被ばくおよび被ばく検査に関するQ&A

Q1.内部被ばく検査の結果、現在ではどのようなことがわかっていますか?

 

南相馬市では2011年7月からいままで、継続的に検査が行われ、順次結果が公表されています(*1)。

 

いま現在、子供から検出限界を超えた値のセシウムが検出されることはほとんど無くなりました。これは、ひらた中央病院や、いわき市、相馬市で行われている検査結果でも同様です。大人も検出限界を超える率は5%弱程度であり、慢性的な内部被ばく、言い換えると現在の福島県内での生活上で、体に取り込んでしまうかもしれないセシウムは低いレベルを維持できていることになります。

 

経験上わかってきた大事なことは、たとえば普通にスーパーで食品を買って日常生活を送っている方で、このような高値になる方はいない、ということです。

 

 

(1)出荷制限がすでにかかった
(2)値が高いと経験上あきらかにわかっているような食べ物を
(3)未検査で
(4)継続的に摂取している

 

 

方だけが高値になります。

 

大人からの検出率は5%程度と横ばいが続いているとはいえ、たとえば20Bq/kgを超える方はほとんどいません。

 

検出する方の多くも、器械の検出限界ぎりぎりのライン(Cs 137で250Bq/body)でいくらか検出するという方の割合が増えてきています。同一の方を計測しているわけではないので、安易に比較するのは微妙なのですが、時期による検出率もあきらかな上昇傾向はありません。

 

(*1)http://www.city.minamisoma.lg.jp/index.cfm/10,0,61,344,html

 

Q2.流通食品の安全性について、内部被ばくの検査結果からはどのようなことがわかっていますか?

 

同時に食品や水の摂取状況の聞き取りを行っています。

 

米、肉、魚、野菜、果物、キノコ、牛乳について、8割ぐらいの方がスーパーで購入し、その際には産地を選び、残りの2割ぐらいの方がスーパーで購入するけれども産地を選んでいない、という状況でした。年齢が低くなればなるほど、スーパーで産地を選んで購入している傾向があります。米と野菜は地元のものを使用されている割合が、他の食材に比べて高く、1〜2割でした。

 

「スーパーでの食材は安全なのか?」という問いをされることがありますが、前述の通り、内部被ばくの検査において、子供の99.9%、大人の95-97%程度が検出限界以下という状況ですから、食品に関してスーパーで産地を選ぶ、選ばない、どちらの購入行動をとったとしても、ほぼ全員が検出限界以下になるということがわかります。

 

もちろんいろいろなものを食べて、この器械の検出限界以下の被ばくであるとか、検出限界周辺の内部被ばくをしないということを保証することはできません。ただ、ホールボディーカウンターの検査結果から、流通品摂取のみの生活でセシウムが1000Bq/bodyクラスの被ばくをすることはほぼ無いといって大きな間違いはなさそうだと思います。

 

流通食品の検査結果からもある程度推定される値ではありますが、それが内部被ばく検査からも裏付けられる結果となっています。

 

 

Q3.地産の食品の安全性について、内部被ばく検査の結果からどのようなことがわかっていますか?

 

地元の食べ物に関しても、一定の傾向が見えてきています。

 

地元の食べ物を食べたとして、リスクが20+20+20+20+20=100(数種類の食べ物が均等に汚染されており、それぞれの食べ物に均等にリスクが存在する)となっているのではなく、0+1+2+2+95=100(多くの地元の食べ物にリスクがほぼ無く、その一方でいくつかの特定の食べ物にリスクが集約している)という構造になっているということです。

 

継続的な検査で体内セシウム量が上昇する方が一部にいらっしゃいますが、いわゆる流通していない、すでに出荷制限のかかっている食品(値がかなり高くなることが既知である食品)を、未検査で継続的に摂取している状況があきらかでした。

 

内部汚染は二極化してきています。一部の方が非常に高い値を出す一方で、ほとんどの方が検出しなくなっている。その高い値を出す方はほぼ全員、高汚染度の食材、つまり出荷制限がかかるかどうか、100Bq/kg前後というレベルではなく、その数倍から数十倍クラスの汚染度の食材を継続的に食べている方です。そこにリスクのかなりが集約しています。

 

言い換えれば、地元の食材を食べるとしても、あきらかに出荷制限がかかっていて、高いことがわかっているような食べ物(たとえば、キノコ、イノシシの肉、柑橘類、柿、ため池などに住んでいる魚など)を避けるだけで、大部分のリスク回避が可能ということです。もちろん、上記で例をあげた食べ物であっても、検査をして低いことが確認されたものは、リスクは低いです。

 

たとえば、日本人の主食であるお米は、セシウム汚染しやすい食品には該当しません。福島県の放射性物質検査情報(*2)にもしめされているように、1000万件以上の玄米の全袋検査の結果、99%以上が検出限界25Bq/kg以下です。

 

このことからも十分に推測される結果であり、それらを食べてもセシウムの内部被ばくが爆発的に増える状況ではまったくありません。「福島県産」とか、「xxxで作られた」という「場所」「産地」が注目される傾向がありますが、より重要なのは「種類」です。土壌中のカリウムや、土壌の種類、水のpHなどいろいろな要素が複雑に絡みあってはいるものの、あきらかにセシウム汚染しやすい食品は偏っています。繰り返しになりますが、それらを避けることで大部分の内部被ばくを避けることができます。

 

ベラルーシやウクライナの場合も論文で報告されたことですが、キノコ類やベリー類が全体の内部被ばくの90%以上を占めていました。xxxという場所で作られた食べ物の汚染度が高いという話よりも、xxxという種類の食べ物は気をつけて検査をしながら進まなければならないという話です。値が高くなりやすい食べ物は、出荷制限がすでにかかっている食べ物とほぼイコールです。そうした食べ物を「未検査」で継続的に食べる。そのことがリスクになります。野菜や魚に関しても同様です。

 

(*2)https://fukumegu.org/ok/kome/

 

 

 

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