若いボランティアが求めるものとこれからの地域防災 ―― 1,400名のボランティアコーディネート経験から

東日本大震災が起きたとき、災害救援のNPOであるレスキューストックヤードのスタッフであったわたしがついた任務は、日本財団ROADプロジェクトの「足湯ボランティア」のコーディネートであった。

 

足湯とは、それを受ける人がたらいに張った湯に足を浸け、体を温め、手をさすられながらボランティアと一対一で一つの空間を共有し、10分程度過ごすものである。その間、自然と会話が生まれる。足湯の間に発せられた言葉は「つぶやき」と呼ばれ、ボランティアはメモを取る。その記録には被災者一人ひとりから発せられる生の声、生の叫びが多く含まれている。もともと、神戸で活動していたボランティアが始めたこの活動は、数々の被災地で受け入れられてきた。

 

足湯ボランティアの活動成果や報告については、震災がつなぐ全国ネットワークが発行した報告書に詳しい。また、ROADプロジェクトの足湯ボランティアは2012年度も継続して被災地に派遣をつづけており、同プロジェクトのホームページから申し込みができる他、被災者の生の声である「つぶやき」の記録も週刊つぶやき( http://road-nf.typepad.jp/michi/cat8400298/ )として発信しつづけている。関心のある方はぜひボランティア活動に参加してほしい。今からでも決して遅くはない。

 

 

「災害に関係したボランティア活動」に携わる層

 

冒頭でわたしの所属を災害救援NPOと紹介したが、実際には「被災者支援・減災NPO」と呼ぶのがより正確だ。どこかで災害が起こればボランティアとして被災した方のもとに駆けつけ、状況に応じた支援活動を行い、そして被災地に残された教訓を学ぶ。それを持ち帰り、近い将来に控える、あるいは毎年のように頻発する自然災害で被害を生まない地域づくりに生かす、という二段構えのミッションを持つNPOである。

 

そのため、わたし自身この組織の中で、災害のないときには、「災害に負けないまちをつくる地域防災のボランティア」、そしていざ発災したときには「被災地支援に駆けつけるボランティア」、という異なる二種類のボランティアと協力しながら仕事を進めてきた。中には、被災地支援と地域防災の活動に目まぐるしく奔走し、つねにフル回転のスーパーボランティアのような方もおられるが、多くの場合、NPOとの接点、あるいは入口はいずれかひとつであり、そして二つの層の属性は大きく異なっている。

 

東日本大震災後に足湯に参加したボランティアの特徴は、「若い」ことである。とはいえ、足湯活動の最大の特徴は老若男女誰でもが参加できる点であり、70代のボランティアが仮設住宅に住むお年寄りと苦労を分かち合っている場面も目にしてきたが、全体的には若い。グラフ1-1はROADプロジェクト足湯ボランティアに申し込んできた方の年齢層である。20代、30代で過半数を占めている。

 

 

グラフ1-1 ROAD足湯ボランティア応募者 年齢

グラフ1-1 ROAD足湯ボランティア応募者 年齢

 

 

一方、NPOの本拠地である名古屋でふだんから接していた地域防災のボランティアは、リタイア世代が主流だった。このことを示せるデータを持ち合わせなかったので、代わりに国民生活調査を参照した。グラフ1-2は平成18年国民生活調査で「災害に関係したボランティア活動」に従事していると回答した人の年齢構成である。主力は、50代、60代である。調査が行われたのは平成18年であるので、この「災害に関係した」ボランティア活動に、東日本大震災のボランティアは含まれていない。多くが地域防災の活動に参加していると推測できる。

 

 

グラフ1-2 平成18年国民生活調査 年齢別・ボランティア活動の種類別・行動者数 「災害に関係した活動」

グラフ1-2 平成18年国民生活調査 年齢別・ボランティア活動の種類別・行動者数 「災害に関係した活動」

 

 

このように、一口に「災害に関係したボランティア活動」に携わる層といっても、その特徴はずいぶんと異なるものである。

 

 

 

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