Education at a Glanceから見る日本の女子教育の現状と課題 

さらに、PISA(生徒の学習到達度調査)の2009年の結果を用いて、15歳時(義務教育修了時)の女子教育の状況を見る。PISAはOECDが行っている国際学力調査で、主に読解力・数学・科学分野におけるリテラシー能力の測定をその目的としている。データはOECDが出版している”PISA 2009 Results: What Student Know and Can Do (volume 1)“を参照している。下記の図3・4・5はそれぞれ読解・数学・科学における各国の男女の得点差を示している。読解では全てのOECD諸国で女子が男子よりも得点が高い一方で、数学では半数以上の国で男子の得点が女子よりも高く、科学では、男子の得点が高い国もあれば、女子の得点が高い国もある。

 


hatakeyama03

hatakeyama04

hatakeyama05

 

 

日本は読解力では女子が男子より得点が高く、数学・科学では男女の間に得点差があるとは言い切れない状況となっている。OECD諸国を見渡すと、トップクラスの国を見れば確かにフィンランドのように女子が全科目で男子よりも得点が高い国も存在するものの、全体的に見ると日本の義務教育段階での女子教育の状況はOECD諸国の中でもかなり良い方であると言える。

 

以上のように、国際学力調査の結果を用いて小学校4年時、中学校2年時、義務教育修了時の女子教育の質を見てきたが、その結果を見る限り義務教育段階において女子教育の質に大きな課題があるとは言い難い。「OECD諸国との比較から見る日本の教育支出の特徴と課題」の中でも言及したが、女子教育の観点から言っても日本の義務教育段階は大きな課題があるとは考えづらいのが現状である。

 

 

1 2 3 4 5
シノドス国際社会動向研究所

vol.276 

・橋本努「新型コロナウイルスとナッジ政策」
・三谷はるよ「市民活動をめぐる“3つの事実”――「ボランティア」とは誰なのか?」
・五十嵐泰正「『上野新論』――「都市の時代」が危機を迎えたなかで」
・倉橋耕平「メディア論の問いを磨く――言論を読み解く視座として」
・山田剛士「搾取される研究者たち」
・平井和也「コロナ情勢下における香港と台湾に対する中国の圧力」