福島レポート

2018.06.19

外部被曝と空間線量率

基礎知識

体の外からの放射線を浴びることを「外部被曝」といいます。たとえば、宇宙や大地からの自然放射線を浴びたり、レントゲン撮影などで人工放射線を浴びたりすることです。

外部被曝線量を知るために、一人ひとりが身につける「個人線量計」があります。また、放射線のある空間の中での強さを「空間線量」といい、ある地域の外部被曝線量の目安を把握するために、サーベイメータやモニタリングポストの値も参考にされています。

空間線量率は一定ではなく、サーベイメータやモニタリングポストの値もつねに変動しています。放射性物質の自然減衰もその原因のひとつですが、たとえば雨が降り始めると、大気中にチリとなっている放射性物質が雨と一緒に地表に落ち、空間線量率が一時的に上がります。また、逆に雨や雪で地表面が覆われると、大地からの放射線が遮蔽され、空間線量率は一時的に下がります。

環境省は、除染対象とされる地域の目安となる空間線量率を「毎時0.23マイクロシーベルト(μSv)以上」としました。原発事故による追加の外部被曝量として、長期的に年間1ミリシーベルト(=1000マイクロシーベルト)以下を目指すことが宣言されたためです。ただし、「年間1ミリシーベルト」あるいは「毎時0.23マイクロシーベルト」という数字自体、個人の健康リスクから計算されたものではありません。

もともと、原発事故などの緊急時には、一般の人が居住する地域は年間20~100ミリシーベルトが管理目標として勧告されています(ICRP/国際放射線防護委員会)。一般人の居住地域がこの下限である年間20ミリシーベルトよりも高ければ、まずは年間20ミリシーベルト以下にするように努力されるべきです。

そして、その地域の年間追加被曝が20ミリシーベルトを下回ったら、まず一般人の居住を再開し、その上で「住⺠の⽣活に⽀障のない(経済的、社会的に合理的な)範囲内で」段階的に年間追加被曝線量の目安を下げていき、いずれ年間1ミリシーベルトを目安に追加被曝線量を管理できるようにできることを目指します。なお、⽇本では避難指⽰解除の要件のひとつとして「(一般人の居住する地域の年間追加外部被曝線量の管理目標の下限値である)年間20ミリシーベルト以下になること」とされています。また、実際に現在福島県に居住している人のほとんどは、年間追加外部被曝線量が1ミリシーベルトを超えることはありません(他県や海外と変わりがありません)。(2018.9.10更新)

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