日本の強みを活かした教員マネージメントとは?――国際教員指導環境調査の結果から

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1.2.   「マネージャーとしての校長」と「教育者としての校長」

 

校長の仕事は、主に「マネージャーとしての校長」と「教育者としての校長」の2つに分けることができ、その比重は国によって異なっている。一般的に分権的な教育システムでは前者の役割が重視され、集権的な教育システムを採る国では後者の役割が重視される。

 

現在日本でも民間人校長を活用しようという動きがあるが、これは主に「マネージャーとしての校長」に注目を当てたものであり、学校レベルに権限が大きくある分権的な教育システムでこそ、その真価が発揮される。一方で、後者の役割が重視される、つまり集権的な教育システムの下では民間人校長が期待通りの成果を出すことは難しい。では、日本の教育システムはどの程度分権的・集権的で、校長像はいったいどのようなものであろうか?

 

 

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表1は、学校自治に関して校長がどれだけ影響力があるかを教員に問うた結果である。参加国の平均と比べると、「生徒の懲罰に関する規定」「生徒の評価方法」のわずか2項目だけで日本の方が高い数値を示している。しかもその2項目は教育者としての校長の役割だと考えられる。特に、マネージャーとしての資質が求められる予算などに関係する項目について、日本は軒並み低い値を示している。一般的に日本の教育システムは他国と比べて集権的で、学校レベルの権限が小さいものだと言えるが、それは校長の職務内容にも反映されているのである。

 

 

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図4と5は、校長が勤務時間の中でどれだけの時間を「マネージャーとしての校長」と「教育者としての校長」に割いているか、校長自身が答えた値を示したものである。先ほどの教員に聞いた表1の結果とも一致するが、日本の校長は参加国平均と比べて、マネージャーとしての役割を果たしている時間が短い一方で、教育者としての役割を果たしている時間が長い。

 

 

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次章へ繋がる話であるが、図6は、校長からフィードバックを受けている教員の割合を示している。他国と比べると分かるように、日本の教員の多くは校長からフィードバックを受けている。裏を返せば、日本の校長は他国の校長よりも教員に対してフィードバックを与えることが求められているといえる。

 

以上のことをまとめると、日本の教育システムは集権的なもので、学校レベルにそれほど権限がない。さらに、校長の役割もマネージャー的なものよりも教育者としてのものが求められている。この条件下で教員経験がほとんど無い民間人を校長として迎え入れて、高い成果を出せと言うのは無理がある。もし民間人校長を推進したいのであれば、分権化を進めて学校レベルに権限を降ろすなど、校長がマネージャー的な役割を果たせるような環境づくりが必要だと考えられる。

 

本章全体をまとめると、各国にはそれぞれ独特な教員マネージメントシステムが存在しており、日本もその例外ではない。しかし、教員養成や教員配置、さらには校長の役割といった点に着目した場合、日本はその特徴を活かしきれていないのが現状であると言えよう。教育政策決定権者は、日本の教員マネージメントの特徴をよく理解し、その強みを活かせるように調整を加える必要がある。

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.267 

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