2022.04.30

英単語のコアイメージを学んでも、英会話は上達しません

#英語学習

最近、英語業界では「コアイメージ」が大流行です。本屋に行くと、「コアイメージで学ぶ英単語」みたいな本がたくさんあります。

そこではたとえば、“take”のコアイメージは「取り込む」だと、かわいいイラスト付きで説明されていたりします。

そうした説明は、「なるほど!」と唸らされるものから、「ほんとか~?」と、ちょっと強引すぎないかと思わされるものまで、さまざまです。

読み物としては面白いです。しかし問題は、はたしてコアイメージの知識が、英会話の上達に役立つのかどうかです。

ぼくの見解は否定的です。

ぼく自身、コアイメージ本を何冊も読みましたが、それで実際、英会話が上達した、などという実感はまったくありませんでした。

みなさんはいかがでしょうか?

いくつか具体的な例をもとに、コアイメージがなぜ英会話に役立たないか、考えてみたいと思います。

まずは、前置詞の“in”。コアイメージは「何かの中にある」などと説明されたりしますね。

では実際に、“in”を使った文章を見てみましょう。

“I am in the kitchen.” 「わたしは台所にいます。」

「台所の中にいる」。“in”のコアイメージにぴったりですね。

それでは、次の文章はどうでしょうか?

“I’ll be there in ten minutes.” 「10分後に行きます。」

「後」?と思いますよね。しかし、これも、コアイメージ本では、「10分という境の内側にある」ことを意味している、などと、「何かの中にある」というコアイメージで説明されます。

「なるほどな」と思う人もいれば、「なんか強引だな」と思う人もいるかと思います。問題は、この知識を知っていると、「~後」の“in”が会話で使えるようになるかどうかです。

答えは、間違いなく“no”です。

私たちがこの知識を学ぶとき、次のように理解するはずです。

“I’ll be there in ten minutes.” 「10分後に行きます。」

という文章を見て、あなたは思います。なるほど、「(一定の時間の)後」というのは“in”で表現できるんだな。ということは、「2時間後」は“in two hours”、「3年後」は“in three years”になるわけか。

こうしてあなたは、「~後」の“in”を、会話で自由自在に使いこなせるようになります。

“in”のコアイメージは「何かの中にある」で、この場合は「10分という境の内側にある」だ、などという説明は、英会話で“in”を使いこなすのに、少しも役に立ちません。

「何かの中にある」の代表的な使用法である

“I am in the kitchen.” 「わたしは台所にいます。」

でも同じです。

このような文章を見て、なるほど、「どこかの場所にいる場合」は“in”で表現するんだなと理解するわけです。ということは、「カギはその箱の中にある」は“The key is in the box.”と言うのかと、この意味での“in”が使えるようになるのです。

“in”にはたくさんの意味があります。あるいは、前置詞にはたくさんの意味があります。正直、覚えるのが大変ですよね?

そこで、コアイメージを抑えれば、前置詞を使いこなせるようになるかの「幻想」を、コアイメージ本は振りまきます。

しかし、騙されてはいけません。そんなことは起こりません。

前置詞には「核となる本質的なイメージ」があって、それを知れば、さまざまな場面で前置詞を使いこなせるようになる、などということはありえないのです。

先に“in”で少し説明したように、それぞれの意味のクラスターごとに、地道に使用法を確認しながら理解する。そして、それを実際に会話で使ってみる。こうした作業を繰り返すしかないのです。

※ 最近、「使用基盤モデル」という言語モデルにもとづいて、前置詞の使用法を解説した画期的な書籍(平沢慎也『実例が語る前置詞』)が出版されました。この書籍を読めば、コアイメージなど何の役にも立たないことが、はっきりと理解できます。

さて、話を戻しまして、たとえば、冒頭で触れた“take”でも同じです。“take”にもいろいろな意味がありますが、代表的なものに“持って行く”という意味があります。

たとえば、

“I took my laptop to work.” 「職場にパソコンを持って行った。」

イメージコア本を読むと、“take”のコアイメージは「取り込む」であり、これに移動が加わると「持って行く」となる、などと説明されています。

しかし、そんなコアイメージを知っても、何の役にも立ちません。

そうか、どこかに何かを持って行くときは、“take”を使うんだな。ということは、「傘を持って行きなさい。」と言うときは、“Take your umbrella with you.”となるわけか、と理解するしかないのです。

イラスト満載のコアイメージ本をいくら読んでも、「分かった気になる」だけです。あるいはせいぜい、ごく基本的なニュアンスが分かるだけです。

英会話が上達したければ、たくさんの文章にあたって、「使用方法」を一つひとつ身につけていくしかないのです。

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