働きながらできるボランティア支援

個人ボランティアが現地以外でできること

 

福田 ボランティアで現地に入って、こっちに戻ってきたときに現地の状況を伝えることは大切だと思うんです。メディアでは伝えられない情報を伝えることができますし、風化防止にもなります。

 

荻上 日常的な言葉で伝えることでイメージは変わりますね。

 

福田 自分は普段、月曜日から金曜日まで働いているので、長期のボランティアはできません。会社を辞める手もありますが、それではなにも変わらない。自分のいまの立場でできる最大の支援は、きっと少ない時間ながら現地でボランティアをして、その情報を持ち帰って広めることだと思います。

 

古口 わたしがボランティアリーダーをやるときは、最後に必ず「今日の作業は終わりですが、帰ってからも広報ボランティアとして、今日見たこと・感じたことをいろいろなところで広めてください」と伝えるようにしています。

 

荻上 いまでもボランティアに参加するきっかけを探している人は結構いると思います。時間が経つほど、「いまさら行っていいのだろうか」と参加するハードルは上がってしまう部分もあるでしょう。福田さんのような方がお話をすることで、参加するきっかけになるかもしれません。

 

一方で、いま現地に入ってボランティアをされている方に対し、サポートできることはなにがあると思いますか? 活動のための資金が足りないといった問題があるのではないかと思いますが。

 

福田 自分の場合、最初は公共交通機関を使った頃は往復15000円くらいしたのですが、その後はみんなで車の乗り合わせをして一緒に行くようにしてなんとかやっていますね。お金がなくなって行けなくなるのは嫌だったのでいろいろと考えました。

 

古口 福田君が代表になってFacebookに「CHANCE―南相馬」(https://www.facebook.com/groups/184716611650307/)という、乗り合わせをつのるページもつくりましたよね。これが予想以上に拡散して、宮崎県の大学生たちが後方支援を名乗り出てくれたんですよ。ほんとうに嬉しかった。

 

荻上 そのようなプラットフォームがあれば交通費問題は解消できるかもしれませんね。ボランティアに必要な技術や向き不向きはありますか?

 

古口 大工仕事や事務処理が得意だと重宝されそうですね。自己主張が強い人は向かないと思います。どうしてもグループでの作業が多くなるので。

 

福田 「以前ボランティアに行ったときはこうしていた」と過去の経験を持ち出す人はいましたね。それが提案なら問題ないのですが、「このやり方は間違っている!」と突っ張られるのは困ります。

 

古口 あれはだめ、これはだめと批評ばかりする人もいますね。リーダーをやっているとそういった方に注意しなくてはいけないですが、あまり命令口調にならないように気をつけました。

 

 

これからのボランティアのために

 

荻上 今後ボランティアを継続していく上で、環境面、制度面で求めることはありますか?

 

塩田 JTBが南相馬市行きのボランティアバスを始めました。安心できる旅行代理店が主催するものが増えると行きやすくなると思いますね。日本は災害も多いですし、今後は、ボランティアが日常生活の一部になればと思います。

 

荻上 阪神淡路大震災のボランティア元年から16年。今回の震災によって、ボランティア経験者は爆発的に増えたと思います。その一方で、現地ではまだまだボランティアを必要としています。ボランティアに誘うコツはあるのでしょうか?

 

古口 やはりまずは自分の体験を伝えることだと思います。わたしも、Facebookで写真や体験記を載せて伝えているのですが、最近はいろいろな意見が寄せられるのでだんだんしんどくなってきて。

 

たとえば放射能に関して、福島に住むこと自体を反対している人から、ボランティアについていろいろ言われたり。Facebookのコメントについて、津波の被害にあわれた方から苦情がきたり。

 

あとボランティアのみんなで集合写真を撮るとき、達成感で笑顔になるんですよね。それを否定することはできませんが、見る人によっては不快な気持ちになるだろうと思うと、なかなか掲載しにくいです。だから必然的に書き込む内容も堅いものが多くなってしまう。それが逆に、ハードルをあげやしないかとも思います。

 

今日は被災地に直接行く話ばかりでしたが、全国各地に避難している人もいるので、被災地に直接いかなくてもできるボランティアはあると思います。これからはそれを広めることも課題かな、と。

 

塩田 女性の方にもっと参加して欲しいです。瓦礫処理以外にもやれることはたくさんあるので、一度現地に足を運んで自分で確かめて欲しいです。男性も女性も、女性にはあれこれ聞きやすいようですし、発信力もあります。あと女性がいるとおじさんたちがいつも以上に頑張るようなので(笑)。

 

あとは震災から二年がたち、クローズする支援団体が多くなると思い、女性が参加しやすい不定期ボランティアバスを企画しました。第一陣は4月に南相馬市へ行く予定です。まずはボランティア仲間を募って、団体で活動しようと思っています。

 

荻上 現地の女性の方に話を聞くと、物資の面などでたとえば生理用品とか男性では気づかないところも、女性のボランティアの方は気づいてくれることもあったそうなので、色んな年代や、背景を持った人が参加することは大切ですね。

 

古口 被災地に行かなくても、自分の自治体に避難してきた方への支援がどうなっているのかを意識するだけで、また違うと思います。

 

福田 自分はもっと若い人に頑張ってもらいたいです。今後社会を担っていく世代が、現地に行き感じたことを自分の職場や家庭に持ち帰って生かして欲しい。大学生のボランティアも個人的な経験ではなく、社会に還元するように意識して欲しいです。

 

荻上 若者が多くの経験をすることで、より長く社会に還元できるというのは確かにありますね。本日は本当にありがとうございました。

 

(2012年12月11日 飯田橋にて 構成・金子昂)

 

 

 

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