大野 (これはコスパが良いですよ)(小声)。気楽に、手に取ってもらいやすいように、文庫書き下ろしにしました。

開沼 というわけで、『1984 フクシマに生まれて』の話はこのあたりで切り上げましょう。今日は非常にハードなんです。いまから2時間ほど、「今、読むべき30冊」と題して、僕たちが15冊ずつ選んだ本を紹介していきたいと思います。

大野 イベントに参加してくださった皆さんに「現代社会で生きぬく上で重要な本を30冊、2時間で読んでしまった……」という気持ちになっていただけるようなイベントになる……予定です。

開沼 時間もないので、さっそく大野さんの一冊から。

※当日配られたペーパーはこちらからダウンロードください。

『生の技法<第3版> 家と施設を出て暮らす障害者の社会学』(生活書院)

大野 一冊目は『生の技法』です。戦後日本では、重度の障害のある人が「施設」から出て暮らすという選択肢が長きにわたってなかった。1960年代から70年代にかけ、主には脳性まひのグループが中心になって「もう施設で暮らすなんてまっぴらだ!」と施設から出る運動を始めた。制度がゼロの状態から、きりひらいてきた。戦後の当事者運動に関する貴重な記録でもあります。最近は、社会学の概説の教科書にも載るようになりましたね。古典となった感があります。

特筆すべきは、執筆者に社会学者3名(岡原正幸、尾中文哉、立岩真也)だけでなく、安積純子さんという重度障害の当事者であり、自立生活運動の牽引者が1名入っていること。障害や社会保障を語るには、必携の一冊です。

開沼 文庫版は大野さんが解説を書いていらっしゃるんですね。

大野 それは別にいいんです。最初に頼まれたときは、あまりにおそれおおくて「無理です」と断ったんです。けど、いろいろ経緯があって……。まあそれはいいんです、では次、開沼くん。

『てっちゃん ハンセン病に感謝した詩人』(彩流社)

開沼 ぼくの一冊目は『てっちゃん』です。これは最近でたハンセン病についての写真集で、韓国から日本に留学生としてこられた写真家の権徹(ゴン・チェル)さんが出したものです。

ハンセン病の話はいままでいろいろとコンテンツ化されてきて、歴史的な蓄積もあり、小難しく書くことはできるわけだが、この本は文章がたんたんとしていてわかりやすく、また写真で見られることの説得力があるんですね。

復興の話に携わっていても思うんですけど、時間の経過とともに記録や理論はいくらでも出てきます。すると「この本を読んでいないと震災のことを語っちゃいけない」みたいな話になって新規参入が難しくなる。解決策のツールはでてくるが、それを使える人が減っていくというジレンマがあるわけです。そのハードルを一度、徹底的に下げるためにはこういう本が必要なんだと思うんですよね。子どもでも読める本だと思いますし、現代においてハンセン病を知るための重要な本だな、と。

大野 このくらいのボリュームのフォトブックだとお風呂の中でも読めますよね。

開沼 おっ、お風呂の中で読みますか?

大野 発病前は、毎晩読みましたよ。お風呂って、日本の人にとって重要な読書空間なんじゃないかなあ。

開沼 ぼくも一時間以上読んだりしますね。

『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』(文春文庫)

大野 次は『こんな夜更けにバナナかよ』。さっき気付いてドキドキしちゃったんですけど、会場の後ろの方に著者の渡辺一史さんらしき人がいませんか?

開沼 いや、気のせいじゃないですか?(笑)

大野 そうよね、開沼くんが言うんだから、気のせいよね。緊張する……。

えっと、まずこれは北海道が舞台の本です。進行性筋ジストロフィーという、全身の筋力が低下していく難病を患っている鹿野靖明さんが主人公。気管切開型の人工呼吸器ユーザーで、24時間、痰の吸引が必要な状態です。吸引をせず放置したり、呼吸器を外したら、鹿野さんは死にます。彼と、24時間介助が必要な彼の生命をボランティアで支える介助者たちを描いた、ノンフィクションです。

「ボランティアで、可哀相な鹿野さんを救おう」みたいな話じゃないです。とにかく介助者を確保するのが大変で、ボランティアの介助者が、別の時間帯に入る介助者を確保するために鹿野さんの代わりに電話をかけ続ける。結構テキトウな人もいるし、ドタキャンもあるし、学生の気まぐれだってある。介助のスケジュールがなかなか立たないと、ついに憤った鹿野さんは動けないので「タンツボ!」って叫ぶ。そうすると介助者が代わりに、洗浄用の容器を床に叩き付けるわけ。

人の助けを24時間借りながら生きる彼を「ワガママ」だと、著者は一旦、拭いがたく感じる。でも、なぜだかわからないけど、著者も含めて若者が鹿野さんに魅かれて、その不可思議な営みに関わっていく。

2003年に出版された本ですので、制度などの状況は激変していますが、今日なおノンフィクションの金字塔です。「ボランティア」の普遍性に触れている。

開沼 初めて読んだのはいつごろですか?

大野 2008年に発病して、読んだ最初の本のひとつですね。

開沼 講談社ノンフィクション賞と大宅壮一ノンフィクション賞のダブル受賞はあまりないんじゃないかな。誰もが納得される本だということですよね。次にでた『北の無人駅から』も面白いですよね。ドラマ「北の国から」になぞられたタイトルで、分厚いんですけど、あの、やっぱり著者の前だと話しにくいなあ……(笑)。

大野 でしょ! 開沼くんでもそうだよね!

開沼 読み始めると止まらなくなる本ですよね。どちらもオススメです。

『職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法』(講談社)

開沼 次は『職業、ブックライター。』ですね。本屋に平積みされていたので手に取ってみたら面白かったんですけど。これはノウハウ本と言ってもいいかもしれない。

大野 「ブックライター」ってなんですか?

開沼 ゴーストライターと言われているなにか、と著者の方は書いています。

最近なにかと話題のゴーストライターですけど、やっぱりスポーツ選手や経営者の方が書く本は実際のところ大方はライターさんが入っているわけですよね。それが文化を生み出す営みとしてどれだけ重要かといった話や、文章をどのように書くとよいかといったことが丁寧にまとめられている一冊です。

誰もが文章を書ける時代になっている中で、構造的に長文を書くことがもっと問い直されてもいいと思うんですよね。わかりやすい部分しか書かないとか、オピニオンだけでファクトが追われないといった事態に陥るのはもったいない。研究者ではない一般の方も長文を書くために必要なことを学べる面白い本だと思った次第です。

大野 わたしは、実務者向けの本は沢山読みます。人文社会科学系なので、抽象的で難解な哲学書のような本ばかり読んでいると思われがちですが。世間で話題のノウハウ本は一通りチェックします。普通に、「ジョブズのプレゼン」とか読んで「ふむふむ」って参考にしますよ。どんなことでも、わかりやすく伝えることは人間として基本的に重要なことですし。

開沼 重要ですよね、情報を処理する方法とかよく読みます。

『逝かない身体 ALS的日常を生きる』(医学書院 シリーズケアをひらく)

大野 お次は『1984 フクシマに生まれて』でもお話を伺った川口有美子さんの『逝かない身体』。川口さんは、ロンドン郊外でガーデニングをたしなむ「普通のハイソな専業主婦」でした。テムズ川の南側で暮らす、駐在員夫人。

ところが、ある日突然、彼女の人生は激変する。

日本にいるお母さんから「どうも調子がおかしい」と川口さんに電話がかかってくるんですね。次第に、お母さんは筋萎縮性側索硬化症(ALS)という難病にかかっていることがわかる。

ALSは最近、ドラマ『僕がいた時間』や漫画『宇宙兄弟』で取り扱われているので、知っている方も多いかもしれません。神経変性疾患で、徐々に全身が動かなくなります。川口さんのお母さんはかなり進行が速いタイプのALSで、最後は眼球すら動かせなくなる。閉じ込め症候群、TLS(Totally Locked-in syndrome)と呼ばれる状態に入りました。ご本人は「ごく、正気」のまま、意思伝達する術を完全に奪われていくわけです。

川口さんは当初、そんなお母さんを早く安楽死させてあげようと必死だった。

「どうして、うちのママを死なせてあげられないのか」「どうして、殺せないのか」と、川口さんは学者にメールを送りまくる。ところが、この本に描かれている様々なことを契機に、彼女の視野は180度転回します。

この本は、ALSを患ったお母さんが亡くなられるまでの壮絶な12年間の記録です。闘病記というより、社会とか地球とか、そういうものとの闘い。川口さんのお母さんが発症された頃はまだ、ALSを在宅で支える制度というのはほとんどなかったのです。人間の生のあり方を描いた、すごい本です。

開沼 この本も大宅壮一ノンフィクション賞を受賞してますね。難病モノって定期的に受賞しますけど、その中でも異色の本だと思いますね、この本は。

大野 この「シリーズ:ケアをひらく」は医学書院という出版社の白石さんという編集者の方が作っているんですが、ほかにもオモシロイものが多くておすすめです。未知の領域に踏み出せます。

『ヒップホップの詩人たち』(新潮社)

開沼 『ヒップホップの詩人たち』です。著者の都築響一さんは知っている人は知っていると思います。

大野 著名な編集者だってことは知っています。編集者だけど、ご自身も文筆家で本を書かれるんですよね?

開沼 そうですね。写真家としても有名で、スナック巡りなんかもされています。盛り場って学問の世界で研究されたり、お洒落な雑誌で特集されたりしますけど、それらは盛り場のすべてを書いているようで、実はスナックのようなものはけっこう無視してしまっている。学問的にいえば、「文化」とは別の、風俗や民俗と呼ばれるものですね。こうした権力による記述には残らないものを、ちゃんと拾い上げていく眼差しが、都築さんのスナック研究やヒップホップ研究にはあると思います。

大野 「サブカル」?

開沼 もちろんヒップホップはサブカルでもあるわけだが、もともとアメリカの貧しい、とくに黒人を中心とした人びとが、自分たちの日常を歴史として、音楽として残す手段、対抗文化として生み出したものです。だがアッパーで英語のできるアメリカ文化に詳しい階層によって日本に輸入されたので、本来の対抗文化的な要素はあまり取り入れられなかったと言われているんですね。

それが20年、30年と経つうちに、だんだんカウンターカルチャーになりつつあるんじゃないか。日本で顕在化している格差社会とか地方の衰退とかがヒップホップの中に歌いこまれているんじゃないかといったテーマで、当事者の声を聴きながらまとめた重要な一冊だと思っております。

大野 最近『ラップのことば』(P-Vine Books)って本を読んで、これも面白かったですね。全国各地の地方のラッパーたちの話なんだけど、開沼さんの研究テーマのひとつでもある中央と地方の構造的な問題を、彼らは自然に体現している感じがした。

開沼 若い人はもう演歌を歌わなくなったけど、演歌で歌われていたような世間の矛盾とか悲しみが、いまはヒップホップにこめられている。そういう意味でも面白いと思いますね。

大野 なるほどね。次いってみよう。

『医者は現場でどう考えるか』(石風社)

開沼 難しそうな本ですね。『医者は現場でどう考えるか』。

大野 難しそうにみえるかもしれないけど、医学書ではありません。実はノンフィクションで、すごーく面白いんですよ。ジェローム・グループマンっていうアメリカでは有名なメディカルライターであり、ハーバード大医学部の教授であり、そして第一線の臨床医でもあります。彼が「なぜ医者は誤診をするのか」を、自己探索する。学術的な話と現場の直感が、絶妙な加減でミックスされ言語化されている本です。

開沼 「エビデンスベースドメディスン」みたいな話と絡むんですか?

大野 彼はエビデンスベースドメディスン(EBM)の有効性を一定程度認めます、研究医ですから。その上で、更に深いところで警鐘を鳴らしている。自分で考えることを放棄し、判定システムやアルゴリズムに、自分の代わりに考えてもらう医師が実に多くなった、と。進歩目覚ましい医科学技術に支えられていても、依然として臨床の現場で重要なこととは何なのか。読み物として刺激的で楽しいものです。

『地方の論理 フクシマから考える日本の未来』(青土社)

開沼 これは自分の対談本です。『1984 フクシマに生まれて』の次に読みやすい本だと思っているんですけど、全然リアクションがなくて非常に残念。ぼくの本でまず最初に読んで欲しいものなんですが。

大野 開沼くんが、佐藤栄作元福島県知事のもとへ地道に通って頑張って作った本だよね。

開沼 そうなんですよね。福島のここ30年くらいの歴史の中で、環境問題への取り組みや原発の問い直しなど、いろいろなものが動いていたことを洗い出して行く本です。

大野 佐藤元県知事は、直近の福島県政における最大のキーパーソンですからね。私は「郡山の人といわきの人の対談だなあ」って思いながらこの本を読みました。その中間に位置する人間としてはちょっと寂しい感じ。

開沼 最近90年代から2000年代にかけて、それまであった街のキラキラが失われていったという話を別のところでしていたんですけど、郡山もそういう現象がありますよね。街の猥雑さみたいなものがなくなっている。

大野 そうそう、駅前の再開発や、ビッグパレットふくしまができる前の郡山って、怪しいお店が駅前の裏通りに一歩入るとぶわーっとあった。わたしが女子高生だったころ、高校の帰り道、夜になるとネオンがキラキラの場所も一部残ってました。

開沼 残っているところもあるけど、いまはそういう雰囲気はありませんね。

『病の「皇帝」がんに挑む 人類4000年の苦闘』(早川書房)

開沼 次は『病の「皇帝」がんに挑む 人類4000年の苦闘』。歴史系ですか?

大野 うーん、なんて言えばいいんだろう。アメリカって、メジャーリーグの懐の深さみたいなものがある、なんだかんだすごい国だと思った本です。近年、新しいタイプのノンフィクションがどんどん出ている。

この本は、血液内科のお医者さんが臨床の仕事の合間に医学史を研究しながら書いた、いわば「病気と人類の、壮大なノンフィクション」ですね。

まあいきなり「がん」って言われても、ガーンって感じですよね。

開沼 ……ええ。

大野 その「がん」と人類がいかに闘ってきたか、麻酔のなかった時代の話とか、ドラマチックに描写している本ですね。病気マニアとしては読んでいて感動する。

開沼 最先端のがん治療の状況ではなく、歴史を通して描くことによって、いまのがん事情が立体的にみえるようなところがあるんですかね?

大野 毎日、遺伝子治療がどうとか、出生前診断がどうとか、新聞に載るじゃないですか。そうした記事が載る文脈とか、歴史的な流れとがわかるようになりますね。新聞を読むのが面白くなるかも。

『交渉プロフェッショナル 国際調停の修羅場から』(NHK出版新書)

開沼 『交渉プロフェッショナル』。タイトルだけ読むとノウハウ本っぽいですけど、実はけっこう堅めの本ですね。20代から国連などのネゴシエーションをやってきた方が、CO2削減や紛争解決といった問題に、どういう風に交渉してきたのか、あるいは有名な交渉のプロがどんな交渉をしているのかを書いている本ですね。これはすごく面白い。

いろいろな体験談が書いてあるんですけど、一番印象に残ったのは「センス・オブ・オーナーシップ」という言葉でした。端的にいえば交渉の結果に対して、そこに参加した人が全員当事者意識を持つこと。それこそが交渉を成功させる鍵だ、と。例えば紛争が起きて、どこまでが自分たちの領土なのか境界線を引かなくてはいけないとき、第三者が介入するにはその時点で落としどころはどの辺にあるかイメージしているわけですよね。だからといって、「じゃあここで線を引くよ」といっても納得されない。AとBという対立勢力に話し合いをさせながら、想定していた落としどころに持っていこうとする、と。

これはある種のパターナリスティックでもあります。ただ、皆で共有できる明確な未来の目標が立てにくい中、社会的合意をとることが難しい時代において、当事者感覚を持ってもらい、自分たちの線を自分たちで決めている感覚を持ってもらうことは、いま求められていることなんじゃないかと思いました。

大野さんと開沼さんの新刊の選び方

大野 さて、お互い5冊ずつ紹介してきました。ちょっと休憩しましょう。開沼くんに質問なんですけど、新刊ってどうやって選んで買っているか教えてもらえますか?

開沼 うーん、いまは読売新聞の書評委員をやっているので、どの本を誰が書評するか決めるときに、会議室にバーッと並べられる本を見ながら読みたいものを選んだり、「この本はあの人が選びそうだからやめよう」とか思いながら決めていますね。

大野 入札制度みたいな感じですか?

開沼 いや早い者順。

大野 ずいぶん古典的なんですね(笑)。

開沼 そう。大量に並べられた本を選んで、自分の机に持っていって、ぱらぱら読んでつまらなかったら元に戻す、の繰り返しですね。表紙を見ながら、自分で面白いと思うものを選んで読んでいるから、わりと直感的に面白いものがわかってる感じなのかな。

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大野 街の本屋さんとか、あるいはインターネットでアマゾンとか使って買うことは?

開沼 もちろんありますよ。アマゾンのリコメンド機能は流石で、ぼくの好きそうな本を勧めてくれるから内容紹介を読んで買ってみたり。本屋も、パッと見て面白いか面白くないか明確にわかりますね。

大野 私は真逆ですかね。とりあえずわしゃわしゃって乱雑に読む。

開沼 でも本屋に行けば腐るほど本がありますよね。その中から選ぶということは無意識でも傾向が出てくるんじゃないですか。

大野 たぶんあるんだと思うんだけど、よくわかんない。

新書だけは、自分が思想的に立っている場所と真逆のものを選択的に読むようにしています。私は福祉国家論も社会保障も大事だと思うし、大きな政府がいいと思うけど、そうじゃない「どんどんネオリベ!」「財政危機!」系の新書は読むようにしているかな。

開沼 自分とは反対側の議論も踏まえますね。自分の関心と違う領域の本はどうやって読んでいますか? 視野を広げるために必要じゃないですか。

大野 他人の本棚をパッとみて、サササッとメモしますね。大学の先生の研究室にお邪魔したら、チラ見して即アマゾンで買ったりします。

開沼 ああ、人の本棚は面白いですね。2004年くらいに上野千鶴子ゼミに通ってた頃、ケアの話を聞きながら「興味ねえなあ」って思いながら読んでた本が、10年経ったいますごく役立っている。意外と血となり肉となりしているのに気付いたときは、興味ないものを読んでおいてよかったなと思いましたね。

大野 ……それすごくいい話だよ、開沼くん。今日一番いい話かもしれない。じゃあそろそろ再開しましょう。

『難病カルテ 患者たちのいま』(生活書院)

開沼 『難病カルテ』ですか。どんな本ですか?

大野 新刊ですね。毎日新聞佐賀支局の一記者が、難病患者を1人ずつ、ほぼ週1回のハイペースで紹介する連載の枠を紙面に勝手に組んじゃったんです。その連載記事をまとめたものです。

開沼 難病を特集するだけじゃ貴重な紙面の連載枠はなかなか貰えないと思うんですけど、なんでそれが出来たんですかね。続いたのはいい反響があったからだと思うんですけど。

大野 まずは地域性だと思う。地域に密着して、佐賀の読者に読んでもらえるような記事を書き続けたから。

開沼 それはローカリティーを強調するような記事ということですか?

大野 ううん、そうじゃなくて。あの町に住んでいるあの人の人生を描く中で、難病について触れられている、という感じ。病気が先にあるわけでなく、「こんな人がいるよ」って。

開沼 なるほど。82年生まれ。若いですね。

大野 若いのに、取材がすごいの。佐賀県で難病患者の方の実態調査をしたときに、いろいろお手伝いしてもらったのですが、わたしたちがやるような、学術的な調査とはやり方が全然違うんですよ。プロフェッショナルな記者の取材方法を垣間見ました。

開沼 新聞記者の方って3、4年したら異動しますよね?

大野 そうです、もう既に異動したと聞きました。数年の期間で、異動する記者が一つの成果を出すってものすごい難しいことなんですけど、彼はそれをやってのけたんですね。

『ももクロの美学 ~<わけのわからなさ>の秘密~』(廣済堂新書)

開沼 次は『ももクロの美学』。アイドル批評はいろいろと出てきていますけど、この本はももクロ(ももいろクローバーZ)を通して、あらゆる現代的な文化現象の裏にあるカラクリを解き明かしていく異色なものです。筆者の安西信一さんは東大の美術史の先生で最近急死されました。いろいろ話したいことはあるんだが、話し出すと長くなるので……。

大野 開沼くんって、アイドルけっこう好きでしょ。

開沼 まあ、基本情報をおさえる程度には。

大野 いや。開沼ウォッチャーの私は知っていますよ。開沼くんがAKB48の曲で踊っているところを、私はYoutubeで確かに見た。

開沼 恋するフォーチュンクッキーですね。宇野常寛バージョンで踊っていました。

いや、いい話をしてくれました。この本はまさにそういうことを書いているんですよ。つまりかつてのコンテンツ消費の構造というのは、美空ひばりのような絶対的なスターが頂点にいて、みんなはそこから落ちてきたものを鑑賞し、思いを投じて感動するという一極集中型の形態だったのが、いまはバラバラの多極分散型で、いろいろな個性をもった多様なスターに対して、AKB48の総選挙だったら「この子がいい!」と票を投じる。そうやってファンが遍在していくようになっているんですね。しかもそのコンテンツを今度は自分たちでプロデュースするという感覚まで持ち始めて、自分たちで踊りだす。Youtubeで検索してもらえばわかると思うんですけど、恋するフォーチュンクッキーだけでも何百というバージョンがあります。

大野 県が作ってたり、病院の職員が踊ってたりしていますよね。衝撃だった……。

開沼 一極集中のスターじゃなくて、多極的なものに自分が参加していく感覚。これは『交渉プロフェッショナル』の話と似ていて、「社会に自分が参与しているんだ」って実感が社会を構築していく。そういうことを書いているんですよ。

大野 ……まあ、うん、わかりましたよ。読みますよ、はい。わかりました。

開沼 ええ、ありがとうございます。

『遺伝子医療革命 ゲノム科学がわたしたちを変える』(NHK出版)

大野 この本は一押しです。2000円代だからちょっと高いんだけど。やっぱり一般書は、1000円代超えるとなかなか手が遠ざかりますからね。

開沼 そうですね。

大野 これはフランシス・S・コリンズというアメリカの研究者が書いた本の翻訳です。遺伝子診断とか出生前診断とかいろいろ聞くけど、そもそも遺伝子情報ってどういうものなのか、今は何ができるようになっているのか、まとまっている本は意外にない。これを読めば、たぶん、町内で一番遺伝子について詳しい人になれる。

開沼 戦後の科学史を振り返ると現代において遺伝子って非常に重要なものだということがわかりますよね。日本だと戦後に科学技術庁ができたとき、宇宙開発と原子力開発が2大メニューであった。宇宙開発におけるロケットを飛ばす技術はミサイルを飛ばす技術と直結している。他方、原子力政策はミサイルに搭載される核弾頭を開発する技術と直結している。

もちろん、日本が核兵器を開発していたというわけではありません。そうではなく、言いたいのは、グローバルな科学技術の最先端というのが冷戦構造と表裏一体のものとしてあり日本もそのグローバルな枠組みの中で科学技術開発競争の末端に位置づけられていたのは確かだということです。インターネットなどの情報技術の開発もまた、元は軍事技術ですからね。

しかし冷戦が終わると、この人類の限界を超える試みは衰退していき、一方でマクロとミクロに分化して新しい潮流も生まれてきます。つまり、環境問題を背景としたCO2削減問題が現れ、他方で生命科学も注目されるようになってくる。いま話題の小保方問題も、あるいはiPS細胞の捏造で注目された森口尚史もその他の様々な捏造問題も、考えてみるとここらへんの分野で起きているんですよ。これらは科学と政治の汽水域にある。純粋な科学を追求する身からすればきな臭いことがいろいろとおこる可能性が高まるのは必然であるとも言えるでしょう。

大野 バグが起きるということは、その背景にものすごいたくさんの人たちが参入しているということですもんね。

開沼 そうですね。この本の結論は、遺伝子によってなにができるようになったか、ですか?

大野 いろんな見方ができます。私の読み方は、遺伝子情報がアルファベットの羅列になったことについてです。つまり遺伝子が「情報」になった。ということは、この情報をいかに社会が扱うかということは、自然科学ではなくて社会科学の問題になってくる。だから社会科学系の人間こそこの本を読んで、「われらがやらなくてはいけない仕事が増えた」ことを実感しないといけないと思います。

開沼 ああ、それは大事なことですね。

『オウム事件17年目の告白』(扶桑社)

開沼 つぎはオウムの話ですね。

大野 上祐史浩さんと有田芳生さん。

開沼 冒頭でちょっとお話しましたが、最近、オウムのことを調べていました。なかなか面白いんですよね。オウムの後身であるアレフの信者数って、少なくとも2010年あたりは1000人以下だったんですけど、震災後3年で1400人くらいまで増えている。新規入団者の半分以上は若者だそうです。つまりアレフが若い人たちの居場所になっている。日本全国に支部があるわけではないけれど、大学にアレフのサークルがあれば、アレフに出会う確率はそれなりにあるという状況なんですね。

大野 どういう人がアレフに入る傾向があるんですか?

開沼 いろいろ調べたんで、理由付けができないわけじゃないんですけど、まだよくわからないですね。ただ勧誘のテクニックはオウムと一緒でヨガに誘ってそこからという流れが基本です。あと、オウム内でも派閥争いなどあって辞めた人たちも多いんですが、彼らはヨガ教室を開きながら生活費を稼いだり、仏壇のようなものを家において「ひとりオウム」みたいになっていたりという人もいるようです。

他方で上祐さんがやっている「ひかりの輪」は数百人規模で、主流派のアレフよりかなり少ない。上祐さんはキャラ的に小賢しいことを言いたがるじゃないですか。だから教義が難しいんですよ。結果としてお年寄りしかいないから、組織の中で介護問題が発生していたりもする。ある意味、日本社会の問題を反映しているところがあるんですね。

『ブエノス・ディアス、ニッポン 外国人が生きる「もうひとつのニッポン」』(ラティーナ)

大野 『ブエノス・ディアス、ニッポン』。「ななころびやおき」ってペンネームで本を書いている方なんですけど、最近じゃ「ななころびやおき(山口元一)」って書いているからペンネームの意味がなくなっている(笑)。

山口先生は、在日外国人支援の界隈では知られている方です。私も上智大の学部生のとき、山口先生の事務所の下の階にある別の事務所でミャンマー(ビルマ)人の支援のお手伝いをさせてもらっていて、その頃から「すごい人だ」とみなが口を揃えて言う人でした。

開沼 なるほど。

大野 いつも事務所で寝ているとか、いやむしろ住んでいるとか、いろんな噂が……。ミャンマー人以外は、難民申請どころか在留特別許可もほぼ出ない絶望的な状況で、裁判だって負け続ける。非常に苦しい現実を綴ったエッセイなのに、筆致が軽やか。まるで連続ドラマのようで、はらはらどきどきしながらすらっと読めてしまう本です。

開沼 もともと証券会社で働かれていた方なんですね。おいくつですか?

大野 まだ40代じゃないかな。お若いんですけど、見た目が怖いです(笑)。深刻な問題を、ユーモラスに書いていいんだってはじめて思ったのはこの本です。

開沼 じゃあ、『困ってるひと』(ポプラ社)は影響を受けているかもしれませんね。

大野 うん、きっかけになった本のひとつかもしれない。

『データを紡いで社会につなぐ デジタルアーカイブのつくり方』(講談社現代新書)

開沼 これは非常に具体的な話なんだけど、普遍性もある本です。オープンデータとかオープンガバメントとか興味ないですか?

大野 いえ、とってもありますよ。

開沼 それはどういうところが?

大野 現代医療のことを考えるときは、何らかのデータを扱わざるを得ないので。万能だとは思ってないけど、どういうことができるようになるのかは常に関心があります。

開沼 情報化していく中で行政もいろいろな統計を発表していくようになったけど、調べてみると意外とちゃんと使えないことがよくわかるんですね。僕がやっている福島から例をあげると、「風評被害」とみんな言うけど、それがどのくらいの額なのか、明確に、論理的に説明した数値ってないんですよね。それにも関わらず、風評被害で農家のみなさんが苦しんでいるんだって話がとびかっている。もちろん風評被害はあると思うんですけど、一方で、日本酒メーカーの方にお話を聞くと、東京の飲み屋で東北の日本酒を飲んでくれる人が増えて、風評利益のようなものが出ているところもある。そういう側面をエビデンスベースで議論しないといけない。それは医療でも教育でも同様でしょう。

筆者の渡邉英徳さんはもともと建築の方で、ある意味アーティストなんですね。有名なプロジェクトは、Google Earthに広島の被爆者の方々の証言を載せている「ヒロシマ・アーカイブ」です。オンライン上に半永久的に記念碑のように証言が残っていく。このようなデジタルを利用したプロジェクトが広まっていく第一歩なのではないかと思いますね。

大野 インターネットとパソコンが使える方ならすべてのアーカイブを誰でも閲覧できる。情報が公開されて、公共にひらかれていることってすごく重要なことですよね。

『日本語が亡びるとき 英語の世紀の中で』(筑摩書房)

開沼 つぎの本は『日本語が亡びるとき』。

大野 物書きとして、このタイトルを推薦していいのか? とも思いますが。水村美苗さんは名だたる賞をとりまくっている作家さんです。お連れ合いは経済学者の岩井克人さん。

この本はアメリカで開かれた、世界中の作家が集まるワークショップに水村さんが参加したときに感じたことを軸に書かれているのですが。題字のごとく、いかにして日本語に亡びていくか……というよりは、あらゆる出版物が徐々に英語という言語に収斂していく可能性を危機感をもって書かれている本ですね。

開沼 データとかを使って、ですか?

大野 いえ、作家ですから。エッセイです。日本の近代文学は、比較的短い期間に、いろいろな偶然が重なって成立した。もはや過去の盛り上がりはあり得ないことを自覚的に正視するより他ないという、悲観的なお話です。

開沼 でも『恋空』(スターツ出版)みたいなケータイ小説もでてきてるじゃん、みたいな話は……?

大野 だから、作家だから。そういう話は、ガン無視。

開沼 年配の方ですか?

大野 まあ、そうですね。

開沼 そうか、じゃあ仕方ないかな。

会場 (笑)。

『アメリカ・メディア・ウォーズ ジャーナリズムの現在地』(講談社現代新書)

開沼 これは、いまの話と似ていますね。毎日新聞の記者としてワシントン特派員をされていた方が、アメリカのメディア状況について書いているメディア論です。

日本の新聞制度は世界からみたら特殊です。アメリカでいう新聞って、日本の地方紙にあたるものなんですよ。だから毎日新聞や朝日新聞、読売新聞のような大きな組織もなくて、近年倒産したりする場合も増えています。そういうところは、NPOになったり、オンライン化しながら苦労して経営しているのが現状です。日本でも新聞を読む人が減っているといった指摘が随分前からされていますが、アメリカが陥っている戦国時代的な状態を知ることで、日本のメディアのこの先を見通す重要なヒントになるんじゃないかと思って選びました。

大野 紙メディアは全滅しないだろうけど、いままでと同じような規模じゃ残らないだろうね。過渡期にあって、みんなどういう形態に移行するか悩んでいる。

開沼 仕事上必要じゃない人は僕たちの世代でも新聞を読まないですよね。読むとしてもオンライン。今後どうなっていくんでしょうね。

つぎでお互い10冊目ですね。もう時間がないので10冊ずつで終わりにしましょうか。

『生きていく絵 アートが人を<癒す>とき』(亜紀書房)

大野 『生きていく絵』です。作者の荒井裕樹さんは、若き文学研究者。私たちと同世代ですよ。障害をもった人たちやハンセン病者、精神疾患の人たちの文学表現を研究されている方です。この本では、精神科病棟の中でずっと絵を描き続けている患者さんたち作品を紹介しています。

こういう問題って、社会保障とか福祉の視点で語られがちですけど、荒井さんはとにかく「文学」にこだわるんですね。自己表現するということは人間にとって何なのかという、根源的な問題意識がある。

開沼 「治療行為ではなく」とも「作品論でもない」とありますけど、だとしたらどうやって書いているんですかね?

大野 明確な論旨を提示するような本じゃないんです。読んでいるうちに、この人たちにとって絵を描くこと、表現することが「生きる技法」なんだってことがなんとなく伝わってくる。精神疾患の領域は、まだ内部からの当事者研究は始まったばかりで、どういう問題があるのか十分に言語化されていないので、そういう試みのひとつになるんじゃないかと思います。

『海賊党の思想 フリーダウンロードと液体民主主義』(白水社)

開沼 最後ですね。浜本隆志さんの『海賊党の思想』です。

大野 海賊党ってなんですか?

開沼 海賊党の「海賊」は、いわゆる海賊じゃなくて、「海賊版」の海賊。

大野 DVDとか勝手にコピーしちゃう人たちですね。

開沼 そういう意味の海賊でもあり、いわゆる「海賊」的な、グローバルに活動する側面もある集団のことを海賊党といいます。ある種の新しいリベラルの方向性としての方針も打ち出されているような本です。

大野 サブタイトルが気になりますね。「フリーダウンロードと液体民主主義」って初めて聞いた(笑)。

開沼 著作権のフリー化と液体民主主義がポイントです。液体民主主義は、シンプルにいえば直接民主主義と間接民主主義をあわせたようなものですね。

いまFacebookとか2chみたいなものに「こんなトピックあるけど、どう思う?」って問題提起をして、それをみた人たちがいろいろ書きこんで意見交換する状況がありますけど、それを仕組化し、投票できるようにして、政治制度として決定してしまおうということが、液体民主主義。

ただ、実際やってみると難しいよねという話も書かれている。この前の都知事選の家入さんも「俺の政策を充実させるためにみんなツイッターで意見を呟いて」とやってましたよね。

大野 「ぼくらの政策を」だっけ?

開沼 そうです。でも既存の民主主義の枠組みの中で液体民主主義をやろうとすると家入さんと同じように泡沫候補的な数字しかとれないということも経験的にわかってきています。海賊党の支部はヨーロッパにたくさんあるけど、気運として盛り上がって議席をとっても資金難になっていたり、若い人しかいないから政治的な作法がわからなくて潰れていったり、結構シビアな側面がでている。

とはいえ家入さん的なもの、海賊党的なものは、10年、20年後にデジタルネイティブが育っていくことを考えると、可能性として見続けていけないと思っています。

大野 そっか、面白そう。

開沼 ……というわけで、やはり30冊は紹介できませんでしたが、そろそろ時間なのでこのあたりでトークイベントを終了したいと思います。『1984 フクシマに生まれて』とあわせて、今日紹介できた20冊も、紹介できなかった10冊もぜひ手に取って読んでいただければ。

大野 そうだね。みなさん今日は長い時間ありがとうございました。

※当日紹介されなかった本は、こちらでご覧いただけます!

(2014年3月23日 池袋にて)

プロフィール

大野更紗医療社会学

専攻は医療社会学。難病の医療政策、難治性疾患のジェネティック・シティズンシップ(遺伝学的市民権)、患者の社会経済的負担に関する研究等が専門。日本学術振興会特別研究員DC1。Website: https://sites.google.com/site/saori1984watanabe/

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開沼博社会学

1984年福島県いわき市生。立命館大学衣笠総合研究機構特別招聘准教授、東日本国際大学客員教授。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府博士課程在籍。専攻は社会学。著書に『はじめての福島学』(イースト・プレス)、『漂白される社会』(ダイヤモンド社)、『フクシマの正義 』(幻冬舎)、『「フクシマ」論』(青土社)など。共著に『地方の論理』(青土社)、『「原発避難」論』(明石書店)など。早稲田大学非常勤講師、読売新聞読書委員、復興庁東日本大震災生活復興プロジェクト委員、福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)ワーキンググループメンバーなどを歴任。現在、福島大学客員研究員、Yahoo!基金評議委員、楢葉町放射線健康管理委員会副委員長、経済産業省資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会原子力小委員会委員などを務める。受賞歴に第65回毎日出版文化賞人文・社会部門、第32回エネルギーフォーラム賞特別賞、第36回同優秀賞、第6回地域社会学会賞選考委員会特別賞など。

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