福島第⼀原発の再臨界はあったのか︖

臨界とは、核燃料の中で核分裂反応が連続して起こっている状態のことを言います。その核分裂が起きる際には、大量の放射線や熱エネルギーが発生します。原子力発電所では、この臨界状態を人為的に発生・コントロールして、その熱エネルギーを使って発電しています。

 

事故当時、福島第一原発の1~3号機にも原子炉の中に核燃料がありましたが、事故の際に溶け落ちてしまい、現在は原子炉圧力容器の底や容器の外の下の方で冷やされて固まっています。では、今後この溶けた燃料(燃料デブリ)が再び臨界状態になる可能性はあるのでしょうか?

 

それを判断するための大きなポイントは、キセノンなどの「放射性希ガス」です。

 

原⼦炉圧力容器を覆っている原⼦炉格納容器から排出される気体は「ガス管理システム」で監視されています。ガス管理システムでは、格納容器から排出されるガスの量や成分を常に測定しています。ガスの成分として重要な放射性希ガスの放射能量はリアルタイムで測定されています。

 

放射性希ガスは、臨界の有無を示す大切な指標です。なぜなら、核燃料が臨界状態になると、必ず放射性希ガスの放射能量が上昇するからです。福島第一原発の放射性希ガスの放射能量は、臨界状態のときとは比較にならないほどとても低いレベルで推移しており、現在まで臨界の兆候を示すほど上昇したことはありません。このことから、福島第一原発では溶けた核燃料が安定している(未臨界状態を保っている)ことが分かります。

 

また、溶けた核燃料が冷却されている原子炉の温度も、リアルタイムで測定されています。この温度は現在外気温と同じくらいか少し冷たい程度(15~30度前後)を保っています。これは臨界に伴う熱が発生していないということですが、同時に放射性物質が崩壊するときに発する熱量も非常に小さくなっているということでもあります。さらに、万一にも再臨界が起きた場合に備えて、核分裂の反応を止めるホウ酸水を注水する設備も設置されています。(2018.9.10更新)

 

 

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

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