Education at a Glanceから見る日本の女子教育の現状と課題 

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さらに高等教育の内容に着目して、日本の女子教育の状況を概観することとする。大学で学んだ内容と賃金の関係は、「高等教育の量的拡大はどのように行われるべきか?」の中でも、また先月”U.S.News & World Report”の記事でも取り扱われたのだが、基本的に量的な研究を行う学問を学んだ方が、質的な研究を行う学問を学ぶよりも賃金は高く、失業率は低くなる傾向がある。さらに、質的な研究を行う学問の中でも、社会科学、人文科学、サービス系の順に雇用や賃金に結びつき難くなる傾向も認められる。では、日本の女子教育の状況はどのようになっているだろうか?

 

 

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上記の図11・12・13・14・15は、Education at a GlanceのTable A4.6から持ってきたもので、それぞれ工学系・理学系・社会科学系・人文科学系・サービス系の新規卒業者に占める女性の割合を表しており、順に賃金や雇用に結びつきづらくなっていると考えられる。図11・12・13が示しているように、賃金や雇用に結びつきやすい系統の卒業者に占める女性の割合は、日本はOECD諸国の中でも最低レベルとなっている。これは、そもそも高等教育における女性の就学状況が悪いことを示しているだけと思われるかもしれないが、そうではないことを図14・15が示している。比較的賃金や雇用に結びつきづらいと考えられている人文科学系やサービス系の卒業生に占める女性の割合では、日本は前者ではOECD諸国の中でも上位に入り、サービス系に至ってはOECD諸国でトップに立っている。

 

この章の冒頭で紹介した高等教育段階での男女の就学比率を見る限り、日本はOECD諸国の中でも数限られた女子の就学率が男子よりも低い国である。しかし、その就学形態や就学内容を見ると、就学率から見えてくる現状よりも、課題がはるかに深刻なものであることが読み取れる。高等教育は義務教育と異なり、修了後直ちに労働市場へと入っていく段階である。この段階で問題があると、たとえ義務教育がどれだけうまく行われていたとしてもそれを台無しにしてしまう。この点まで考慮すると、いかにこの日本の高等教育における女子教育の課題が大きなものであるか見えてくると思う。

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.267 

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