ソーシャルファイナンスとしてのクラウドファンディング

大学生に聞いた「studygift

 

最後に、「studygift」について、大学生に意見を聞いてみた件について付記しておこうと思う。担当するある科目で、ネットの技術で社会がどう変わり、そのプロセスで企業がどうかかわっているか、といった趣旨の話をしたのだが、その際、課題としてこの件について経緯を説明し、それぞれの考えをレポートとして提出するよう求めたものだ。この件についてはさまざまな方がさまざまな意見を表明しているが、支援対象学生と同世代、同じ立場の現役大学生がどう考えているかについては、あまり伝えられていないように思う。レポート提出者は277名。自由回答で数値化は難しいので、あくまで印象としての話だ。

 

ひとことでいえば、意見は多様だった。問題があったとする者、別にいいではないかと考える者、その他いろいろな意見も合わせ、意見の幅は広かった。最も多かった指摘は、運営会社の準備不足や情報提供不足、問題発生後の対応のまずさなどがが炎上に結びついたとするものであり、ネットでの論調とそう大きくずれるものではなかったが、それよりややニュートラルという印象だ。少なくとも、「袋叩き」ということはなかった。

 

ただ、自分の置かれた立場によって意見が影響を受ける傾向があったようにも思われる。当然、自ら奨学金を受けていたり、身近にそうした友人などがいる学生は、どちらかといえば支援対象者である(元)学生に対して厳しい立場をとる意見が多かった。自分には得られなかった機会の存在を不公平と思うのであろう。それ以外でも、「学費支援」が目的ならきちんと勉強して一定の成績を保つのは当然ではないか、という意見は多かった。やはりこのあたりは、成績へのプレッシャーを自らのものとして感じている層ならではのものなのかもしれない。

 

もう1つ、多数ではないが、支援者の姿勢を問う意見がいくつかあったことには注目したい。単に「お金を出したのは自己責任」という話ではなく、このような「安直」な態度で支援していいのか、不用意にお金を出す人がいること自体が、社会全体に迷惑をかけるのではないか、という懸念だ。これはネットでもあまり見ない意見だったので意外だったが、考えてみると、お金の出し手にも一定の責任があってしかるべきという考え方は、上で書いたことと同趣旨ではある。

 

例は悪いが、振り込め詐欺などでは、騙されてお金を振り込んでしまう人が一定確率でいることが、そうした犯罪行為に走る者を生み出している、という考え方もありえよう。むろんソーシャルファイナンス自体はそうした犯罪とは本来無縁の存在だが、不注意な者がいるために全体がスポイルされてしまうおそれがある、という意味でなら、そこに似た教訓をみてとる余地は充分にあるものと思う。もちろん、誰にでも行動の自由はある。社会への責任のためにそれが制約される状況は、必要ではあっても、最小限にとどめられるべきだ。ただ、こうした意見が出てくること自体は、止めることはできないし、止めるべきでもない。お金の出し手もまた、受け手や仲介者と同様、この件の「当事者」だからだ。

 

繰り返しになるが、現代社会に住む私たちは、単なる弱者にとどまらないだけの「道具」を手にした。その利便性を享受したいと思う者であれば、その適切な使い方を学ぶのは、ある意味当然であるといえるのではないだろうか。

 

 

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