歴史の実相を伝える多元的デジタルアーカイブス 

パソコンひとつあれば、世界中のどこでも見に行けるGoogle Earth。しかしそんなGoogle Earthにも見ることのできない風景があった ―― Google Earthに異なる視点の情報を加えることで、数多くの情報を可視化することができる。東日本大震災ではさまざまな情報が錯綜し、いま、どこで、なにが起きているのかを把握することが非常に困難であった。あのとき、いったいなにが起こっていたのか、そして今後、あふれる情報をどのように活用すればよいのか。震災前よりGoogle Earthを活用し、情報の可視化を行ってきた渡邉英徳氏の講演を掲載します。(構成/金子昂)

 

 

異なる視点の相互補完によって見えるもの

 

こんにちは。渡邉英徳と申します。

 

早速ですが本題に入ります。皆さんはGoogle Eearthを実際に使ったことはありますか? Google Earthとは、衛星写真を使って世界中を俯瞰できるサービスです。今日はGoogle Earthを使用しながら、震災に関するぼくのプロジェクトをお話しようと思います。

 

2005年にGoogle Earthがリリースされたとき「こんなにも何もかもが見られるのか」と感動したことを覚えています。しかしGoogle Earthでも見られない風景はあります。それは、経験や感情の異なる一人ひとりが見ているそれぞれの風景です。このような風景をGoogle Earthで見ることはできないものかと考え、2006年に全国でお花見をした人に桜の写真を撮ってもらい、さくら前線の予想図を重ねたGoogle Earthに一枚ずつ載せてみました。つまり開花予想情報と、実際にさくらの開花が北上していく様子を可視化してみたわけです。すると予想情報と実際の開花には多かれ少なかれズレが生じていることがわかりました。

 

 

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このようにトップダウンの視点に、ボトムアップの情報を組み合わせることで、相互を補完するコンテンツが作ることができるわけです。この結果を受けて、次に夜間の明かりを可視化してみました。

 

 

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日本海に注目しながら時間軸をずらしていくと、海にある光の帯が、秋から時間が経つに従って南下していく様子がわかります。この光の帯は漁船の漁火。Google Earthだけでは魚群を見ることは出来ませんが、夜間の明かりを可視化することで、人々の営みを通じて魚群の動きが分かります。二重のステップの可視化が可能になるわけです。

 

 

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