働きながらできるボランティア支援

 

ボランティア団体や個人ボランティアの衝突

 

荻上 いろいろなボランティアがいるとなると、やはりボランティアを指揮する団体が重要になってきますよね。

 

塩田 そうですね。ピースボートは本当に成功例だと思います。仲良くするときは仲良く、締めるところは締めていたので、参加者からみて、とてもやりやすかったです。

 

福田 ピースボートは組織づくりがうまかったですね。ピラミッド型の組織にはなっているのですが、現場にも裁量権があるのでその場判断ができる。「報・連・相」を徹底していました。世界中でさまざまな活動されていますから、経験がいきているのかなと思わされました。

 

古口 わたしはピースボートのボランティアに参加したことはないのですが、石巻市のいろいろな現場で、ピースボートと他の団体が協力して活動しているのを見ました。

 

塩田 オンザロードですよね。

 

古口 そうです。他にも数団体いました。

 

わたしは石巻市の大川地区という、亡くなった方のほうが生存者より多い地区で瓦礫撤去をしていたのですが、精神的にたいへんつらい場所で、涙が止まりませんでした。そこで救いだったのが、活動していると所属団体など関係なく、必要に応じてみんなで助け合いながら作業をしていたことです。いろいろなところでボランティアをするとわかるのですが、これって珍しいことなんです。普通は団体が別々にやっているんですよ。団体間による「管轄争い」のようなものも、結構な場所で起きているので。

 

荻上 団体同士の衝突や、団体のスタッフと個人の衝突もあったとうかがいます。

 

古口 思いが強い方もいらっしゃるので、衝突することはありますね。

 

最近聞いた例ですと、ある団体に参加申込してボランティアをしながら、団体の活動とは別に個人的な活動もしている方がいらっしゃるのですが、団体側からすると、あくまで団体のミッションのために活動して欲しいので、勝手なことをされては困るといって注意をしたんです。その後、その方は来なくなりました。

 

怒られてボランティアに来なくなる人、たくさんいるんです。自由意志で集まってきたボランティアを束ねるのは本当に大変です。もともと見知らぬ者同士がその日そのとき限りのチームをつくって一緒に活動をするわけですし、お金をもらっているわけではないから、ボランティア側も来てあげているという姿勢になりがちで。でも団体には団体のルールがありますから、そこで衝突すると、スタッフもきつい言い方になってしまうんです。

 

荻上 NPOやボランティア団体同士の衝突はどう思いますか?

 

古口 最初はいっしょにやればいいのにと思っていたんですけど、自分たちのプロジェクトを実現させるだけでも精一杯になるので、気持ちに余裕が無くて、同様の活動をしている団体とは衝突してしまうのかもしれません。

 

実際に起きた例ですが、ある被災者がふたつの団体に同じ作業をお願いしてしまい、どちらが担当するかで揉めてしまったことがあります。結局、片方の団体が引くことで解決をはかりましたが、逆にもう片方の団体が「なんで引いたんだ」って怒ってしまい、対立がより深くなってしまったこともありました。

 

塩田 物資に関しても、足りないものは団体同士で補えばいいのに、うまくいかないところがありました。

 

 

除染ボランティアに参加するか否か

 

荻上 お三方は南相馬でのボランティアに参加されていますが、いま南相馬市ではどのようなボランティア活動をされていますか?

 

古口 南相馬ではいま、仮設住宅の避難者ケアや、旧警戒区域の片付けなどがメインです。自分が最近やっているのは、ボランティアセンターの内勤業務などですね。南相馬市以外では、福島市でだいたい月1回のペースで除染ボランティアに行っています。

 

塩田 わたしは除染には参加していません。年齢制限にも引っかかってしてしまいますし。

 

福田 ぼくは除染ボランティアではなく草刈をメインでやっています。受け入れてくれるなら行きたいんですけど、体はひとつしかないので、優先順位をつけざるをえなくて。時期が来れば行こうと思っています。いま若い人が行くのは違うかな、と。

 

塩田 わたしも除染ボランティアに行こうと考えたこともありますが、家族が心配するというのもあって。そもそも南相馬市でボランティアをやっていることを家族に告げたときもかなり驚いていて。いまだって、応援というよりはあきれているみたいです。

 

やはり女性は気にしている人が多くて。福島市にお住まいの方で、子どもが通っている学校が給食に福島産のお米を使っていたようで、学校側に他県のお米を使うよう要望を出している方がいました。一方で、気にしていない方は気にしていないようです。

 

荻上 放射線は目に見えるリスクではないので、気にされる方と気にされない方がいるんでしょうね。

 

福島では放射能の問題がありますし、震災直後は大きな余震の心配もありました。ご家族の方も含め、ボランティアは周りの方の理解が重要だと思います。みなさんの周りの理解はどうでしたか?

 

古口 猛反対されるので、父親にだけは内緒にしています……。その点、福田君は周囲がよく理解してくれていますよね。

 

福田 自分は問題なかったです。でも職場でボランティアの話をすると、「自分の息子には行かせない」という人もいます。それはどちらが正しいとかではなく、個人の考え方なので。

 

さいわい自分は反対する人はいませんでしたし、むしろホッカイロをくれる人もいて。そうやって身近なボランティアに優しい声をかけたりすることも、間接的な支援のかたちだと思います。

 

塩田 そういえば南相馬市には他県からのボランティアが多くて、県内の他の市町村から来ている人はとても少なかったですね。宮城や岩手だと、被災していない西側から、沿岸部に支援に来ている人が結構いるのですが。ただでさえ放射能で不安なのになんでもっとリスクのあるところに行かなくてはいけないんだと考えているのかもしれません。

 

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.2019.4.15 

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