どこからがアウト? 法律からみたPTA――憲法学者・木村草太さんに聞く

非会員の子どもは排除される!?

 

――現状では、PTAに「加入しない」とか「やめる」とかいうと、いやがらせを受けることがあるようですが?

 

人間関係でなにか言われる、ということでしょうか。もしひどいケースであれば、侮辱という不法行為になると思います。

 

もしくは「(入っていないと)不利益がありますよ」などと言われて、加入を強制されたのであれば、脅迫または恐喝にあたります。これで会費をとったら、もちろん返さなきゃいけませんし、場合によっては脅迫罪も成立します。

 

こういうのもそもそも、任意加入であれば、生じえない話なんですが……。

 

 

――PTAに入っていない家庭の子どもが、学校内でおこなわれるPTA行事に参加させてもらえないケースは、どうですか?

 

それは、はっきりと〝アウト〟です。

 

なぜかというと、PTA というのは、会員限定サービスをする団体ではないからです。その学校に子どもが通っている保護者が、「学校の子どもたちみんなのために、いいことをしよう」というのが、PTA という団体なんです。だから、一部の子どもを排除するってことは、まったくおかしいわけです。

 

PTA って、学校の部屋を使えるとか、さまざまな特権をもっていますよね。学校という公共団体から、そういう特権をもらえるのはなぜかというと、「学校全体のために奉仕してくれる団体だから、協力しましょう」ってことなんですよ。

 

だからもし、会員の子どもに対象を限定したサービスをするのであれば、学校はそもそも、協力する理由がないんです。

 

たとえば、30 人のクラスのうち5 人の親が、「クリスマスのときにサンタさんのバイトを雇って教室に来てもらい、自分たちの子どもだけにプレゼントを配らせたい」って言ったとしたら、ふつうに考えて、先生は「NO」と言いますよね(笑)。そういう会員限定のサービスは学校でやらなくていい、家でやってください、という話になる。

 

これが「クラス全員に配りたいんです」っていうことなら、「ちょっと考えましょう」って話になると思うんですけどね。

 

 

――人数を減らして考えるとわかりやすいですね。そうすると、非会員の子どもが排除される心配はないわけですね。

 

そうですね。会員以外の子どもを排除するPTA であれば、学校はすぐに、学校内で活動できるという特権をやめさせなければいけません。

 

もし、PTA が会員限定サービスをしていることを知ったうえで、学校が活動を続けさせているとしたら、「学校施設の不適切な利用」ということになり、学校長は施設管理者としての責任を問われることになるでしょう。

 

ですから、全員に提供できないサービスだったら、やめるしかないってことです。もし人手が足りないのであれば、そのぶん、お金を集めてアルバイトを雇うとか、そういうくふうをすべきでしょう。

 

 

PTAと予算

 

――PTAでアルバイトを雇ってもいいんですね。では、役員に給料を払うのもアリですか?

 

ええ、もちろんアリですよ。みんな、すごく頭がかたくなってるみたいですけれど(笑)。

 

スタッフに給料を払うのは、労働組合でも、NPO 法人でもやっていることですから、いいんじゃないですか。

 

もちろん、たまにある話で、「長年理事長をやっている人が勝手に予算を決めて、毎月ウン十万円を自分でもらっている」とか、そういう悪質なことにならないよう、会員のなかでちゃんとルールに従って金額を決めていれば、まったく問題ないということです。

 

 

――では、PTA予算でなにかを買って学校に寄付するのは、どうでしょうか?

 

任意加入が前提であれば、ぜんぜんおかしくないことだと思うんですよ。みんなのためになることをやるわけですから。

 

もちろん学校は、学校教育法上の教育をするための最低限の備品等については、すべて公共の予算でまかなわなくてはいけません(『PTAをけっこうラクにたのしくする本』 118 ページ参照)。そこをPTA 予算で埋めあわせするのは、たしかにまずいです。それをやるのであれば、いったん自治体にお金を寄付して、自治体の予算に組み込んでから、学校に出すってかたちにしないといけないでしょうね。

 

ですが、その最低限度ではない、プラスアルファの部分について、PTA のお金を使うというのは、私は問題ないんじゃないかなって思います。

 

もし問題だと思うのであれば、これも一度、自治体に寄付して、自治体の予算から学校に出してもらうかたちにすればいい。

 

だから、なんでそれが問題になるかというと、強制加入で集めたお金だからでしょう。「押し売り」といっしょになってることが問題なんですね。任意加入なら、問題になりません。

 

 

――なるほど。では、PTAを任意加入にしたうえで「これはやっちゃいけない」っていうことは、なにかありますか?

 

PTA というのはあくまで、公共施設を借りている団体なので、公共性の観点から説明できる活動しかやっちゃいけない、という点です。

 

判断に迷うときは、つねに「公共的かどうか」を考えてみればいいでしょう。

 

 

お話をうかがって

 

いまのPTA には、〝違法〟と言わざるをえない面がいろいろとあることがわかりました。問題を一度に全部解決するのはむずかしいかもしれませんが、少しずつでも改善していくにはどうしたらいいか? それぞれのPTA で、考えていってもらえたらと思います。

 

・・・

本稿が収録された『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(太郎次郎社エディタス、2014年)には、PTAをけっこうラクに楽しくするための様々なくふうや先駆事例が多数紹介されています。いまのPTAに疑問がある方、いまのPTAをもっとよくしたいとお考えの方は、ぜひお役立てください。

 

 

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